[GC 2006#69]あの「Team Fortress 2」が,意外な姿で帰ってきた
Robin Walker(ロビン・ウォーカー)氏をはじめとするオーストラリアのMOD作者達によって,「Team Fortress」が制作されたのは1996年のこと。当初は初代「Quake」エンジンのMODとして人気を集めたが,やがてチームプレイを前面に押し出した先見性に目をつけたValveによって吸収統合され,「Half-Life」エンジンをベースに「Team Fortress Classic」として再出発。その一方で,1999年にはさらに現実的なレンダリング技術を含んだ「Team Fortress 2」の制作発表を行ったものの,その映像に衝撃を受けたメーカーは少なくなく,その後登場する「Battlefield 1942」(邦題 バトルフィールド1942)などのゲームプレイに多大な影響を与えたとされる。 ところが,2000年にはリリースの延期が発表され,この頃にValveの技術開発チームはのちにSourceエンジンと呼ばれる「Half-Life 2」(用エンジン)の開発を始めることになる。そのうち「Half-Life 2がリリースされるまではTeam Fortress 2に関する発表はない」という信憑性の高い噂が広がり,その後6年という期間が流れていったわけだ。
さて,GC 2006のEAブースにあった大きな木箱の形状をした専用シアターでは,ValveのGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏やDoug Lombardi(ダグ・ロンバルディ)氏らが交代で,次期リリースソフトである「Half-Life 2:Episode 2」と,Team Fortress 2,そして「Portal」の最新情報を発表。その中で,7月に公開されたTeam Fortress 2のティザームービーとは異なる,よりゲームプレイが推し量りやすい具体的なムービーが公開されたのだ。
ValveのDoug Lombardi(ダグ・ロンバルディ)氏
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Team Fortress 2は,1999年に発表されたときとは大きく異なり,トゥーンシェーダをかぶせることで,ピクサーのアニメ映画「Mr.インクレディブル」か,往年のアドベンチャーゲーム「Full Throttle」のようないかついアゴのおっさん達が,どこか親しみを覚えるような軽いタッチで描かれている。Valveの広報を担うロンバルディ氏に言わせると,「リアルなFPSが増えすぎた。ValveはTeam Fortress 2で,表現やゲームプレイの面でまたレベルを1段階上げる用意がある」と自信満々の様子だった。
現在,Team Fortress 2で登場するキャラクタークラスは,ソルジャー,スカウト,メディック,デモマン,ヘビー(HWマン),スパイ,スナイパー,エンジニア,そしてパイロの9種類。シビリアンが登場するか,もしくはほかの新しいクラスが追加されるのかについては,ロンバルディ氏は口を開いてくれなかった。 グラフィックスの雰囲気は大きく変わってしまったとはいえ,それぞれのクラスの長所を生かし,仲間同士で短所をカバーしていくゲームプレイの基本は同じ。個々のキャラクターが使用できる武器や能力に修正が見られるものの,軽量のスカウトは高速で移動し,重量のあるヘビーは鈍足である代わりに高い攻撃能力を持つことに変わりない。ビデオで見る限り,ソルジャー達がロケットジャンプ(自分の撃った爆破物の風力で,本来以上に高くジャンプする技)をしている映像もあるので,シリーズならではの“コンク・ジャンプ”(Concussion Grenade Jump)だってできると考えて間違いないはずだ。
Team Fortress 2は,2007年早々が予定されているHalf-Life 2: Episode 2のマルチプレイヤーのコンポーネントとして,独立した形でValveのオンライン配信サービスである「Steam」からリリースされる予定。また,Half-Life 2: Episode 2のパッケージ版はElectronic Artsから発売されることが決定しており,Team Fortress 2の発表経緯から考えても,このEpisode 2のパッケージにTeam Fortress 2が同梱されるのではないだろうか。 カートゥーン風の図柄は,古くからのTFCファンにとっては好みの分かれるところであろうが,MOD出身のソフトであるがゆえの冒険心を忘れていないことは素直に評価したい。ロンバルディ氏によると,今後もTeam Fortress 2に関するいくつかのニュースが公開されるので,続報を期待していよう。(ライター:奥谷海人)
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