[GDC06#12]驚愕のアニメーションツール「SOFTIMAGE|FACE ROBOT」を公開
エキスポ会場を歩いていて目を引いたのが,3月上旬にAvid Technologiesから発表されたばかりの「SOFTIMAGE|FACE ROBOT」のデモだ。なにやら,往年の美人女優ボー・デレクにも似たセクシーな唇が,モニターからやたらとリアルに微笑みかけていたのである。 この「Face Robot」は,コンピュータ・グラフィックス会議の「Siggraph 2005」で初めて公開されて以来,話題を呼んでいたフェイシャルアニメーション専用のツールだ。映画アカデミー賞の短編映画部門でノミネートされた「Gopher Broke」を制作した,Blur Studiosとのコラボレーションで開発された新技術である。CG映画だけでなく,コンピュータゲームのキャラクター制作にも利用可能で,キーフレームとモーション・キャプチャのアニメーションに対応する。
顔の軟組織をコンピュータモデル化することで,本来なら,CGキャラクターの表情アニメーションは,アニメータが何百もの些細な部位を,コツコツとマニュアル調整しながら作り出していた。 その作業を,「soft tissue solver」という独特の機能によって皮膚の動きをシミュレートさせることで,最低限に簡略化させることに成功したのである。「SOFTIMAGE|XSI」からは分離された単独のパッケージであり,ファイルフォーマットは「Maya」の.mbと.fbx,「3ds Max」の.max,「Point Oven」の.pscや.lwo2などがサポートされている。
驚くべきは,その値段。「SOFTIMAGE|FACE ROBOT Designer」は,シワやほくろなどの作成ツールといったものを含めた完全版で9万4995ドル (約1100万円)。ストリップダウンされた「SOFTIMAGE|FACE ROBOT Animator」でも1万4995ドル(約175万円)となっており,とてもアマチュアの遊び心で買えるものではない。 しかし,このソフトのα版で制作されたロックバンドU2の新曲「Original Of The Species」のプロモーションビデオでも,その能力は十分に推し図ることができる。これが数年後にはゲームの中で拝見できるであろうことを想像すると,ちょっとワクワクしてくる。(奥谷海人)
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