[E3 2006#002]Quakeの世界観で全面戦争,Activisionプレス発表会に「Enemy Territory:Quake Wars」が登場
今年もクローズド&写真撮影不可のプレス発表会会場
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E3 2006開催2日前の5月8日,Activisionのプレス発表会がロサンゼルス ダウンタウンのマリオットホテルで開催された。2006年末から2007年にかけて発売予定のゲームが次々に紹介されたのだが,最後に名前が挙がったのがこの「Enemy Territory: Quake Wars」(以下ETQW)だ。 E3 2005でムービーが公開されて以来,ほとんど公式情報が出てこなかったETQWだが,ようやく待望の続報が出てきたことになる。
今回初公開となったスクリーンショット2点
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ETQWは,「DOOM 3」グラフィックスエンジンの拡張版を搭載し,Quakeシリーズの世界観を背景にしたマルチプレイ専用のFPSだ。制作に当たっているのは,第二次世界大戦をモチーフにしたマルチプレイFPS「Return to Castle Wolfenstein: Enemy Territory」(以下,RtCW:ET)を開発したSplash Damageで,QuakeシリーズおよびDOOM 3エンジンを制作したid Softwareは,監修という立場にある。
ちなみにRtCW:ETは,2001年に発売されたid Softwareの「Return to Castle Wolfenstein」の続編として開発されていたが,シングルプレイパート制作がうまくいかずにキャンセルされ,その後,フリーソフトとして公開された経緯がある。無料で,RtCW本編と同様のクラスシステムの面白さがあり,そしてなにより,プロが時間をかけて制作した手堅い作品であったことからたちまち評判となり,「Enemy Territory」は世界的なブランドネームの一つになった。 ETQWはその名前を引き継いでおり,そこにid Softwareの意気込みを感じ取る人も多いだろう。もう一つちなみに言うと,RtCWの続編で,RtCW:ETの流れを汲む作品も現在制作中となっている。
■“Quake II以前”が舞台のETQW 明らかになってきたゲームスタイル
ゲームの舞台となるのは,2065年の地球だ。侵略者であるStrogg(ストログ)と,地球の軍隊であるEDF(Earth Defense Force)とが激しく戦っている。すでに「Quake II」(1997年)では人類がストログ本星に大規模な攻撃をかけていたから,時代としてはそれ以前ということになる。
写真撮影不可のプレゼンテーションは,正面の大型スクリーンに実際のゲーム画面を映し出し,それをSplash Damageの担当者がプレイしながら行われた。つまり,かなり開発が進んでいるというわけだ。 グラフィックスの雰囲気は非常に良好で,DOOM 3と聞いて思い出すような狭く暗いシーンはほとんどなし。デモプレイは,中央の大きな川と,両岸の切り立った崖が印象的な,かなり広いマップを舞台に行われた。周囲の山の上には緑の美しい森があり,空には雲が流れ,これが本当にDOOM 3と同じグラフィックスエンジンを使って作られたシーンだとは信じがたいほど。このようなオープンスペースを表示するため新たに開発された,一つの高解像度テクスチャで地形を覆うという「Mega Texture」(メガテクスチャ)技術は,予想以上にリアルな地形を描き出せるようだ。
さて,ここで思い出すのが,3月にElectronic Artsが突然発表した,バトルフィールドシリーズの最新作「バトルフィールド2142」(原題 Battlefield 2142)である。こちらもETQWと同様,マルチプレイを中心に据えたFPSで,未来世界を舞台に,SF色の濃い兵器や武器が登場する。とはいえ,今回の説明を聞く限り,ETQWのゲームシステムはBattlefieldシリーズとはかなり異なる。
