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[GC 2006#05]ドイツ企業10Tacleが,アジアのゲーム市場で積極的に展開
2006/08/24 12:15
 お膝元のドイツでアグレッシブな展開を見せる新興の販売会社10Tacle Studiosが,Games Conventionでプレスカンファレンスを行った。
 10Tacleは,2003年8月に現社長Michele Pes(ミヒャエル・ペス)氏によって設立されて以来,2004年には8400万ユーロ,2005年には1億7000万ユーロの投資を得て潤沢な資金がある様子。そのライブラリはまだ少ないが,コアファンに期待されているドライブシミュレーション「GTR 2 - FIA GT Racing Game」がリリースされたのに続き,Unreal Engine 3を使った中世風ファンタジーアクションの「Elveon」を筆頭としたPCゲーム中心のラインナップが並ぶ。

左:SimBin Development Teamが開発する本格派レーシングゲーム「GTR 2」は,そのシミュレーション性の高さから,熱狂的なファンも多い
中央:独特の世界観で期待が集まる,Unreal Engine 3.0使用のアクションゲーム「Elveon」。詳細は,追ってお伝えしたい
右:中国9Youの人気タイトルの一つ,「Burst A Fever」。中には,黄色い電気ネズミ風(?)のコスチュームなどもあり,日本には上陸できないようなスレスレの内容の作品は少なくない


 この6月にはフランクフルトで上場したこともあり,今後10Tacleはかなりの拡大傾向に向かうと予想できるが,目下の標的にしているのがアジア地域である。昨年10月には,アジア向けのゲーム開発を行うシンガポール支社を設立し,中国や東南アジア向けのMMORPG「BT」(仮称)を開発中とのことだ。
 その一方で,Asian Games Development Fundという私設ファンドを開設し,今後5年間にわたって複数のプロジェクトに2000万ユーロの投資を行う予定であるという。ヨーロッパ地域のゲーム企業で,ここまでの投資や企業運営を行うケースは,前代未聞のことであるらしく,さほど知名度のない10Tacleにしては,大きな賭けであるのは間違いないだろう。

 今回のプレスカンファレンスの目玉は,この10Tacle Singaporeを通して行った,中国本土のオンラインサービス会社9Youとの業務提携である。9Youは,上海をベースにダンスやサッカー,レーシングといったカジュアルなシミュレーションゲームを15本程度も保有している。
 ゲームの内容は二番煎じ的なものが多く,会場のムービーデモで見る限りあまり個性が感じられなかったが,中には中国国内で数十万アカウントを誇るゲームもあるという。人口の多い中国で数年にわたってオンラインサービスを運営している業績やノウハウは,10Tacleにとっては魅力的なはずで,9Youを通じて10Tacle Singaporeの新作MMORPGを展開できる一方,ドイツ国内にも豊富なオンラインゲームを供給できることになる。これを契機に,ドイツや周辺国でのオンラインゲーム産業が,さらに活発化することになるかもしれない。(ライター:奥谷海人)


GTR2 - FIA GT Racing Game - 日本語マニュアル付 英語版
■開発元:SimBin Development Team
■発売元:ズー
■発売日:2007/02/02
■価格:6090円(税込)
→公式サイトは「こちら」
Elveon
■開発元:10TACLE STUDIOS
■発売元:10TACLE PUBLISHING
■発売日:2007/Q2
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2006.08/20060824121547detail.html