ATI Technologies(以下,ATI)は,台湾にある世界最高クラスの半導体ファブであるTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)との契約に関するリリースを発表した。それによれば,90nmプロセスによるATIの次世代グラフィックスチップ「Radeon X1800/X1600/X1300」シリーズなどが量産体制に入ったとのこと。TSMCの90nmプロセスの大部分はATI製品で占められるという。
TSMCのコーポレートデベロップ部門副社長であるJason Chen氏は,リリースの中で「TSMCの90nmプロセスで作り出されるATIの新製品は,前世代の製品とは比較にならない高クロック動作と低消費電力を示してくれるでしょう。TSMCは現在大量の300mmウェハをATIに提供しています。こういった積極的な展開によって,ATIはすでにTSMCで有力な90nmプロセスカスタマーの一つとなっています」と語っている。
現世代のRadeon X800シリーズは,TSMCの0.13μm Low-K Copperプロセスで製造されている。クロックや消費電力などではライバル製品を圧倒的に上回ったものの,チップテクノロジーとしては前世代のものしか提供できていなかったので,ここ1年のデスクトップ市場の展開では苦渋を強いられていた感があった。だが,次世代製品Radeon X1x00シリーズでは,シェーダモデル3.0(Shader Model 3.0)に対応することで,NVIDIA製品とようやく同じ土俵に立つことになる。
もっとも,GeForce 7800シリーズは0.11μmプロセスながらも,動作クロックなどはまだ余裕を持たせている。ATI製品が投入され次第,高クロック版で迎撃するという噂も出ていたほどだ(すでにこの計画はキャンセルされて,2006年春の次世代グラフィックスチップ「G80」で一気に叩く方針ともいわれる)。
「こちら」の記事で紹介したように,搭載カードのデモは東京ゲームショウ2005でも行われていたが,ここにきてようやくATIの製品が具体化してきた。製品名も公式に発表されたことで,クリスマスシーズンに向けての両陣営の動きが注目されるところだ。(aueki)
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