[TGS2005#50]独占ミニインタビュー「ラグナロクオンライン2」開発統括ディレクターPark,Young Woo氏に聞く,RO2の方向性
Park, Young Woo(パク・ヨンウ)氏
1999年,「ACTURUS」(邦題 アークトゥルス)の企画者としてゲーム業界に参入。「ラグナロクオンライン」の開発初期から企画パートに携わり,以後同ゲームの企画チームリーダーを経て,現在RO2の総括ディレクター兼メイン企画者として活躍中
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東京ゲームショウ2005の一般公開日初日(9月17日)に行われた,Gravity開発者達との歓談会では,「ラグナロクオンライン2」「スタイリア」「レクイエム」の開発ディレクター達が集まり,メディアからの質問に答えてくれた。 時間が短く,いずれのタイトルに関しても大きな情報は得られなかったので,歓談会(各タイトルの開発を統括するリーダーのお披露目,といった側面が強かったのかもしれない)そのものに関する情報は,ここでは割愛させてもらおう(わずかにあった気になる情報は,各タイトルの記事に織り込んでいくつもりだ)。 その代わりといってはなんだが,ラグナロクオンライン2(以下,RO2)の開発統括ディレクターであるPark, Young Woo氏に対し,歓談会終了後にミニインタビューを敢行(あわよくば,別の部屋に連れ込もうと思っていたのだが,忙しいという話だったので,なんとその場での立ち話で延々30分以上! すいませんでした……)。まぁインタビューと呼ぶには短い時間ではあるが(当然会話には通訳を介すので,その分の時間も取られてしまったし),なんにせよ,事実上の"独占"インタビューではある。 歓談会でのQ&Aによって,まだ同作が開発の初期段階であり,細かい部分についてはほとんど答えられないことは分かっていたので,RO2の開発を取り仕切るParkリーダーの,ゲームに対する考えや人物像という部分を中心に聞いてきた。
終わった直後は比較的人も残っていた記者歓談会会場だが(左),Park氏へのインタビューをしている最中に,撤収作業が……。Park氏だけではなく,スタッフの方々にも申し訳ない気持ちで一杯である
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■Park氏,日本のゲーム/日本のROファンについて語る
4Gamer.net(以下,4Gamer): お忙しいところ引き留めてしまって,申し訳ありません。少しの時間だけ,よろしくお願いします。
Park, Young Woo氏(以下,Park氏): いえいえ,こちらこそ日本のメディアさん達に,個別インタビューをセッティングする時間を作れず,すみませんでした。このあとも用事があるんですが,少しくらいならおつきあいできますので,遠慮なくいろいろ聞いてください。
4Gamer: ありがとうございます。では時間もないことですし,早速いろいろと聞いていきますね。といっても,まだ細かい部分は開発中とのことでしたので,今回はその方向性を探ってみます。 そこでまずは,Parkさんの人となりを知っておこうかと。まず,普段どういうゲームで遊んでいるか教えてください。どんなゲームがRO2に影響を与えているかということも,知っておきたいですね。
Park氏: 私は,幼い頃から,たくさんの日本産コンシューマゲームを楽しんできました。だからいろんな部分で,日本産コンシューマゲームの影響を受けていると思います。 まぁ,とくにどのゲームのどの部分に影響を受けた,ということはないですが,RO2には,やはり多くのところで"日本産コンシューマゲーム"的な雰囲気が内在してると思います。 僕自身は日本のRPGが大好きで,「ドラゴンクエスト」シリーズと,「ファイアーエンブレム」シリーズに関しては,かなりのマニアだと思います。ドラクエは「8」以外すべてクリアしたし,携帯電話の着信メロディも,ドラクエのテーマ曲を使っているくらいですから(笑)。
4Gamer: おお,ドラクエが好きなんですか。それは日本人としても親近感が湧きますね。ドラクエシリーズはゲームも面白いですが,音楽に関しても素晴らしいですから,着メロにするのも良さそうですね。……ということは,好きなゲームクリエイターは堀井雄二氏ですか?
