NVIDIA,ファンレス動作が可能な「GeForce 7600 GS」を発表
NVIDIAは,米国時間2006年3月22日,「GeForce 7600 GS」「GeForce 7300 LE」という新型グラフィックスチップ2製品を発表した。それぞれ,すでに搭載製品が販売されている「GeForce 7600 GT」「GeForce 7300 GS」の下位モデルに当たる製品だ。
■ファンレス動作が可能で ■SLIもサポートされるGeForce 7600 GS
GeForce 7600 GSの概要。コア400MHz,メモリ800MHz相当と低く抑えられているが,その代わりファンレス化が可能になった。リファレンスデザインではデュアルリンクDVI×1を用意。新PureVideoにはもちろん対応しており,H.264のハードウェア再生支援もサポートする
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GeForce 7600 GTがGeForce 6600 GTを置き換える製品であるように,GeForce 7600 GSはいわゆる“GeForce 6600無印”を置き換える製品とされている。
GeForce 7600 GSのユニット構成は,頂点シェーダ(Vertex Shader)が5基,ピクセルシェーダ(Pixel Shader)が12基,ROPが8基と,GeForce 7600 GTと同じ。ただし,動作クロックはコア400MHz,メモリ800MHz相当(400MHz DDR)で,GeForce 7600 GTの同560MHz,1.4GHz相当(700MHz DDR)からすると,かなり大きなクロックダウンだ。 だが,こと消費電力という観点でとらえれば,これには大きなメリットがある。具体的な数字は明かせないとのことだったが,90nmプロセスの効果もあって,GeForce 7600 GSは冷却機構をパッシブ,すなわちファンレスにして駆動させることが可能という。“前世代モデル”GeForce 6600では,ファン付きチップクーラー搭載カードが主流だっただけに,これは大きな進歩である。
また,GeForce 6600とは異なり,GeForce 7600 GSでは,初めからNVIDIA SLI(以下SLI)動作がサポートされている。SLIブリッジコネクタ用の接続端子も標準装備だ。
NVIDIAのデスクトップ向けグラフィックスチップ担当プロダクトマネージャであるJason Paul(ジェイソン・ポール)氏は「GeForce 7600 GSの価格帯は129〜149ドル(日本円で1万円台半ばから後半)になる。競合他社のRadeon X1600 Proと価格的に競合するが,性能では上回るだろう」と述べる。NVIDIAが行ったベンチマークテスト結果では,GeForce 7600 GSはRadeon X1600 Proよりおおむね1.5倍高速で,Radeon X1600 XTに対しても互角以上とのことだ。
Radeon X1600シリーズに対するGeForce 7600 GSの優位性を示す,NVIDIAによるスライド。スペックでRadeon X1600シリーズを上回り,ほぼ同価格帯のRadeon X1600 Proには完勝,さらに上位モデルのRadeon X1600 XTよりも高速と謳う
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GeForce 7600 GSは,最新最速の環境を構築するための手段では決してない。だが“GeForce 6600無印”の後継として,大多数のオンラインRPGが要求するスペックを満たしつつ,同時にファンレス運用が可能なGeForce 7600 GSは,今後PCメーカーのゲーマー向けPCの標準カードになっていく可能性がある。オンラインRPG好きの人は,注目しておいて損のない製品といえる。
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NVIDIAと同時に,ASUSTeK ComputerはGeForce 7600 GS搭載製品を2モデル発表した。リファレンスどおりのスペックとなる「EN7600GS SILENT/HTD/256M」と,メモリクロックが540MHz相当(270MHz)と下がる代わりにグラフィックスメモリを512MB搭載する「EN7600GS SILENT/HTD/512M」が,早ければこの週末にも店頭に並びそうだ。予想実売価格は順に2万円前後,2万4000円前後 |
■GeForce 7300 LEは数千円で買える ■PureVideo&Vista Ready製品
GeForce 7300 LEの概要。ファン付き,Low Profile仕様の製品が登場する可能性もある
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なお,GeForce 7300 GSの下位モデルに当たるGeForce 7300 LEについて,本誌読者で関心を持っている人はほとんどいないだろうが,念のため紹介しておこう。
GeForce 7300 LEはGeForce 7300 GSとほぼ同じハードウェア仕様ながら,コアクロックが450MHzとGeForce 7300 GSは550MHzと抑えられ,最大メモリ容量にも128MBの制限がある。メモリクロックはカードメーカーに任されるが,いずれにせよ,GeForce 7600 GS同様に,ファンレス運用が可能になっているのが特徴だ。
前出のPaul氏は「GeForce 7300 LEは,49〜69ドル(6000〜8000円)という超低価格のレンジをサポートする。こうしたローエンドの市場における,Windows Vistaに対応したグラフィックスカードの選択肢というのが,GeForce 7300 LEの役割になるだろう」とのこと。GeForce 7300 GSよりスペックが低いのだから当たり前だが,いよいよゲーマーとはあまり関係のない製品といえる。
ちなみに,GeForce 7300 GS/LEは,上位モデルのGeForce 7900/7600シリーズではサポートされている,ハイビジョン,HDとも呼ばれる高解像度ビデオ再生時の機能がいくつか省略されている。とはいえ,それ以外の,MPEG-2ビデオに関する部分などといった新PureVideoの機能はフルに利用可能だ。サブマシンのビデオ/テレビ専用機用に,“Vista Ready”のグラフィックスカードを用意しておくという意味では,意外と悪い選択肢ではないかもしれない。(笠原一輝)
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