どう異なるのか,具体的に説明しよう。大型スクリーンに表示されたマップ画面には,EDF(Earth Defense Force)の支配する土地が緑色の枠線で,Stroggが占領する土地が赤い枠線で描かれていた。ETQWでは,守備側と攻撃側の区別が非常にはっきりしており,EDFは前進してストログの支配地域を掃討すれば勝利,ストログ側はそれを阻止すれば勝利となる。地域の占領には,Battlefieldシリーズと同様,「拠点となるオブジェクトの占領」が必要になるが,すべてのオブジェクトには数字が振られていて,その順番に制圧していかなければならない。 つまり,常に“ある一か所”の拠点をめぐる戦闘になり,自然に特別な“前線地域”が形成されるわけだ。最大で24人という参加人数はBattlefieldシリーズに比べて多くないが,プレイヤーは一か所に集まって戦うため,自然と大規模な戦闘を楽しめることになる。 ただし,このゲームデザインでは,戦闘の展開のバリエーションが減ってしまうような気もする。このあたり,どのような対応をとるのか気になる部分といえるだろう。
攻撃し,制圧した拠点には,ロケット砲や,レーダーなどの施設を設置して陣地を強化できる。画面上では,プレイヤーが指示した場所に設置する予定の大砲がワイヤフレームで表示され,やがて,山の向こうから実際の大砲を吊り下げたヘリコプターが登場。大砲をパラシュート降下することでワイヤフレームが実体化し,設置が完了する。このように,オブジェクトの設置にはしばらく時間がかかることと,敵側が運搬中のヘリコプターを撃墜することも可能であることから,戦術的にも面白い展開が楽しめそうだ。
■乗り物が複数登場しつつ,基本は歩兵同士の戦闘
続いて,装甲車,戦車,ヘリコプターなどの大型兵器類が紹介された。ゲームには約40種類以上の各種ビークル(乗り物)が登場し,それらを自在に操って戦闘を有利に進めていかなくてはならない。描き込まれたディテールと,コックピット内のディスプレイ類のエッジな雰囲気はなかなかいいが,デザインそのものは比較的オーソドックスで,60年後の未来としてはこんなものかもしれないと思わせる。武器に関しても,Quakeシリーズがそうであったように,現代兵器の延長線上で使えるものがほとんどのようで,ビーム兵器や反重力兵器のようなユニークのものは,少なくとも見せてはもらえなかった。 兵器の操縦は簡単で,自動安定装置を装備したヘリコプターなどは誰でも容易に飛ばせるとのこと。プレイ画面では,現在の航空機には不可能な飛び方を見せるヘリコプターが登場し,戦場の上空を自由に飛びまわっていた。 ただし,対戦車および対空兵器類が強力になっており,Battlefield 2の航空機類などに見られる“圧倒的な”兵器は存在しないようなバランス設定になっているとのこと。あくまで,歩兵同士の戦いに力点が置かれているというわけである。
個人的に最も興味深かったのは,Stroggの武器/兵器/システムだ。人類とはまったく異なるテクノロジーを持つ彼らだけに,能力や使用する道具が人類の想像を超えている。マルチプレイの集団戦闘を描いたゲームとしては野心的だ。Splash Damageによれば,人類が使用するAという兵器に対応する兵器をStrogg側も使用するのではなく「一方にだけあってもう一方にはない」ということが,数多くあるという。例えば,Stroggは敵を殺して体を乗っ取ることができたり,死体をリスポーンポイントとして使用できたりするとのこと。 もっとも,これらはあくまで口頭で説明されただけ。我々としては,実際にStrogg側をプレイして,ゲーム画面に出てきた2足歩行の戦闘機械を使ったり,体に装着して空を飛べる道具を利用したり,あるいは敵を殺してそこからエネルギーを吸い取ったりするところを,実際に動かして見せてほしかったというのが本音だが。
いずれにせよ,Battlefieldシリーズとは一味も二味も違ったゲームシステムになりそうで,しかもグラフィックスは文句なく一級品。不気味なStrogg兵のホラー的な雰囲気も含めて,ETQWはSF FPSというジャンルに一石を投じることになりそうだ。相変わらず発売日はアナウンスされなかったが,リリースに対する期待感の高まる発表会だったのは間違いない。(松本隆一)
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Enemy Territory: Quake Wars |
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