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イーシーリサーチ,国内のオンラインゲーム市場調査結果を発表
2006/06/29 21:01
 本日(2006年6月29日),オンライン調査会社であるイーシーリサーチは,「2004年−2010年のオンラインゲーム市場の市場規模及びオンラインゲーム事業者,利用者に関する調査結果」を発表。その一部を同社の公式サイト上で公開した。

 概要をまとめると,以下の通り。

オンラインゲーム提供事業者13社を含むその他関連企業への取材及び公表データなどをもとに、ECRで独自集計・分析を行った。公表データは報道記事、プレスリリース、決算報告書、事業説明会ならびに発表会の資料を利用。

 同社の調べによれば,2005年度の国内のオンラインゲーム課金売り上げ(パッケージなどは含まない)は約300億円となり,対前年で28.8%の増加。また課金サービスの利用者数も約175万人と,こちらも対前年で15.5%の増加となっており,市場規模,利用者数ともに拡大傾向にあるとのこと。
 市場の拡大要因としては,タイトルが多く発表されたことによるユーザー数の増加と,2004年あたりから急激に普及してきた「アイテム課金制」タイトルの隆盛による,ユーザー一人当たりの平均利用金額の伸びが考えられるという。イーシーリサーチによると,2005年度の一人当たりの平均利用金額は月額1431円。対前年では,11.6%の増加となっているようだ。

 ちなみに発表された結果報告の中で,筆者的に興味深かったのは,

2005年の課金利用者シェアはスクウェア・エニックス(15.3%)、NHN Japan(14.3%)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(12.3%)の3社で全体の約42%を占めています。

という一文だ。累計アカウントベースでは,1500万以上(2005年11月24日時点)という圧倒的なユーザー数を抱えるNHN Japan(ハンゲーム)だが,「課金ユーザー数」ベースで換算すると,スクウェア・エニックスやガンホー・オンライン・エンターテイメントとあまり大差がないというのは興味深い。
 もっとも,自社で抱える課金タイトルもあれば,ハンゲーム自体のアバター課金サービスもあるNHN Japanの「課金ユーザー」を,イーシーリサーチがどう割り出したのかは正直分からない(公式資料だけでは判断不能なはず)。そのあたりが不透明であるため,そのまま信じるのは危険かもしれないが,参考資料としては十分に面白い結果といえるだろう。

 ちなみにスクウェア・エニックス,ガンホー・オンライン・エンターテイメントの両社は,オンラインゲーム事業の売り上げのほとんどを,「ファイナルファンタジーXI」,あるいは「ラグナロクオンライン」というビッグタイトルに依存しているのは周知の通り。そう考えると,国内の利用者数×両社のシェア = 各タイトルの課金ユーザー数 という図式が成り立つはずだ。試しに軽く計算してみると,

 ファイナルファンタジーXI : 26.7万人
 ラグナロクオンライン : 21.5万人


となり,ファイナルファンタジーXIに関しては,以前「こちら」のインタビュー記事で明らかになった「有効会員数で約50万。その内訳は,日本25万,北米とヨーロッパ地域を合わせて25万」という数値とほぼドンピシャ。ラグナロクオンラインのほうは公式発表(2004年1月の時点で40万人)とはややズレがあるものの,こちらは「ネットカフェ 1DAYチケット」なども含めた数値だと考えられることなど,諸々の要素を考慮すると,大凡の規模感としてはまず妥当といったところか。
 この調査では,ほかにもさまざまな数値が算出されているので,それを基に,さまざまな角度から分析をしてみるのも,面白いのではないだろうか。

 ネットワークインフラが整ってきた昨今,サイズの大きなクライアントファイルのダウンロードも抵抗なく行えるようになり,オンラインゲームが“伸びていく”下地自体はほぼ出来上がっていると言え,イーシーリサーチを含めた各調査会社が示すように,市場規模が伸びていくことに疑いの余地はない。
 とはいえ,その市場がどういう方向で伸びていくのか? MMORPGなどのビッグタイトルなのか,カジュアルゲームなのか,あるいはシングルゲームのダウンロード販売が伸びてくるのか。それともゲームですらなく,ゲームを軸に形成されたコミュニティ自体がビジネス化(メディア化や広告ビジネスなど)していくのか。業界や投資家を含めた関係者達は,その行く末に目を光らせている。(TAITAI)

 →レポートの詳細は公式サイトの「こちら」からどうぞ。


【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2006.06/20060629210137detail.html