[韓国ゲーム事情#478]韓国でWoW拡張パック発表会&日本サービスは?
Kimの韓国最新PCゲーム事情#478
韓国でWoW拡張パック発表会&日本サービスは?(2006/2/3)
Text by Kim Dong Wook特派員
以前お伝えしたように,本日2月3日から5日かけて,ソウルのCOEX大西洋ホールで,「Blizzard Worldwide Invitational 2006」(以下,BWWI)が開催されている。 このイベントの詳細なレポートは,開催期間の3日が終了してからお送りするとして,取り急ぎ,大西洋ホール近くに場を設けて行われたプレスセッションの模様をお伝えしよう。
メインステージで行われたイベント「韓国人プレイヤーとWoW開発者達の出会い」では,まずBlizzard EntertainmentのFrank Pearce副社長,「World of Warcraft」のリードデザイナーTom Chilton氏,「Warcraft III」のリードプロデューサーのCreath Sigathy氏が壇上に立ち,3人で「韓国のWoWファン達の熱い思いに応え,WoWの拡張パック『The Burning Crusade』の詳細な情報を,世界で初めて韓国で公開します」とコメントした。
Pearce氏は,UCLA(University of California at Los Angeles)でコンピュータ工学を専攻していた優秀な人物で,Blizzardの設立メンバーの一人だ。過去の同社のすべてのPCタイトルで開発を仕切ってきており,WoWの開発にも総責任者として関わっている。拡張パックであるThe Burning Crusade(以下,BC)でも,プログラム,アート,そしてコンテンツ制作を指揮している,まさに同社開発陣の中心的人物だ。 彼は,BWWIを2004年に引き続いて韓国で開催することについて,「韓国は,StarCraftやWarcraft IIIなど,当社のタイトルが爆発的にヒットすることで,これらがe-Sportsとして発展するきっかけを作ってくれた恩のある国。今では文句なしのe-Sports大国といえる国なので,今回も韓国で行うことに決めた」と語り,その後約1時間にわたって,韓国メディア達とのセッションを行った。 ここではその模様を,Q&A形式でお伝えしよう。
Q: WoWは,先日全世界でのプレイヤー(アカウント)数が550万人を突破たとの発表がありました。国別では,どれくらいの数字ですか?
Frank Pearce氏: カナダとアメリカを合わせて約110万アカウント,ヨーロッパで約100万アカウント。韓国ではここ1か月だけでも60万アカウントが増えており,計300万アカウントを記録しています。ただ中国については,まだ正確な数字が確認できていません。
Q: EverQuestシリーズは北米では成功しましたが,アジア市場では苦戦しているようです。一方リネージュシリーズの場合は,逆にアジア市場ではヒットしているものの,北米圏では成功したとはいえないでしょう。しかしWoWは,洋の東西を問わずに成功を果たしました。これは,今のところ唯一のMMOタイトルと言っていいと思います。ぜひその秘訣を教えてください。
Tom Chilton氏: WoWの世界観は,全世界の文化を少しずつ取り入れて作り上げました。そのため,特定の国にのみアピールするとか,逆にある国の人から見て違和感を感じるということが少ないと思っています。それは,グラフィックスを見ても分かるのではないでしょうか。 また,操作やシステムを覚えやすく作ってあるので,初心者の人も引き入れやすいというのも長所です。プレイヤーががんばれば,がんばっただけ報われるように作ってありますので,それも受けているようですね。
Frank Pearce氏: さらに付け加えるならば,私達が今までWarcraftシリーズやStarCraftで積み重ねてきた,ブランドの認知度,顧客に対するネームバリューが,実に大きく作用しているでしょう。過去のゲームで親しんできた世界で遊べるので,気軽にプレイし始められるようです。
Q: WoWの拡張パックであるBCの開発状況を教えてください。発売はいつごろでしょうか?
Tom Chilton氏: BCの開発は,非常に順調に進んでいます。ただ,私達は完璧な状態でリリースしたいと考えていますので,現時点では,明確にいつごろ発売できるとは言えません。おそらく,年内には発売できるでしょう(笑)。
Q: BCが発売される前に追加されるコンテンツには,どういったものがあるでしょうか?
Tom Chilton: 最高レベルのプレイヤー達のためのインスタンスダンジョンと,レイドダンジョンを新しく追加します。既存のダンジョンにも手を加える予定ですが,まったく一から作っているものもありますよ。 既存のダンジョンには,新しいクエストや,ボスモンスターを追加します。また新しい防具セットなども追加しますので,クリア時の褒賞にもご期待ください。
Q: BCで公開される,目新しいシステムのコンテンツはありますか?
Tom Chilton: 新しいシステムの追加よりも,コンテンツ自体の拡張に力を注いでいます。とくに,名誉システムは大きく改善する予定です。また,今後サーバー間の垣根を越えた統合フィールドも公開する予定ですが,これはもう少し時間がかかりそうです。
左はFrank Pearce氏,右はTom Chilton氏
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ここから先は,WoWの相当なコアマニアにしか理解できないようなハイレベルかつ細かい質問がかなり浴びせられていたので,ここでは掲載しないことにする。
さてプレスセッションが終わってから,筆者はメインステージへの参加のためイベント場へ向かっているFrank Pearce副社長を通路でつかまえ,WoWの日本サービスに対して聞いてみた。 同氏は少しためらう表情を見せたあとに「現在協議中です」と短く返事してくれた。なおも「今年中には可能になりそうですか?」と聞いてみたのだが,「まだ決まったことは何もないので,言える段階にはありません」とのこと。 以前4Gamerでも触れたことを引っ張り出して,「御社公式サイトにライブドアの名前があるのですが,これはWoWとの何らかの関わりを示すものだと思ってよいですか?」とも聞いてみたが,「ノーコメントです」でかわされてしまった。 Blizzardは常に情報の出し方について厳しいので,日本サービスに対しても(もし仮に何かが進んでいても)教えてはくれないだろうと予想はしていた。しかしPearce氏の簡潔な返事から察するに,日本サービスへ向けての協議がまだ進められていることは間違いないように思える。少なくともBlizzard側に(親会社であるVivendi Universal Gamesは分からないが)諦めの意志は見られない。 今後まだしばらくは成長を続けるであろう日本のオンラインゲーム市場に,いつかWoWが参入してくることを期待したい。
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