NC Softが開発中のオンラインテニス「Smash Star」は,近ごろ人気のあるカジュアルスポーツゲームだ。簡単な操作で派手な技を出していけるのが魅力だが,オンライン化についてはいろいろとクリアしなければならないハードルがあったようだ。 今回,Smash Starの開発者にインタビューできた。1タイトル30分という限られた時間のなか,急いで話を進めたので,いささかコマ切れの情報列挙となっている点はご容赦を。
Cho Hyun Jin氏
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4Gamer.net: 本日はよろしくお願いいたします。時間も短いことですし,早速本題に入らせていただきますね。Smash Starの特徴はどこにあるのでしょうか
Cho Hyun Jin氏(以下,Cho氏): 一言でいうと,リアル性をなくしたテニスゲームというところでしょうか。物理法則をほぼ無視して,エンターテイメント性を高めたゲームシステムとなっています。障害物がごろごろあるコートで対戦できますよ。
4Gamer.net: 例えばどんなコートにどういった障害物があるのですか?
Cho氏: ええと,道路コートでは,コートの上を車が通過しますし,氷コートでは,ボールが着弾した場所がどんどん崩れていき,最終的に穴が空いてしまいます。ボールが車に当たれば違う方向へと飛んでいってしまいますし,穴にボールが落ちれば相手のポイントとなります。
4Gamer.net: それは,なかなか過酷な条件ですね。
Cho氏: コートの性格に沿った戦略も練らないと勝てないでしょう。また,アイテムがランダムにコート上に出現するので,その使い方も重要です。あ,必殺技もありますよ。
4Gamer.net: 必殺技は何種類くらいあるのですか?
Cho氏: キャラクター1人につき2種ずつです。必殺技は,例えば拳銃でボールを撃つなど,キャラクターそれぞれに特徴のあるものが用意されてます。 また,コート上に出現する精霊アイテムを取ると,精霊がキャラクターに力を貸すというのもあります。炎や風といった属性を持たせてスマッシュするので,レシーブは難しくなります。この精霊には親密度があるので,これも成長要素といえるかもしれませんね。
4Gamer.net: 精霊システムは面白いですね。キャラクターも成長するのですか?
Cho氏: ええ,もちろん対戦を通じて経験値を稼ぐことで,成長していきます。能力値にはパワー, スピード, コントロール, サービス, チャンスの5種類があります。
4Gamer.net: なるほど,長くプレイできそうですね。話が少し戻ってしまいますが,今後のアップデートでコートの種類は増えますか?
Cho氏: コートは,昼と夜の2パターンがあります。G★出展バージョンでは,3コート分しか実装していませんが,11月と12月に1種ずつ追加することが決まっています。その後は,約2か月に1種ずつ追加していく予定です。 これらの新コートは,ボールの跳ね方,キャラクターの移動速度などの違いで特徴づけをしていきます。
4Gamer.net: 道路コートとか氷コートでの対戦は,白熱しそうですね。クエストやミッションはあるのですか?
Cho氏: 決められたスコアで勝利するとクリアできるミッションはあります。また,来年の上半期には,ミニゲームが実装予定となってます。
4Gamer.net: カジュアルゲーム内にさらにミニゲームとは思い切ってますね。
■テニスゲームのオンライン化での苦労点
4Gamer.net: 話は少し変わるのですが,先ほどから気になっているのが,Smash Starのキャラクターデザインは,Ntreev Softのパンヤに登場するキャラクターに似てるというところなのですが……
Cho氏: Smash Starはアニメ調のキャラクターを採用していますが,この絵柄を決める前に,社内でアジア風と欧米風の2種を用意してアンケートをしたんですよ。その結果アジア風のが人気が高かったので,現在のようなものとなりました。キャラクターデザインが似ているのは,もともとパンヤのキャラクターデザインを担当していた人が描いているからです。
4Gamer.net: なるほど。もしや韓国ではこのようなデザインがトレンドなのかと思ってました。キャラクターの数はどのくらいにする予定ですか?
Cho氏: 出展バージョンでは,Danny Ahn,Dorothy,Cielの3種のキャラクターが登場していますが,12月には2キャラクターを増やす予定があります。また,来年も継続して増やしていき,トータルで10種ほどを目指して開発を進めていきます。 それぞれのキャラクターは特徴が異なりますので,自分の好みに合ったキャラクターを選べるようになるでしょう。
4Gamer.net: ふむふむ。テニスゲームをオンライン化するに当たって,難しかったところはどこですか?
Cho氏: やはりサーバーとの通信部分ですね。 Smash Starでは,0.3秒〜0.8秒に1回通信を行っているのですが,リアルタイムにキャラクターとボールの動きを処理しなければならないために,通信遅延の問題が一番難しかったところです。
4Gamer.net: ゲーム中に通信遅延があると,スポーツゲームでは致命的ですよね。それを見えにくくするような工夫はされているのですか?
Cho氏: ええ,一部の処理をサーバー側ではなく,クライアント側で行ったり,P2P通信を行ったりすることで,全体的に0.1秒ずつ減らすことができました。具体的には,ボールがネットを超えたら相手側のクライアントに処理を移行するなどで,遅延を見えにくくしています。
4Gamer.net: 近ごろ,スポーツを題材にしたタイトルが多くなってきましたが,どのような種類のスポーツのオンラインゲーム化が難しいのですか?
Cho氏: ええと,サッカーとアイスホッケーは難しそうですね。逆に簡単なのは,バスケットボールやレースです。サッカーとアイスホッケーは,ボールの処理,各キャラクターの処理があるからです。さらに技術が進んだ数年後には,スポーツと何かの要素がフュージョンしたゲームが登場するのではないでしょうか。
4Gamer.net: 技術の進歩によって,新たなジャンルが生まれそうなわけですね。では,最後に日本のゲーマーに向けてコメントをお願いします。
Cho氏: 日本でもオンラインゲームは盛んです。Smash Starは,アップデートを繰り返してコンシューマゲーム機に負けないようなゲームにしていきますので,ぜひ期待していてください。
4Gamer.net: ありがとうございました。
Smash Starは2005年10月からオープンβテストを行っている。ブースで試遊しただけでもその面白さは十分伝わってきたが,キャラクターやコートの少なさがちょっと気になっていた。 今回のインタビューで聞くことができたアップデート内容が実装されれば,さらに面白さが加速していくだろう。日本での展開は今のところ未定とのことだったが,日本語ローカライズを開始しているという噂もあるので,もしかしたら早いうちに国内でもプレイできるのかもしれない。(Seal)
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