いよいよ見えてきた「Warhammer Online」:発表会レポート#1
MMORPG「ダーク・エイジ・オブ・キャメロット」によって,PvP/RvRの面白さを世に知らしめたMythic Entertainmentは,現在MMORPG「Warhammer Online: Age of Reckoning」を開発中だ。米国時間の2006年3月30日,同社内においてメディア向けの発表会が行われたので,その内容をお伝えしよう。なお,残念なことにプレゼンテーション中の撮影は許可が降りなかったので,写真はもらったスクリーンショットのみとなっている点を了承してほしい。
プレゼンテーションは,Mythicのキーマンが次々と登場してプロジェクタやホワイトボードを使って説明をするという形式で,まるで大学の講義のようだった。 最初にMarketing DirectorのSteve Perkins氏によって挨拶が行われ,2005年10月でMythicが10周年を迎えたこと,これまでに15タイトルものオンラインゲームを手がけたこと,スタッフが170人いることなどが語られ,同社の看板タイトルとも言えるダーク・エイジ・オブ・キャメロットの簡単な解説も併せて行われた(すでに周知と思われるのでここでは割愛する)。 次に,現在のMMORPG市場が非常に熱い市場であることが強調されると,スクリーンには「thanks to WoW,nothing is hotter than MMO's on the PC」の文字が。要は「World of Warcraft」によってPCのオンラインゲーム市場が活性化したことへの感謝なのだが,これはもちろんそのままの意味ではないようで,Steve Perkins氏の口調からは,その市場をWarhammer Onlineによって掌握しようとする自信がしっかりと感じ取れた。 続けて,ボード版Warhammerの解説が行われた。Warhammerが25年の歴史を持ち,世界で100万人以上のプレイヤー,350件の販売店(日本は41件)を擁し,さらには小説,TRPGルールブック,カードゲームなどメディアミックスを成功させていることが語られ,Warhammerの魅力を強調。こうして簡単な挨拶は終了し,いよいよ本題のWarhammer Onlineの話題へ移っていった。
■登場するアーミーやクラスは?
次に登場したのは,Consulting License ProducerのPaul Barnett氏。氏はボード版WarhammerをデザインしたGamesWorkshopとMythicを兼任しており,アメリカとイギリスを行き来しながら,Warhammer Onlineの開発に従事している多忙な人物。非常にユーモアセンスのある人で,ドワーフやエルフの物まねなどを交えながらのプレゼンテーションに,会場が笑いに包まれることもしばしば。氏の解説では,本作に登場する種族はOrderとDestructionの二つの連合に分けられ,下記の6アーミーがゲームに登場するとのことだった。
Order:Empire,Dwarf,High Elf Destruction:Chaos,Greenskins(Orc/Goblin),Dark Elf
これはすでに伝わっている情報どおりで,とくに目新しい点はない。ボードゲーム版では数多くのアーミーが存在したので,ほかのアーミーは? と尋ねたところ,NPCとしていくつかのアーミーが登場するとのことだった。 またアーミーは性格がゲームのクエストなどにも反映されるとのことで,もしもパイをテーマにしたクエストがあったら……という例を挙げて,アーミーごとの性格を解説。 Empireはパイを手に入れてNPCに渡して報酬をもらい,Dwarfはパイの中を探って金貨が見つからないとパイと酒を交換するように持ちかけ(金と酒が大好きなため),Greenskinsはパイに粗相をした後それを食べてパイをくれた人を殺し,Chaosはクエストをくれた相手を殺し,その結果には何らかの超自然で混沌とした何かがつきまとい,Elfは高貴なためつまらないことに関心はないと見向きもせず,DarkElfはクエストをくれた人を裏切ったあげくに,パイを焼いた窯が自分のものだと愚痴るという。 Paul Barnett氏のプレゼンはイギリス的なジョークが多かったこともあって,翻訳すると少々おかしな説明になってしまうが,なんとなく種族ごとのスタンスの違いが感じてもらえたら幸いだ。
またクラスについては,各種族に四つずつ用意されているとのこと。大別するとFighter系(Melee職)とAcademic系(Caster/Healer職など)となるらしい。なおプレゼンでは例としてDwarfを挙げ,以下のようなクラスがあることが説明された。
Fighter:Iron Breaker/Hammerers Academic:Engineer/Rune Priest
ちなみに,必ずFighterとAcademicが2種類ずつというわけではなく,選んだ種族によってはFighterとAcademicの比率が3:1となるケースもあるらしい。
■RvRを前面に押し出したゲームシステム
水色はGreenskins,黄色はDwarfの生息地域。各数字はキャラクターレベルに応じてPOPポイントが変化することを示している。低レベルのキャラも番号間の往来は可能。それぞれの場所でRvRやクエストが楽しめるようになっているとのことだ
