[E3 2006#027]EA,「Command&Conquer 3」をメディアに紹介
E3開催初日の5月10日,Electronic Arts(EA)のブースでクローズド展示されたタイトル中,「Spore」と並んで我々の心を惹いたのが,去る4月21日に突然その制作が発表された「Command & Conquer 3 Tiberium Wars」(邦題 コマンド・アンド・コンカー3 ティベリウム・ウォーズ)だ,ということに異論はないだろう。PC専用タイトルがその2本だったということは,まあ,置いといてください。 1995年に発表された「Command & Conquer」は,これをもってリアルタイムストラテジー(RTS)の元祖とされるタイトルだ。資源を集めて資金を得,それで施設を建て,そこで兵士や武器を用意して戦争に臨む,さらにそれらをすべてリアルタイムで行うという,現在RTSと呼ばれるジャンルのゲームが持つ要素をすべて持ち,しかもそこにティベリウムなる謎めいた植物の存在や,ミッションの合間に実写のムービーが挟まる演出のうまさで,ことに欧米で熱狂的な支持を得たのだ。 というわけで,今回のCommand & Conquer 3 Tiberium Warsは,その最新作となる期待のタイトル。数多く作られた続編については綺麗さっぱり忘れ,今度の“3”は初代Command & Conquerの世界に再び戻ることになったのだ。 発売が2007年ということもあり,今回のクローズド展示で公開されたのはプロモーションムービーと,チュートリアルの様子を撮影したムービーのみ。残念ながら実際のプレイ画面などは見ることができなかったが,それでもC&C3の新情報をいくつか得ることができた。
最初のプロモーションムービーによると,かつて植物だったティベリウムは宇宙からやってきた物質という設定になった。半導体から人体まで,さまざまなものに取り付いてそれを破壊し繁殖する危険な存在なのだ。ティベリウムの広汎な広がりを憂慮した国連は,GDI(Global Defense Initiative)を編成してティベリウム駆逐に乗り出す。しかし,そこに登場するのが重武装したカルト集団を率いるケイン。彼はティベリウムを使って世界を支配することを目的としたNOD軍のリーダー……と,細かい違いはあるものの,C&Cを楽しんだベテランゲーマなら思わずニヤリ,の懐かしい設定となっていた。 ムービーの途中,説明に当たった担当者が見せてくれたのが分厚い冊子。綺麗に印刷されたその本には,C&Cの設定が事細かに書き込まれ,驚異的なほど緻密な世界観のもとにゲームが制作されていると強調していた。デザインやストーリーはすべてこの本を参考に仕立てられるのだそうで,彼はこれを“バイブル”と呼んでいたのが印象的だった。
続いて見せてくれたチュートリアルのシーンでは,これまたベテランゲーマーなら嬉しくなってしまうほど初代C&Cの雰囲気が再現されていた。グラフィックスそのものは,2007年の作品にふさわしい緻密な3Dで描かれているし,テクスチャや海面の様子などはかなりのクオリティだが,それでも,ヘリコプターの飛びっぷりや,ティベリウムを刈り取るハーベースターの動き,そしてクリック一つでなんでもできる操作感覚など,初代と生き写しなのである。 とはいえ,当然ながらいくつかの違いも存在する。例えば,戦場は安全地帯の「グリーン」,ティベリウムの影響が中程度の「イエロー」,完全に汚染された「レッド」に分けられ,それぞれの地域で異なる戦術をとらなければならないだろうこと,ミッションには海がメインのものと陸戦が主となるものの2種類があることなどが挙げられる。そして見逃せないのが,DGIとNODのほかに第三の勢力が存在する可能性が示唆されたことだろう。初代の人間とティベリウムの関係を考えると,いろいろ思い当たる節もある。きっと,そんなことも全部あのバイブルに書いてあるのだろう。 そして,チュートリアルに従ってヘリコプターを飛ばし,廃墟となったビルを次々と破壊すれば,懐かしい「Misson Completed」の声が流れ,ムービーは終了する。
「懐かしい」だの「ベテラン」だのといった言葉をたくさん書いた。ちょっと気が早いが,C&C3登場後の評価は,初代を知らないゲーマーにどれだけアピールするかにかかってくるような気がする。しかし,昔のことなど関係なく,面白いものはいつまで経っても面白いのだ。ゲームが“面白さ”より“新しさ”だけに向かいつつある昨今,このC&C3には今後も注目していきたいと思う。(松本隆一)
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