[CJ 2006#41]“チャイナスタイル”に絶妙にマッチする独特のレースゲーム「極速戦車」に注目
中国の神州極速(Jisugame)が出展したオンラインレースゲームである「極速戦車」。 4月21日の記事でお伝えした「Accro Extreme」に似ていると思い事情を聞いてみるとそのとおり,Accro Extremeの中国版とのことだった。ChinaJoy 2006には,同ゲームを開発しているThe SoftとN-Channelが中国パートナー企業と共同で出品したとのこと。 ブースの規模は他社に比べれば非常に小さかったが,即席の対戦イベントが行われていたこととジャンル的な独特さが相まってか,かなり中国ゲーマー達の注目を集めていた。余談だが,上海に来てタクシーを乗ったことがある人なら誰でも,中国人ドライバーが運転する車の猛烈なスピードと過激なすり抜けを忘れることはできないだろう。そう考えると,極速戦車は中国人達のちょっと過激な運転習慣とコンセプトがよくマッチしたレースゲームなのかもしれない。
韓国では8月10日にオープンβテスト開始予定である同ゲームだが,中国でも8月31日にオープンβテストが開始される予定だ。オープンβテスト開始時期の発表をするやいなや,公式サイトに38万件ものアクセスが集中し,サーバーが落ちるほどだったということからも,注目度の高さが分かるだろう。
ゲーム内容はというと,単なるオンラインレースゲームではない。「Need for Speed」シリーズの爽快さと,「グランツーリスモ」のカスタマイズ性を足した印象で,さらに車を武装してお互いに攻撃してツブし合うという過激なレースゲームなのだ。 武装(マシンガンやバズーカ,ミサイル,地雷などが確認できた)はもちろん,エンジンやペイント,エアクリーナー,マフラーなど,さまざまな部分がカスタマイズでき,レースゲームとしてもそれなりに良くできている印象だ。もちろん“ニトロ”機能も搭載済みだし,コースには要所要所にブロックが現れ,それを取ると加速やミサイル,弾丸などランダムでアイテムを入手できるという,「マリオカート」でお馴染みのシステムまでご丁寧に搭載している。まさにレースゲームの“ごった煮”といえるタイトルだ。
同ゲームのブースで会った中国のメディア関係者は,極速戦車を「現在中国で同時接続者50万人を突破した『Kart Raider』と競える要素を持った作品」と評していた。その理由として,「中国人の多くは直線的な性格だから,ほかのユーザーを邪魔するときに風船爆弾などを使うKart Raiderよりは,すぐ銃器類やミサイルなどで攻撃する極速戦車のコンセプトのほうが当たるのではないか」と述べていた。
N-ChannelのHwang Gyu Hyong社長
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ブースでN-ChannelのHwang Gyu Hyong社長を見かけたので,極速戦車の展開について話を聞いてみると,「日系のIT企業であるGALA.NETとアメリカでのサービス契約を100万USドルで締結した。10月頃にアメリカ市場に進出する予定だ」と述べていた。そのほか,ヨーロッパ,台湾,東南アジアなど各地域のパブリッシャ関係者はもちろん,日本のパブリッシャの3社ほどが極速戦車に関心を持っており,商談を始めたということを明らかにしてくれた。 同ゲームは海外進出をふまえ,仮想マップと仮想レースカーを使用している。権利に抵触するようなことはないから,どの国でもローカライズに対応しやすいというのだ。いろいろな面で非常に中国とよく似合う,極速戦車に注目する必要があるようだ。(Kim Dong Wook)
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