[GC 2006#33]「Alone in the Dark」の最新作は原点回帰。怖さを効果的に使いプレイヤーを飽きさせない工夫が満載
1992年に発売された「Alone in the Dark」は,サバイバルホラーというジャンルを打ち立てたと言われている名作アクションアドベンチャー。しかし,その後発売された続編は,回を重ねるごとに“怖さ”が薄れていき,単なるアクションゲームとなっていった。そのため,初代で感じた怖さが好きだったファン達が次第に離れていったという経緯がある。 そんななか,シリーズ最新作として発表された「Alone in the Dark 2007」。2006年5月に行われたE3,そして今回のGCでも同じムービーが流されているだけで,その詳細はほとんど明らかになっていなかったが,今回,本作のプロデューサーであるAtariのNour Polloni氏に直接説明してもらえる機会を得たので,ここでその内容をお伝えしよう。
今回説明をしてくれた,プロデューサーのNour Polloni氏(左)
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本作の第一作は,ヒットして大成功を収めたが,その後発売されたシリーズ作品は決して褒められた売り上げは記録しておらず,第一作で打ち立てたサバイバルホラーというジャンルの代表作の座も,「Resident Evil」(邦題 バイオハザード)シリーズなどに奪われてしまったという話からプレゼンテーションはスタートした。 過去の流れを失敗として受け止め,その原因を考え,サバイバルホラーの代表作の座に返り咲くためには,どうすればよいのかということから考え始めたようだ。
本作の舞台はニューヨークのセントラルパークなのだが,それも狙いがあって決めたとのこと。恐怖感を演出するには,架空の場所よりも,実際にある場所が望ましいという判断のもと決定したようだ。さらにゲームをワールドワイドで販売することを考えた場合,世界的な知名度があるということも重要だとコメントしていた。
次に,ストーリーをテレビドラマのように短く区切ったほうが,プレイヤーの興味を惹きやすいと判断し,本作は全体のストーリーを“こま切れ”にするエピソディック方式にしたという。 Polloni氏は,サバイバルホラーゲームの多くが,1本の映画に収まるぐらいのストーリーをベースにしているのに,プレイ時間が数十時間かかるように設計されているので,無駄な要素が増えてしまっていると指摘。また単純にストーリーを長くしても,中だるみが発生する可能性もあるだろうとコメントしていた。これを解決する手段として,1回30分から40分ほどの短いエピソードをつなぎ合わせていく形を考えたのだそうだ。 この場合,短いストーリー中にメリハリが生まれるため,ストーリーが間延びしてしまうことを避けられる。また,各エピソードの最初には,前のエピソード振り返る部分が用意するとのことで,全体として,テレビドラマに近い形式といえるだろう。
本作は,フルポリゴンで描かれたキャラクターを動かしてゲームを進めるという基本部分は過去のシリーズどおり。だが本作には,物理エンジンが採用されており,画面上に映っているものすべてに触れてたり,動かしたりできるという。行き止まりをうまくこえて,先を目指すようなシチュエーションでは,画面上のものすべてがヒントになりえるわけだ。
乗り物として利用できる車一台をとっても,ラジオのスイッチなどもコントロールできるほどこだわりを見せている。エアコンのスイッチもいじれるため,外気が低いときに暖房を入れれば車の窓が曇ることもあるという。 さらには,キーシリンダー部分を破壊して配線をショートさせ,エンジンをかけるなんていうこともできる。こういった例を見ると,実際にゲーム内ではかなり頭を使うことになるパズル的な要素が用意されていそうだ。
アイテムの管理方法にも特徴があり,本作はインベントリ画面が存在しない。ではどうやってアイテムを管理するのかというと,上着の内ポケットなどに入っているアイテムを視覚的に確認し,それを実際に手にとって使う。操作感がどうなるのか分からないが,珍しいフィーチャーなのは確かだろう。 リアリティを追求するあまり,操作性が犠牲になってしまっては本末転倒なので,そのあたりはいいバランスを維持してもらいたい。
Polloni氏の話からは,過去の失敗から目を背けずにその原因をしっかり見定め,より良いものを作ろうとする意思が感じられた。発売は2007年としか発表されておらず,詳細も不明な点が多いが,最新作がAlone in the Darkの名を再び世の中に知らしめられるのか,続報も含めて注目したい。(noguchi)
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Alone in the Dark |
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