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次に登場したのは,ProducerのLance Robertson氏と,Content DirectorのDestin Bales氏。これまでのプレゼンでは実際の画面を交えることはなく,ようやくこの段階で実際に動いているWarhammer Onlineの姿が目にできた。といっても,ここで披露されたバージョンは「とりあえず動く」という程度のものだそうで,現状のものがそのままゲームになると思ってほしくないとのこと。なおプレゼン中には,ゲームエンジンについての説明はなかったが,おそらくDAoCと同じエンジンが導入されていると思われる。
ゲーム開始と共に,キャラクターはNPCガードが守る拠点にポップする仕組みで,すぐにでも対人戦が楽しめるようになっていた。これは製品版でも同様だそうで,本作がDAoC以上に対人戦を強調したタイトルであることがうかがえた。なおキャラクターのレベルが上がると,図にあるように1,2,3,4とポップできる場所が変化する(増える?)ようで,これによって同レベル帯のプレイヤー同士を結びつけるとのことだった。そして最終的には,敵勢力のCapitalCityを陥落させるのが目的になるとのことだ。 対人戦については,Skirmish(通常の対人戦),BattleField(建物や場所の取り合い),Scenario(インスタンスPvP),Campaign(CapitalCityの取り合い)の四つに分類できるとのこと。Scenarioで仲間が集まらない場合は,NPCが共に戦ってくれるという仕様も盛り込まれるようで,いつでもどこでも思う存分対人戦が楽しめそうだ。
クエストについての解説も行われた。クエストについては,PvEゾーンのみで完結するもの,PvPゾーンで行われるが対人戦に関係ないもの(偵察など?),対人戦をメインとしたものという三系統のタイプが用意されるという。また内容に関しては,一般的なMMORPGにあるような「お使い系クエスト」はもちろん,エリアにいるプレイヤー全員を対象としたクエストや,モンスターを殺しまくっていると,とあるNPCからいきなり報酬がもらえてしまうというものなど,目新しいモノも用意される。クエストはPublic,Conflict,Branching,Christmasの4カテゴリに分けられるとのことだが,このあたりの詳細は不明なので,続報に期待してほしい。
■Warhammer Onlineはアクションゲーム?
再び登場したPaul Barnett氏は,コンバットシステムについて熱く語ってくれた。本作ではFPSのように,キーボード(W/A/S/D)で移動するシステムが採用されており,戦闘はあらかじめTactic(スキル/スペル)をスロットにセットしておいて,敵をターゲットしてからTacticをクリックする,という手順で進行する。 デモでは12スロット×5段のTacticsBarが確認できたが,これは暫定的な仕様で,正式サービス時にはキャラの成長とともにスロット数が増えていくとのことだった。 キャラクターにはアクションポイントゲージがあり,すべての攻撃はアクションポイントを消費することで発動する。アクションポイントは戦闘中でも自動回復(結構早い)するようになっていて,基本は消耗の小さい小技を連打して,状況に応じてアクションポイントを大量に消耗する大技をぶち込む感じになるらしい。 一般的なMMORPGとは異なり,本作にはオートアタックがないので,敵をターゲットしていてもTacticを押さない限りは何もしない。どちらかというと,ちょっとしたアクションゲーム感覚で戦うことになるだろう。なお防御や回避は自分で選択できず,オート発動となっていた。 さらに本作の戦闘を盛り上げるシステムとして,Moraleゲージの存在があった。敵にダメージを与える/殺すと,Moraleゲージが溜まっていき,それを消費することで非常に強力な攻撃が繰り出せるという。残念ながら発動シーンは確認できなかったが,Moraleゲージを最大値まで溜めたときの破壊力は相当なものらしく,戦況を変えるほどの力があるようだ。このあたりのアイデアは,日本の格闘ゲームに影響を受けているのかもしれない。 また攻城兵器も登場するが,DAoCのように城攻め限定ではなく,火炎放射器や魔法のランチャーのようなものも存在するらしい。 プレゼンテーション後半では,Art DirectorのGreg Grimsby氏が,アートワークやアニメーションを見せながら,「現状のMMORPGはプラスチックのような質感だが,それらとは一線を画す仕上がりを目指していく」とコメントしていた。グラフィックスに関しても,さらに磨きがかけられていくそうなので,実に楽しみだ。
今回披露されたデモ版は,DwarfとOrcしか導入されていないバージョンだったが,明らかに次世代RvRを感じさせる可能性が見受けられた。順調に開発は進んでいるようで,次第に他種族の特徴なども明らかになっていくことだろう。 ちなみに日本でのサービスは,残念ながら未定。とはいってもMythicでは,メールマガジンの登録ユーザーの統計を取っているようなので,日本からの登録数が増えれば,日本語版/日本でのサービスインも検討してくれるかもしれない。おまけにメルマガ登録者の中からβテスターを選ぶとのことなので,興味がある人は,ぜひとも「こちら」で登録を。(Murayama)
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Warhammer Online: Age of Reckoning |
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