[CJ 2006#09]歴史や故事成語が学べるMMORPG「大話春秋Online」
中国産のMMORPGと聞くと,武侠ものを連想する人は少なくないだろう。とくに最近は,デフォルメ化されたキャラクターが登場する武侠ものが多い。Kingsoftのブースで展示されていた「大話春秋Online」も,テーマは武侠+ファンタジー,そして頭身の低いキャラクターがちょこまかと動き回っており,正直最初は,“ごくありきたりなタイトル”だと思っていた。
だがよくよく話を聞いてみると,興味を惹かれる要素がチラホラと出てきて,最終的には,「ぜひとも日本語化されないかなぁ」と思うようになっていたのである。では,何が筆者の心をつかんだのかというと,ゲームのシステム的な部分ではなく,クエストの内容やNPCのセリフまわしなど,見方によっては,非常に細かいポイント。ちょっと地味な特徴だが,噛めば噛むほど味わい深さが出てくるような地味さでもあったのだ。
まず興味を惹かれたのは,本作が中国の歴史や故事成語を,プレイを楽しみながら学べるという点。しかも,歴史に関する問題などが出題されるというように,やや押し付けがましい,ありがちな教育要素ではないという。例えばクエストの内容に,故事成語の元になった出来事などが盛り込まれているなど,より自然に知識をつけられるのだ。 具体的には,日頃仲の悪い二人が,同席して助け合うというシチュエーションを作り出すことによって,「呉越同舟」という言葉を,体験を通じて覚えてもらえるようになっているという。
セリフまわしの面白さを,俳優のチャウ・シンチーさんを例に出して説明してくれるなど,丁寧に対応してくれた,Kingsoftの咲河氏
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またセリフまわしの部分では,コメディ的な要素を強くして,あまり教育色が強まらないように,工夫されているとのこと。例として,映画「少林サッカー」などで知られるチャウ・シンチーさんの独特のセリフまわしを挙げてもらった。彼はわざと文法的におかしなセリフをしゃべることが多いが,意味が通るだけでなく,笑いを誘う語感があるのだという。 筆者は中国語の知識が乏しいため,正直この要素に関しては,正しく理解できていないと思う。とはいえ,語感を楽しむセリフまわしをアピールしたゲームは,これまでほとんど聞いたことがなく,実に興味深かった。
本作は,戦闘だけでなく生産やハウジングも楽しめるという,オーソドックスなMMORPGであることは,間違いない。普通なら,グラフィックスや独自のシステムで,ほかのゲームと差別化を図るところだろうが,本作の場合は,そういった技術的なものではなく,純粋にアイデアで勝負しているように感じ,好感を持った。 単純に技術力競争を続けていくだけでは,ゲームは進化しない。キングソフトのように一定の技術力を持った会社には,技術の向上だけでなく,その技術力をうまく利用し,ゲーム的な面白さを引き出す努力を今後も続けていってもらいたい。
ちなみに本作は,中国国内でクローズドβテストが行われている最中で,11月にはオープンβテストが実施される予定。日本進出も視野に入れているということなので,実現したときは,日本語でどのようなセリフまわしになっているのかに,注目したいと思う。(noguchi)
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