毎年5月に,アメリカはロサンゼルスのコンベンションセンターで開催されていたゲームショウのE3(Electronic Entertainment Expo)の性格が,2007年以降大きく変わることが明らかになった。
E3を開催しているESA(The Entertainment Software)によると,来年のE3は,今までのロサンゼルスコンベンションセンターという広大な空間を利用した大規模なイベントから一転する。開催場所は同じロサンゼルスながら,二か所程度のホテルへと会場を移し,ゲーム開発/発売会社が個々の部屋を使ってメディアへの新作ゲームの紹介,および流通への売り込みを図るという,とてもビジネス色の強いものとなるようだ。 この開催場所の変更に伴い,開催時期も例年の5月から7月になり,さらにはElectronic Entertainment Expoという名称そのものも変更されるかもしれないという。詳しいことは,今後数か月以内に決定される予定である。
年々巨大化を続けていたE3だったが,新作ゲームを売り込むビジネスの場という元々の狙いと実際の内容がずれてきていたのは事実だ。 参加した各ゲーム販売会社は,膨大な予算をかけて新作ゲームのための豪華なセットを作り上げ,華やかな衣装に身を包んだエギジビターを大勢配置するなど,近年はイベントあるいはお祭りとしての要素が強くなってきていた。
ドイツ,ライプチヒのGames Conventionや東京ゲームショウなどが開催され,また,E3と時期を同じくしてSony Computer Entertainmentや任天堂,Microsoftによる単独のイベントが実施されるなど,すでにE3のような“メガ・ショウ”の存在意義ははなくなっている,とESAはコメントしている。今後は,メディア,流通関係とのミーティング,そして開発者同士の交流などを中心とした小規模なイベントに変わっていくのだ。
このように,規模を縮小してビジネスライクに展開することで,売り上げ減に悩むビッグパブリッシャは余計な経費を抑えられ,小さなゲーム販売/開発会社も参加しやすくなるなど良い面も多くはなるはずだ。とはいえ,ゲームショウとして世界最大の規模を誇ってきたE3が見られなくなるのは,やや残念な気もする。(朝倉哲也)
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