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[韓国ゲーム事情#561]NCsoft,凍結されたアカウントをイベントを通じて回復
2006/06/27 18:12
Kimの韓国最新PCゲーム事情#561

NCsoft,凍結されたアカウントをイベントを通じて回復(2006/6/27)

Text by Kim Dong Wook特派員/Kazuhisa

 韓国NCsoftは,ゲーム内イベント「アデンワールド人口総調査2006」を通じて,「Lineage」「Lineage II」における不正行為が発覚し,同社によってアカウントが凍結されているプレイヤー達のアカウントを復活させる予定であると,6月26日に明らかにした。

 これは,同社のゲームサービス8周年を記念して行われるイベントで,1998年にサービスがスタートしたLineageと,2003年にサービスがスタートしたLineage IIのオンラインコミュニティを基盤とし,より発展したゲーム文化を育くんでいこうという主旨のもとに実施されるという。

 NCsoftはこれまで,両タイトルで頻発する不正行為に対し,規制中心の運営を展開してきており,サービス元とプレイヤーの関係は,ある意味ギスギスしたものだった。しかしそのような関係は,ゲーム市場の発展に悪影響があるとして,同イベントを通じて運営元とプレイヤーとの関係をより健全化し,これまでに不正行為によるアカウント凍結を受けた人を復帰させ,より正当なゲームプレイへ誘導したいという。

 しかし当然,すべての不正行為者のアカウントを復活してくれるわけではない。不正プログラム利用,名義盗用,詐欺など悪質な不正行為のあった元プレイヤー達は,今回の「恩赦」から除外されている。同社の改訂された約款に従い,「1度だけRMTを行ったプレイヤー」だけが,今回のイベントでアカウント凍結を解除してもらえる(RMT行為による取り締まりを2回以上受けているプレイヤーは,今回のイベントではアカウント凍結を解除してもらえない)。

 ちなみに,以前までは,RMT行為で摘発されたときには,無条件でアカウント永久凍結措置がとられていたが,2006年4月5日に施行された約款では,RMT行為による初めての摘発時には,アカウントの30日間停止措置がとられるのみ。そして再度RMT行為で摘発された場合に,アカウントが永久凍結される仕組みだ。

 NCsoftの関係者は,「LineageとLineage IIは,それぞれ同時接続者数10万人を超えるオンライン仮想世界を有する,非常に大規模なMMORPGです。常に健全なゲーム文化を育成/牽引していくという当社の原則は不変のものです。RMTや詐欺などの不正行為に対しては,今後も持続的に,力強く対応していきます」とコメントしている。

 一方,ある業界関係者は,「NCsoftの今回の措置は,韓国オンラインゲーム市場において,非常に意味のあることです。先日,ソウル高等法院では,アカウントを凍結されたプレイヤーとNCsoftの間で裁判が行われていました。結果としては和解ということになったのですが,そのとき法院は,『アカウントの凍結を解除しなさい』という意味合いの発言をしています。オンラインゲーマー達の消費者としての権利が,ようやく法的に認知されてきているということで,歓迎している人も多いですよ」と語っていた。

 しかし,今回のイベントに対しては,一部から非難の声も挙がっている。
 Lineageを7年間プレイしてきたあるプレイヤーは,「今回のイベントは,NCsoftの約款は不当であると,法院が発言したあとに発表されたものだから,素直には喜べないというのが正直なところです。イベントの前に,まずプレイヤー達に対して,自社の約款が不当なものであったという事実を公表した後に,補償の意味を込めて今回のイベントを発表するべきだったと思います」と語り,複雑な心境を吐露した。

 アデンワールド人口総調査2006は,7月12日から開催される予定で,詳細は追って,LineageおよびLineage II公式サイトで告知される予定だという。

 しかし一連のNCsoftの動きには,首をかしげたくなる部分が多い。そもそも両タイトルでは規約違反となっているRMTは,基本的に売る側も買う側も,「規約を破る意志」を持っていなければ発生し得ない不正である。本稿を見て,「1回だけならRMTで摘発されても許されるのか」と,疑問を抱いた人は少なくないだろう。
 一方,今回の「恩赦」の対象外となっている「不正ツールの使用により凍結されたアカウント」だが,例えばインターネットカフェや友人の家などでゲームをプレイし,「使用していない/使用する意志はない」のに,不正ツールが起動されているというケースは,本当にあり得ないことだろうか(不正ツールによるアカウントハックが発生している以上,その可能性は決してないとはいえないだろう)。そして,そうした「規約を破る意志」がない人がアカウント凍結された場合,その人は泣き寝入りをするしかないのだろうか。

 不正行為に対する取り組みに関しては,オンラインゲーム業界でも一,二の実績を誇っているNCsoft。今回のイベントも,同社なりにオンラインゲーム市場の発展を願い,計画したものなのだろうが,「規約を破る意志」をもってRMTを行った元プレイヤーを,「RMTが禁止されているタイトル」に復帰させるというのは,お世辞にもクレバーな対応とはいえないだろう。NCsoftを始めとする運営元およびオンラインゲームファンは,今回の一件を機会に,「規約」についてもう少し真剣に考えてみるべきかもしれない。



リネージュ
■開発元:NCsoft
■発売元:エヌ・シー・ジャパン
■発売日:2002/02/12
■価格:1400円/月
→公式サイトは「こちら」
リネージュII 〜The Chaotic Throne〜
■開発元:NCsoft
■発売元:エヌ・シー・ジャパン
■発売日:2004/06/25
■価格:3000円/30日(税込)〜
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2006.06/20060627181258detail.html