[韓国ゲーム事情#438]韓国で「Gオンライン」改め「SDガンダム・カプセルファイター」発表会
Kimの韓国最新ゲーム事情#438
ガンダムの最新オンラインゲーム「SDガンダム・カプセルファイター」発表会開催(2005/11/17)
Text by Kim Dong Wook特派員
■日韓メディアが注目するSDガンダムオンラインゲーム
以前の記事でお伝えした,SDガンダムをモチーフとするオンラインシューテングゲームの内容がいよいよ明らかになった。
BANDAI KOREAとSOFTMAXは11月15日に,ソウル竜山電子街(東京の秋葉原のような電気街)のLAND CINEMA映画館で,“3Dシューテングアクションオンラインゲーム”「SDガンダム・カプセルファイター」の制作発表会を行った。 発表会にはサンライズ,バンダイ本社,TOM CREATEなど関連会社の役員達を筆頭に,韓国と日本のメディアも多数詰めかけて,館内の200席余りをいっぱいにした。 ゲームの全般的な開発を担当するSOFTMAX社のTEAM TRINITYと,CGムービー,モビルスーツのモデリング,モーション制作などを担当するTOM CREATE(SDガンダム GGENERATIONシリーズで有名)により,2年にわたって秘密裡に開発されてきた同作品の制作ドキュメンタリー映像と,αバージョンのテストプレイ,今後の展開に関するプレゼンテーション,開発スタッフの紹介などが行われた。
同ゲームの企画を担当しているBANDAI KOREAの代表,江本義昭氏は発表会冒頭の挨拶で,「ガンダムマニアだけでなく,ライトゲーマーにもアピールするゲームを作る」と強調した。また「28年という長い歴史を持つガンダムのファン達には,今まで一つの望みがありました。それは,自分のイメージどおりのガンダムを作ることです。プラモデルである程度可能とはいえ,これはとても難しいものでした。しかし,オンラインゲームというデジタルベースの製品ならば,自由なカスタマイズが実現するのです」と,同プロジェクトがガンダムの歴史において画期的な出来事である旨コメントした。
■サンライズ自らが出資するプロジェクト
続いて登壇したSOFTMAX社の社長 Jeong Young Hee氏は「ガンダムという超大物コンテンツをオンラインゲーム化すること自体が非常に大きなプレッシャーでした。とくに,コアなガンダムファンはもちろんのこと,ライトゲーマー達をも満足させられるコンセプト打ち立てることは非常に困難です。しかし,現在までのゲームの完成度を見れば, 期待以上のゲームが出来るはずだと確信しています」とデベロッパとしての苦心を覗かせた。
同ゲームの発表会のため訪韓した,サンライズの専務取締役 松本 悟氏は「当社はガンダムに関連したさまざまなプロジェクトを手がけてきましたが, 直接に出資したことはありませんでした。しかし,今回のオンラインゲームプロジェクトにはあえて出資を行ったほど, 我が社として期待の大きいプロジェクトです。SDガンダム・カプセルファイターを通じて,ガンダムの世界がより広がると確信しています」と,原作会社としての大きな期待感を示した。
■ミニホームページ「Pilot Room」などWebサービスと連携
経営陣によるスピーチが終了したあと,同ゲームのプロデューサーであるKim Do Hyung氏が登壇して,ゲームに関する詳細なプレゼンテーションを行い,今後の展開についても語った。彼は同プロジェクトのキャッチフレーズが「Online Capsule Toy Life」であると述べたあと,
■ カプセルトイビジネスモデルをオンライン上で具現化 ■ 世界初のMMOガンダムシューテングアクション ■ ゲームとWebのリアルタイム連動による,新しい形態のコンテンツ ■ 新しい収益モデルを通じて,オンラインビジネスの新しい方向性を提示する
という,四つの意義を述べた。
ガンダムというキャラクターが,プラモデルおよびそのほかの玩具で高い人気を集めていることから構想された同プロジェクトは,プレイヤーが「ガシャポン」でさまざまなガンダムのおもちゃを購入するように,オンラインでガンダムの各機体を収集できるのが特徴だ。 プレイヤーはカプセルに入ったモビルスーツをWeb上で収集し,それに乗って,戦闘を行うというコンセプトになっている。各モビルスーツについては,自分の趣味で色を変えたり,エンブレムステッカーを付けたりといった,ロボットフィギュアの装飾/ディテールアップと同じようなことをオンライン上で行える。
