[E3 2006#130]“伝説のシリーズ”の最新作「Jagged Alliance 3D」
「Jagged Alliance 3D」は,かつて名作ストラテジーと呼ばれたシリーズの3作めに当たる作品。グラフィック部分は3Dに進化したが,ゲームシステムは1作目,2作目と続いたものを律儀に引き継いだ,ターンベースのストラテジーゲームとなっている。南の島で傭兵部隊を率いて内戦に参加するといった,ゲームの基本的な設定については,以前Game Convention 2005の記事で紹介しているので,まずはそちらを参照してほしい。
開発側は,こういった作品にこだわりの強いファンが大勢いることをしっかり理解しているようで,ゲームの端々から,過去のファンに対する配慮が窺える。システムやゲームの持つ雰囲気はオリジナルに近いままにしているというし,ミッションとミッションの間に挟まる出撃準備インタフェースは,旧作と同じラップトップコンピュータを模したものとなっている。
過去の作品を知らない読者には,「ヘックスがないのにターンベース」である仕組みが分かりづらいかもしれないので,少し解説しよう。 プレイヤーが操作する個々のキャラクターはアクションポイントのようなものを持っており,自分のターンが来たらそれを消費して行動する。例えば,しゃがんでいる状態から立ち上がるのに1ポイント,道の角まで走るのに5ポイント,再びしゃがんで銃を構えるのに3ポイント,といった感じだ。こうやって味方キャラクターすべてのポイントを使い終えたら,こちらのターンは終了。次はコンピュータ側のターンとなって,敵兵達が同様に行動する。次ののターンになるとアクションポイントが回復しているので……という具合にゲームが進んでいくのである。
前作まで2Dだったこのシリーズが,3Dになることで実現するさまざまな利点は,おおむね想像できるとおりだ。例えばヘルメットや防弾衣,火器などさまざまな装備品は,身に着ければ画面上のキャラクターグラフィックスに反映される。また,高さの概念が生きるので,高低差を使ったより戦術的な遊び方が可能になる。さらに環境に対するインタラクティビティも高まり,建物の外壁などほぼすべてのものが破壊可能になっているという。画面上のキャラクターが手榴弾などで吹き飛ばされれば,ラグドール効果を伴ってリアルに崩れ落ちるほか,頭,胴体,腕,足などダメージは部位ごとに判定され,蓄積される。足を撃てば相手の動きは鈍り,腕を傷つければ敵は武器を落としたりもする。 NPCとの関わりかたも進化している。前作ではNPCに対して自分の「ムード」を伝えることしかできなかったが,今作では選択式の“会話”が可能となっている。お金を払うことで戦いを回避する,なんてことも可能らしい。
最近ではストラテジーゲームというと,その多くがRTSだ。そんななか旧作の持ち味をほぼそのまま継承した,ターンベースの本作はある意味,かつては持ち得なかった異彩を放っているともいえる。旧作を知らない新世代のゲーマーにとっても,この作品は興味深いものであるはずだ。(ライター:星原昭典)
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