[G★2005#066]規模を世界に拡げたオンライン交易ゲーム「巨商2」プロデューサーインタビュー
今から約半年ほど前の2005年5月に電撃発表されたJOYONの「巨商2」は,MMOエコノミックシミュレーションという新しいジャンルを標榜し,今までとは異なるゲームを目指しているのが特徴だ。国内ではガマニアデジタルエンターテインメントが運営を行っている,「巨商伝」の後継作で,期待が集まっている。 本作のプロジェクトマネージャーに起用されたKim,Mu-Kwang氏は,日本でもおなじみのシールオンライン,レイシアン,ナルシリオンなどを開発してきた人物で,2年前から巨商2のプロジェクトマネージャーとして開発に携わっている(逆に,前作とは接点がないらしい)。G★ 2005でインタビューを行う機会に恵まれたので,経済のシステムと冒険の2本を柱とする,本作のゲームシステムの詳細をメインに聞くことにした。
4Gamer: 本日はよろしくお願いします。
Mu-Kwang,Kim氏(以下,Kim氏): こちらこそ,よろしくお願いします。
4Gamer: 今回,ブースではプレイアブルではなく,ムービーのみの出展となった「巨商2」ですが,前作「巨商伝」と変わったところを教えてください。
Kim氏: 巨商はアジアを舞台とした交易MMORPGでしたが,巨商2では,世界を舞台としているところが最も大きく異なるところですね。交易がメインになっているのは巨商2でも同じで,都市経済の発展を目指していきますが,冒険要素も強く出しています。
4Gamer: 具体的にはどのあたりの国が登場するのですか? 公式サイトでは,朝鮮,イギリス,ポルトガルが公開されていますが,シャドウで隠されている3国が気になります。全部で6か国ですか?
Kim氏: ええと,プレイヤーが選択できるのは,朝鮮,日本,中国,ブラジル,ポルトガル,イギリスの6か国ですね。つまりあのシャドウとなっている国は,日本,中国,ブラジルとなります。 ゲーム内容的には,地球規模となりますし,アフリカ大陸もありますので,今回は海を渡っての交易となります。あ,グラフィックスが2Dから3Dになったことも変わったところかな(笑)。
4Gamer: そうですね(笑)。というより「巨商伝」の雰囲気は残されておらず,プロモーションムービーの結構派手な戦闘シーンが印象的でした。
Kim氏: 戦闘システムも前作と大きく変わったところですね。前作のRTSのような戦闘システムではなく,3Dグラフィックスでアクション性を増したリアルタイム戦闘となります。前作同様に傭兵も登場するのですが,傭兵と一緒に冒険すれば,空中コンボのようなアクションもできますよ。
4Gamer: 戦闘には相当力を入れているようですね。
■前作システムを一部継承しながらも新しいアイデアを導入
4Gamer: 傭兵は前作と同様のシステムなのですか?
Kim氏: 一部は同じようなシステムを入れてますが,イメージ的にはまったく違うものとなります。傭兵は戦闘などを繰り返すと銅,銀,金といったようにレベルが段階的に上がります。傭兵の性格を決めるAIの種類も結構ありますので,協力しての攻撃を行っていくのが基本ですね。この傭兵には,プレイヤーに対する好感度という要素もありますので,傭兵と冒険をしていくのも楽しくなるでしょう。 ちなみに傭兵は,ゲーム中ではカードの形で表されます。この傭兵カードを集めてブックに入れておくと,必要なときに呼び出せるという感じです。傭兵は数十種類以上を用意する予定です。
4Gamer: 傭兵を集めるのも面白そうですね。スキルにはどのようなものがありますか?
Kim氏: 大きくは戦闘スキルと,経済スキルの2種に分かれます。戦闘は,先ほどの空中コンボのような大技を繰り出すものが多く,攻城戦用スキルやトラップ解除スキルなどもあります。一方の経済スキルは,商売をしやすくしたりサポートしたりするものが多くなってます。2種の割合は半々といったところでしょうか。スキル自体は,イベントで習得するものが多いですね。 パーティは,一応現在は15人までとなってます。職業は,前作よりも細分化してあって,商人,探検家,海賊,経営者など多く用意する予定ですので,多人数パーティでの冒険も面白いでしょう。
4Gamer: パーティの人数上限が結構多いのですね。そうすると全員が傭兵を2人ずつ出した場合は,45人……?
