[AGC 2006#02]オンラインゲームの未来はどうなる?AGCで真剣討論
左からパッフェンドフ,コスター,ウォーラス,ブリッジ,オンドレイカ各氏
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ゲームやネットワークに関する諸技術は,日進月歩で進化し続けているため,10年後はおろか5年先のことですら予測するのは難しい。しかしそんな中,オンラインゲームの未来はどのようなものになるのかという仮定を,AGCにおいて論じたのが,セミプロレベルでもMMORPGが制作できる,MMORPGミドルウェアを開発するThe Multiverse NetworkのCorey Bridge(コリー・ブリッジ)氏,元Sony Online EntertainmentのRaph Koster(ラフ・コスター)氏,次世代MMORPGとして知名度の高い「Second Life」を運営する,Linden labのCory Ondrejka(コリー・オンドレイカ),そして3Dやオンライン技術の解説しており,業界人に有名な3pointD.comのMark Wallace(マーク・ウォーラス)氏らだ。モデレーターは,オープンソースな仮想世界“メタバース”の研究者であるJerry Paffendorf(ジェリー・パッフェンドフ)氏が務めた。
結論からいうと,コンテンツの利用や制作に関してユーザー参加を促すWeb 2.0的な流れは,MMORPGでも確実に始まっているということが,進歩的なパネリストの面々には認識されていた。 ブリッジ氏のMultiverseは,開発ライセンスが無料な代わりに,収益の一部を得るというビジネスモデルで,とにかくMMORPGを作ってみたいというセミプロやアマチュア6000グループに利用されている。 ゲーム開発経験者がいるグループも1300ほどあり,中には映画監督ジェームス・キャメロンや,ゲーム経済学者エドワード・カストロノヴァ氏など有名な参加者もいるようだ。
Second Life
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Second Lifeも興味深く,プレイヤーがコンテンツを作れることがウケてか,すでにアカウント所有者は65万人を超え,北米プレイヤーに限定すれば,いずれWorld of Warcraftをも抜き去るのではないかと,オンドレイカ氏は強気の発言をしている。紹介されたデータでは,実際の金銭規模で毎月200万ドル(約2億5000万円)ほどがSecond Life内外で商取引されているらしい。同時に接続している16万人のうち,4分の1がコンテンツ開発に時間をかけているとのことだ。 オンドレイカ氏が強調していたのは,Second Lifeは,もはや“プラットフォーム”であって,MMORPGではないということ。コンテンツの制作だけでなく,ゲームプレイ時間にも仲間内で“何かをする”のが目的であり,ゲームそのものがアクティビティの主たる目的ではなくなっていると彼はいう。
「近い将来,既成のMMORPGは“贅沢品”(Luxury)ではなく“一般消費物”(Commodity)の地位に没落するだろう」と予測するのはコスター氏。すでに,韓国や日本,中国などでは,無料のβテストをホッピングする時代は過ぎ去り,基本料金無料/アイテム課金制というビジネスモデルが成立している。つまりアジアでのMMORPGは,コスター氏のいうCommodityに近い存在になっているといえる。同氏は,今後そういった流れがアメリカにも来ると考えているようだ。 「広いだけの世界を自慢するようなバーチャル世界の時代は終わり。Webサイトのような,(ユーザーが作った)コマ切れの世界が繋がっていくのではないか」と興味深い展望を持つコスター氏だが,その予想はあながち間違っているものではないだろう。
テキストMUDから生まれた現世代のMMORPGも,すでに10年という歴史を歩んだ。これからの10年は,どんなバーチャル世界が待ち受けているのか,皆さんも想像できるだろうか。(ライター:奥谷海人)
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Second Life |
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