Park氏: もちろん彼のことも好きですが,一番好きなのは宮本茂氏ですね。「ゼルダの伝説」シリーズはゲームとしての完成度が非常に高いし,僕自身かなり楽しませてもらいました。宮本氏が好きというより,尊敬しているといったほうが正しいかな。機会があれば,ぜひ一度会って話をしてみたいですね。
4Gamer: その会談は,ぜひ見てみたいですね。おっと,歓談会会場の撤収作業が始まってしまいましたが……。
Park氏: 気にせずいきましょう(笑)。
4Gamer: ありがとうございます。それでは,印象でもプレイ感でもいいのですが,RO2に似ているゲームがあるとしたら,そのタイトルを教えてください。
Park氏: 基本的に「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の後継作だから,やっぱり全般的にROに似ていますね。この2作に直接のストーリー的なつながりはないんですがど,ゲームから受ける雰囲気は間違いなくROに近い。 あと,ゲーム構成でいうなら,「World of Warcraft」に似ている部分もないとはいえない。ああいった,"構成ががっちりしている作品"とでも表現すればいいのかな,そういうものになりそうですよ。まだ詳しいことは言えませんけどね。
4Gamer: なるほど。もしROの顔を持つWorld of Warcraftになるとしたら,日本人の趣味にも合うものになるんじゃないでしょうか。World of Warcraftは初心者にも楽しめるMMORPGですから,現ROプレイヤーにとっても,十分馴染めるでしょう。
Park氏: もちろん,日本のROプレイヤーは重要な顧客なので,期待は裏切らないようがんばりますよ。
4Gamer: Parkさんから見た,日本のROプレイヤーのイメージはどうですか?
Park氏: ROを開発し始めた頃は,オンラインゲームのメカニズムを,パッケージゲームのそれと等しいと考えていましたから,実際にサービスを開始したあと,非常に多くの問題点が露呈しました。そういったゲームシステム的な問題のため,韓国では,ゲーム内の秩序がかなり混乱していた時期もあります。 しかし日本のプレイヤー達は,その混乱を自主的に浄化していく雰囲気を定着させたし,そういったコミュニティの強さをゲーム内の一つの文化として昇華させている点が非常に印象的でした。 韓国だと,どちらかというと,何かあれば"改善の要望"がくるんですが,日本では,どうすればより楽しめるかという"提案"が多いですね。そういった姿勢は,開発者として非常にありがたく感じています。
■RO2の進捗状況/方向性に関するPark氏の考え
急なお願いにも関わらず,快くインタビューを受けてくれ,こんな状況(写真右)になるまでつきあってくれたPark氏に感謝。日本のファンを大切にしてくれている証ともいえるインタビューであった
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4Gamer: そういってもらえると,日本のROファンも喜ぶと思います。えー,撤収作業の邪魔になっているようで申し訳ないんですが,次の質問を(笑)。現ROプレイヤーに対して,「新しいRO2はこんなゲームだ!」と一言で説明できるようなセールスポイントがあれば,教えてください。
Park氏: うーん,ちょっと考えさせてください。……うーん,難しい(笑)。それは非常に答えにくい質問ですね……。というのも,RO2には非常に多くの要素を盛り込んでいるから,なかなか一言で魅力を説明するのは難しいんですよ。 基本的には,誰でも簡単に遊べて,"親近感"が感じられるゲームを作るということをコンセプトにしています。とくにROのプレイヤーなら,前作と比べて大々的なシステムの変化があるよりは,多くの"小さな不満要素"が解決されることを望むと思っています。我々は,そういったプレイヤー達の小さな願いを,RO2で叶えられるよう,最善を尽くしていきます。 4Gamer: なるほど,方向性としては,"大きく変わることよりも,不満をなくしていく"という感じでしょうか。でもそれって,大事なことですよね。 とはいえ,結構ゲームシステム的には変わりそうですよね。そういえば,ROでは,ギルド戦の世界大会が開催されたこともありますが,RO2の対人戦要素はどうなるでしょうか?
