工画堂スタジオ,この夏までの発売タイトルその2。女性向け“プリンセスシム”の「パレドゥレーヌ」
工画堂スタジオがこの夏に発売する「パレドゥレーヌ」は,同社初の女性向けタイトルとなる“プリンセスシミュレーションゲーム”だ。戦略あり,恋愛あり,着せ替えありの華やかな作品となる。 ゲームの舞台はヨーロッパ中世風の世界で,主人公は王女様。王亡きあと,1年のうちにほかの国王候補達に打ち勝って,無事に即位することがプレイ目標となる。作品名のパレドゥレーヌはPalais de Reineで,これはフランス語で「女王の宮殿」を意味する。まさにコンセプトどおりのネーミングというわけだ。
今回公開されたストーリーラインは以下のとおりとなる。
ターブルロンド王国は,偉大なる英雄「騎士王」と,忠実なる「八聖騎士」達が作った国でした。騎士王が亡くなった後も,その血を引く王家が力ある騎士達の信任を得ることで王権を発揮し,騎士や民達は王の導きの下,栄華と繁栄を極めてきたのです。 しかし近年は,凶作や政情不安が続き,国土は次第に荒廃。民の心は荒れ,闇の者達や胡乱な結社が国政に食い込み始めていました。
そんな折,跡継ぎの王子様が行方不明となりました。それからすぐに国王までもが,亡くなってしまったのです。王家に残されたのは,寄る辺なき若い王女がただ一人。 やむを得ず,その王女が王位を継ぐことになったのですが……。それを良しとしない宰相が,とりまきの騎士達と共謀し,王の承認を拒否。それどころか「王女を妻とし,私が王となる」と宣言したのです。 心良き騎士達の助けでその場は収まり,王の承認は一年後にやり直すことになりました。王女はその日までに,有力騎士達から信任を得なければいけません。さもなくば王位は宰相に奪われ,無理やり結婚させられてしまうのです。
プレイは大きく,ドラマ要素と戦略要素から成る。まずはドラマ要素から解説していこう。 プレイ期間である1年間で,登場キャラクターの間には恋愛や友情,ライバル関係や種族間の軋轢など,さまざまなドラマが育まれていく。それらをうまく発展させ,あるいは発展させないようにキャラクター達を行動させていくのが,プレイの中身ということになる。 王女と個人的な関係を結べるキャラクターは30人以上。また,王女以外のキャラクター同士も相互に関係を持っており,プレイヤーの選択次第で,その関係はときに破壊され,ときに新たに結ばれる。複雑な人間関係にプレイヤーが手を加え,新たな人間模様を作っていくのが,ドラマ部分の楽しみ方となる。 なお,騎士や領主達との関係を一定以上に発展させ,かつプレイヤーが望むのであれば,そのキャラクターと結ばれることも可能とのことだ。
左:王女フィーリア
弱冠15歳の王女。美しい金髪と青い瞳の少女で,建国者たる「騎士王」の血を色濃く引く。兄が行方不明になり,父王が急逝したため,いきなり王権争いの渦中に叩き込まれるようになった。一年後に即位できなければ,よくても宰相と結婚させられ,悪ければ殺される運命にある。世間知らずのお姫様と周囲からは思われている
中:執政官ヴィンフリート(CV:鈴木達央)
23歳,眼鏡の青年。王女の領地経営に関し,こまごましたことを代行してくれる執政官。王女の乳兄弟で,ごく最近まで外国へ留学していた。幼いころは王女と親しかったが,今は少し距離がある。王家への忠誠心が強く,王女が王位を継承するためなら何でも協力してくれる。しかし,王女の個人的な事柄に関しては非協力的
右:宰相ディクトール(CV:古賀寛之)
先王の治世を助けた宰相だが,王女の王位継承にケチをつけた張本人でもある。王位への野望を隠そうともしておらず,そのためなら他人を犠牲にすることをも厭わない。長年の政治家生活の末,人間不信になっているところがある。ただし政治能力は高く,領主達からも評価されているため,最も王位に近い男ともいえる。
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続いて戦略要素。手持ちの騎士達を上手にやりくりして,各地を治める有力騎士(=領主)の信任票を奪い合うストラテジー部分が,プレイの勝敗を決める重要なパートとなる。 領主達はそもそも,王女が自領を治める手腕や,王女の生き方についての評判を聞いて,彼女をどれだけ信頼するか計っている。また,王女の側から配下の騎士を使者として送ったり,世論の操作を行ったりして特定領主からの信頼を勝ち得ることも可能だ。 そして,どうしても敵対的な領主には,配下の騎士を送って決闘させ,屈服させるのも手。領主の性格はさまざまなので,プレイヤーはその領主に合わせたアプローチを工夫することになる。
同様にほかの国王候補者達も,領主にアプローチをかけて信任を得ようとしているので,それに対する駆け引きも重要な要素だ。
一年後の段階で,各領主は最も信頼している候補者を選び,忠誠の誓いを捧げる。ここで過半数の領主から忠誠の誓いを捧げられた候補者が,新たな王となるのだ。 王女が即位に成功すれば,戦略的なグッドエンド,ほかの候補が即位してしまった場合は戦略的なバッドエンド。誰も過半数を得られなかった場合,そのときの情勢に応じて国が滅びたり,誰かが武力で強引に即位したりするという。
このほかに,プレイヤーはゲーム中で衣装や家具,各キャラクターの秘密など多くのものをコレクションできる。集めた衣装は着用でき,家具で自分の部屋を飾ることも可能。また,人間関係要素や戦略要素に影響を与えるかどうかはともかく,各キャラクターの秘密を知ることで,そのキャラクターをより深く理解できる。
左:アストラッド(CV:岡本寛志)
王女とは同年齢で幼馴染みの騎士。宰相とは遠縁に当たり,その後継者とも目されている。体は立派だがまだまだ子供っぽいところが多い。ただただ仕える者の正義を信じ,全力を尽くす
中:ディトリッシュ(CV:岸尾大輔)
闇の一族の有力者「黒貴族」に重用され,黒貴族の息子と噂される騎士。非常に静かな性格だが,名誉を汚されたときは激しく戦う
右:ヴァルター(CV:羽多野渉)
騎士の一人。勇猛できっぷがよいため,若い者達に慕われている。少し乱暴者ではあるが,不正を嫌う義に厚い人物。また,過去に何があったのか,女性をまるで寄せ付けない
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今回紹介したキャラクター以外のボイスキャストは以下のとおり(すべて敬称略)。見る人が見れば分かるとおり,“そのテ”の声優さんが揃えられた豪華な顔ぶれだ。また,キービジュアルを担当する皇なつきさんも,少女漫画の漫画家さんらしい,耽美的な絵柄で作品世界の雰囲気作りに一役買う。
エヴァンジル(Evangile) 子安武人 エリオット(Eliot) 稲村優奈 イリヤ(Ilya) 谷山紀章 ヴァン(Vent) 岡崎雅紘 ウィーギンティ(Viginti) 内野 一 黒貴族(Hellsehen) 諏訪部順一 エクレール(Eclair) 友永朱音
主人公の王女様にボイスキャストが当てられていないことから端的に分かるとおり,今まで女性キャラで男の子向け幻想世界をプレイアブルな作品として送り出してきた工画堂スタジオが,女の子向け幻想世界に初めて挑む本作。とはいえ,少女漫画的世界に興味のある読者諸兄にも,ぜひ注目しておいてもらいたい作品だ。(Guevarista)
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