Kim氏: ええ,そうなりますね。でもさすがに少し多いので,制限を設ける予定です。
4Gamer: なるほど。都市の発展については前作と異なりますか?
Kim氏: 都市の発展によって見た目が大きく変わったり,街の機能も増加したりという大枠は前作と同じです。巨商2では,都市を所有すると株式が発行でき,さらに富を得られる可能性が増えます。都市の数は一つの大陸で50ほどありますので……そうですね,全部で160くらいでしょうか。アジアは多いですけど,ヨーロッパは比較的少なめです。
4Gamer: ふむふむ。先ほど海洋を冒険すると伺いましたが,ゲームの流れはどのような感じとなってますか?
Kim氏: ええと,まず世界地図のようなマップで移動し,各地域を表すバトルフィールドに入ります。バトルフィールドには,都市,通常ダンジョン,インスタンスダンジョン,クエストダンジョンなどがあり,ここはMMORPGのフィールドのようなイメージとなります。
4Gamer: 移動は少しユニークですね。
■交易と冒険など多様な面白さを演出
4Gamer: そういえば,ムービーでチーターのような動物に乗っているのが映ってましたが,あれは騎乗用の動物ですか?
Kim氏: ええ,移動時は,動物にも乗れますよ。陸上用はチーター,ゴリラ,ペガサス,カメなどの動物を含めて54種で,海上用も船などで50種以上ありますから,結構たくさんですね。
4Gamer: え,そんなに登場するのですか。では世界の端から端まで移動するのに時間かかりますか?
Kim氏: うーん……やったことないから分からないけど,普通に移動したら1時間くらいかかるかな。
4Gamer: そこそこ広いんですね。攻城戦はあるのですか?
Kim氏: 前作の攻城戦は,都市の数が多すぎたことと,バランス調整が難しかったので,あまりうまくいきませんでした。巨商2では,当初からこの部分を念頭においてバランシングしています。
4Gamer: 近頃ではSiLKROADオンラインなど,交易MMORPGというジャンルが一般的になってきたかと思います。それらとの差別化はあるのですか?
Kim氏: 交易や経済をメインとするゲームは一通り遊びましたし,もちろんSiLKROADオンラインもプレイしてみました。巨商2は,それらとは一線を画すようなユニークなゲームに仕上げたいと思ってます。例えば,交易や経済のシステムだけでも,現実のシステムを取り入れた複雑なものとなってますし,携帯でギルドの様子や物価のチェックもできるので,リアリティは相当高いのではないでしょうか。 また自由度も高くして,プレイヤーの遊び方,つまり交易だけでなく戦闘や,冒険などでも多様な面白さを出していければと思ってます。前作にもあったミニゲームにも力をいれて,将来的には世界中のカジノを実装したいですね。
4Gamer: 世界中のカジノですか,それはまた壮大な計画ですね。では,時間もかなり押しちゃってますので,最後に日本のゲーマーに向けて一言お願いします。
Kim氏: コンシューマゲーム機のタイトルではなにか物足りないと感じる人でも解消できるような楽しさを含んだゲームにしたいと思ってます。既存のMMORPGとは異なるゲームに仕上げていきますので,ぜひ期待してください。
4Gamer: 本日はありがとうございました。
G★ 2005では,残念ながらプレイアブル出展が見送られた巨商2だが,2005年末にはクローズドβテストを開始予定だという。プロジェクトマネージャーの話を聞くだけでも多様な要素が取り入れられているのは分かったが,逆に,各要素がうまく絡み合うように調整するのは非常な困難が伴うのではないかとも感じた。 しかし,前作の問題点をうまく吸収/解決でき,同じようなゲームシステムが多いと評される韓国MMORPGとも異なるゲームとして開発されたときの本作は,韓国MMORPG界に一石を投じることができるだろう。MMOエコノミックシミュレーションというジャンルを確立できるだけのヒット作を期待したいところだ。(Seal)
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