Park氏: RO2はフル3D MMORPGだから,一画面に多数のプレイヤーキャラクターが現われる大規模PvPを実装すると,さまざまな問題が発生する恐れがありますよね。ほかにもいろいろと理由があって,今のところPvPは考えていません。 もちろんギルド戦などの大規模PvPも面白いですが,RO2は対立ではなく,協力を通じてMMORPGらしいプレイを満喫できるようなゲームとするつもりです。
4Gamer: なるほど。対立よりも協力によってMMORPGらしさを演出するというのは,コミュニティを中心に発展してきたROの続編には,ふさわしいかもしれませんね。 さて次は,人気のあるMMORPGとは切っても切れない話題なんですが,RMT(リアルマネートレーディング)については,どんな見解を持っていますか?
Park氏: 個人的には,RMTについて,決して"反対"の立場ではありません。ただやはり,ゲーム上ではなく現実世界の現金などを利用して,努力もなしにゲーム内での強さが得られるところは,問題だと思います。そんなことで強くなっても,プレイヤー自身面白くないと思うし,ほかのマジメに遊んでいるプレイヤー達にも大きな迷惑がかかる。 RO2では,ゲーム上で重要となる"成長する装備"に関しては,トレードできないようにしています。もちろん,アクセサリなどの非成長装備は,今までどおりトレードできますけどね。
4Gamer: 歓談会でもそのような話が出ていましたね。問題は感じているけど,"反対"ではない……今後どのようにRMTに対処していくのか,注目していますね。 さて,今回の東京ゲームショウ2005で公開されたRO2のプレイアブルバージョンは,オープンβテストでのRO2を100%とするなら,何%くらいの完成度といえますか?
Park氏: 開発的な側面では,ネットワーク周りの構造や,ツールなどの基礎作業が大部分完了しているから,完成度は50%前後といえます。
4Gamer: おお!
Park氏: いや,早まらないでください,あくまで開発的な側面でのお話です(笑)。コンテンツ的な面では数多くの企画が用意されているから,せいぜい数%です。 でもコンテンツアップデートのための基本的な器はほぼ完成している状態だから,RO2の全体的な完成度を高める作業は,案外すんなりと進行していくと思いますよ。 4Gamer: なるほど,期待しています。えー,なんだかんだで30分近く立ち話をしていますが,会場の撤収作業が終わってしまいそうなので,残念ですがそろそろ終わりにします。4Gamer読者達に一言お願いします。
Park氏: 4G読者をはじめ,日本のファンの皆さんがROを愛してくれたので,今日のROがあります。RO2もみなさんの期待に応えられるタイトルとなるよう,最善を尽くして開発中なので,多くの声援をお願い致します。
4Gamer: ギリギリまで引き留めてしまって,申し訳ありませんでした。本日はありがとうございました。
今後RO2の顔として広く知れわたるであろうPark氏の人となりやゲーム観を,いち早くROファンにお伝えするために,やや駆け足気味のインタビューになってしまったが,いかがだっただろうか。 ゲーム大国といわれる日本と,オンラインゲーム先進国といわれる韓国。それぞれの国の強みが十分に生かされたタイトルこそが,ROなのだといえる。その発展系であるRO2も,RO同様,世界コードと呼ぶにふさわしいタイトルに仕上がることを,一ゲームファンとして願ってやまない。 後日あらめて,Park氏へのインタビューを行うつもりなので,次の機会にはもう少し核心に迫る質問をしたいと思う。RO,ならびにRO2のファンは,ぜひ期待していてほしい。(大路政志 / 通訳:Kim Dong Wook)
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ラグナロクオンライン2 -Episode:0 巡りあう大地- |
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■価格:1980円/30日間(税込),5310円/90日間(税込) |
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