また,Webコミュニティを通じて自分が趣向を凝らしたガンダムを他プレイヤーに見せたり,プレイヤー同士でモビルスーツを交換したりできるのも,重要なポイントだ。 Webコミュニティではユニットの収集,交換,装飾,陳列などが可能で,多様なコミュニケーションの場として活用される。オンラインゲームとWebの,リアルタイムの連動がこの作品の見逃せないウリの一つなのである。 ゲームクライアントとWebは,各プレイヤーのモビルスーツ保有情報をリアルタイムで共有しており,Pilot Roomと呼ばれるプレイヤー各自のミニホームページでは,実際にゲームに登場する自分のモビルスーツの3Dモデルを鑑賞し,さまざまなポーズをつけて写真撮影をするといったことも可能だ。そして,自分が保有するモビルスーツについては,簡単な手続きで商店に登録して販売できる。手っ取り早く言えば,ガンダムに特化した SDガンダム・カプセルファイターのBlogみたいなものだ。
以前にもお伝えしたとおり,SDガンダム・カプセルファイターには,ガンダムシリーズに登場する約300種類ものモビルスーツが登場,サービス当初の第1期エディションとしては,約110体が用意されている。対象となる作品は以下のとおりだ。
■ 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 ■ 機動戦士ガンダム 0080 "ポケットの中の戦争" ■ 機動戦士ガンダム 0083 スターダストメモリー ■ 機動戦士ガンダム MS 08小隊 ■ 機動戦士Zガンダム ■ 機動戦士ガンダムZZ ■ 機動武闘伝Gガンダム ■ 機動戦士ガンダムSEED
同発表会でデモプレイが行われたαバージョンのSDガンダム・カプセルファイターは,すでに相当な完成度に見え,2006年1月から4月まで数回にわたるクローズドβテスト,5月から6月のオープンβテストを経て,2006年7月に正式サービスされる予定。 モビルスーツを購入していくというコンセプトから察しがつくとおり,同作品ではアイテム課金方式が採用される。
■2007年以降に海外展開を見据えた長期計画
Kim Do Hyungプロデューサーは続いて,明確なターゲット設定と制作方針に基づく開発戦略を,次のように明らかにした。 まず,クローズドβテスト,オープンβテストが行われる2006年1月から6月までは,認知度を高め,ゲームの基本形態を確立する「基本確立期」。この時期のキーワードは「SDガンダム」「EASYアクション」「多様なゲームモード」「多様なユニット」であるとして,ガンダムのコアなファン層(GC)10%,ガンダムのライトファン層(GL)40%,ライトゲーマー層(L)50%を目標にすると述べた。 また,正式サービスが行われる2006年7月から2006年末までは,サービス形態を確立してゲーム内の経済を発生させる「楽しさ発生期」と規定し,この時期のキーワードは「TOY」「収集」「トレード」「クラン」「カスタマイズ」として, GC=10%,GL=30%,L=60%と,一般ゲーマーをより多く誘導する。 2007年以降は,ガンダムの世界観を生かしてゲームの長期的なプレイ目的を付与する「進化期」として,ライトゲーマーを,ガンダムに関心を持つガンダムライトユーザーに進化させるという戦略をとる。この時期のキーワードは「勢力争い」「ガンダムマニア」「シチューエーションモードの強化」である。
韓国サービスを通じて安定稼働を実現したあと,同プロジェクトの海外展開は2007年以降に活発化すると見込まれる。以前の記事でもお伝えしたように,海外サービスでは,その国の都市や地域をローカライズマップの戦略的要衝地として挿入,現地ゲーマーの没入度をより高めるという戦略だ。この日公開された韓国サービスのローカルマップには,ソウルの中心部にある南大門と,韓国南部の港湾である釜山港が登場する予定だ。
この日発表会場に来た業界関係者達は「日本の有名コンテンツと韓国のオンラインゲーム開発技術が,新しいキャラクタービジネスを生み出す,意義ある試み」と評価し,「今後,世界のオンラインゲーム市場で成功するためには,SDガンダム・カプセルファイターのように,各国がそれぞれの長所を活用して協力していくプロジェクトを増やしていくべきだ」と,同プロジェクトの試みを賞賛した。
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SDガンダム カプセルファイター オンライン |
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