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ロメロ氏の新会社Slipgate Ironworks,プログラマーなどを募集中
2006/07/10 15:05
 いろいろな意味で伝説のゲームクリエイター,ジョン・ロメロ氏が設立した新会社「Slipgate Ironworks」が求人を始めた。アメリカ,カリフォルニア州レッドウッド・シティに本拠を置く同社がこのたび募集しているのは,「シニア3Dアーティスト」「ツール・プログラマー」「コンセプト・アーティスト」,そして「シニア・ゲームデザイナー」の4職種で,それぞれ若干名。
 採用されると,ロメロ氏らと共に「スーパー・シークレット・ミステリー・プロジェクト」と呼ばれる,なんとも人を食った名前のプロジェクトに参加することになるのだが,それがMMOであること以外,ゲームの内容はもとより,ターゲットがPCなのか,コンシューマ機なのかなどの詳細は,まったく不明。ただし,プログラマーの“応募資格”に「Windows APIに経験を持つこと」とあるので,PC用のゲームである可能性はかなり高く(Xbox 360かもしれないけど),だとすれば,ロメロ氏が2001年にIon Stormを閉鎖して以来,5年ぶりのPCゲーム復帰となり,興味深い話だ。
 なにしろ,同氏は「Wolfenstein 3D」「DOOM」「DOOM II」,そして「Quake」の生みの親。1991年,わずか24歳のときにジョン・カーマック氏,エイドリアン・カーマック氏(ジョンとの親戚関係なし),トム・ホール氏らとともにid Softwareを立ち上げ,メガヒットを連発,一躍,時代の寵児になったのである。だが,技術志向のジョン・カーマック氏らに対し,「ゲームデザインこそが重要」と考えるロメロ氏はやがて対立,1997年にid Softwareを離脱して,自分の会社Ion Stromを設立する。しかし,同社の処女作「Daikatana」(大刀)は,はっきり言って失敗作。ロメロ氏はその後,モバイルゲーム市場を狙ったMonkeystoneを設立するが,2年後にはそこも辞め,Midway Gamesに入ってコンシューマ機用タイトルの制作に参加するものの,そこも数か月で退社。そんな紆余曲折が続き,ロメロ氏は次第に我々の視野から消えていったのである。
 このあたりの話は,連載記事「奥谷海人のAccessAccepted」第15回「あの時,“嵐の渦中”で起こっていたこと 〜その1」および第18回の「その2」に,またジョン・カーマック氏の最近の動向については同第67回「ジョン・カーマックの次の一手」に詳しいので,興味のある人はぜひこちらも併せてお読みいただきたい。

 以前掲載したニュースにもあるとおり,ロメロ氏が「新会社を設立した」という噂は2005年末あたりから聞こえてはいたが,社名やプロジェクトの内容(というほどには分からないけど),オフィスの所在地などがはっきりしたのは今回が初めて。これまで,テキサス州ダラスをベースに活動を続けてきた同氏が,今回はカリフォルニア。しかも,Electronic Artsが巨大なヘッドクォータを構えるレッドウッド・シティにオフィスを置いたという事実も,いろいろな憶測をたくましくしてくれる。ちょっと,目が離せないかもしれない。
 というわけで,もしあなたが募集要項の条件にかなっているなら,一つ応募してみてはいかが? ロメロ氏の新作に一から参加するなんて,なかなかできる体験じゃないと思いますよ。詳しくは,Slipgate Ironworksの公式サイトをどうぞ。(松本隆一)


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http://www.4gamer.net/news/history/2006.07/20060710150515detail.html