[TGS 2006#61]東京ゲームショウ初出展のNeoWiz Japan。COO&チームマネージャーにあれもこれもインタビュー
この4月にゲームポータルサイト「GameChu」をオープンし,日本国内での本格的なオンラインゲーム提供に乗り出したNeoWiz Japan。同社としては初出展となる,東京ゲームショウ2006の会場で,COOのチェ・ガンホ氏と,チームマネージャーのパク・ジェフン氏にインタビューをする機会を得た。 韓国で大きなシェアを誇るNeoWiz Koreaに対し,まだまだスタート地点に立ったばかりといえるNeoWiz Japanと,同社の「GameChu」はどのような方向性で進んでいくのか。気になる新作MMORPG「モナトエスプリ」の最新情報と合わせて,たっぷりと話を聞くことができたので,早速チェックしてほしい。(ginger)
■日本の若者達はピーマンが嫌い?
(左から)NeoWiz Japan COO チェ・ガンホ氏,同チームマネージャー パク・ジェフン氏
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4Gamer: 本日はよろしくお願いします。NeoWiz Japanは今回初めての東京ゲームショウ出展ですが,手応えは感じていますか?
チェ氏: こちらこそ,よろしくお願いします。今回の出展にはとても満足しています。東京ゲームショウという名前での開催は今回が最後という話も聞いていますし,多くの人に足を運んでいただいて,手応えを感じています。
4Gamer: 日本にいらっしゃるのは何回目になるのでしょう?
チェ氏: 実は最近は日本にずっと住んでいるのです。忙しくてなかなか韓国に帰る時間がありません(笑)。
4Gamer: おっと,そうだったんですか。これは間抜けな質問でしたね。ではパクさんの,東京ゲームショウの印象はいかがですか?
パク氏: 今回は非常に多くの来場者に来ていただき,おかげさまで当社のブースもとても好評です。今回展示している「モナトエスプリ」にも,かなりの期待を寄せてもらっているようです。
4Gamer: ええ,私も期待していますよ。 ではまず,NeoWiz Japanが設立されてからの経緯からお話を聞かせてください。
チェ氏: NeoWiz Japanが設立されたのは3年前になります。最初はチャットアバターコミュニティである「SayClub」の提供からスタートし,そのあとに本格的なゲーム提供を行うようになりました。これは韓国のNeoWizの方向性と一致しています。韓国NeoWizは,インターネット接続サービスからスタートし,コミュニティサイト提供,ゲームサービスの展開という流れで発展してきました。 今年(2006年)4月にオープンしたゲームポータルサイト「GameChu」は,まだタイトル数も少ないですが,今回東京ゲームショウに出展したことをきっかけに,徐々にラインナップを充実させていきたいと考えています。そして日本のプレイヤーさんに,数多くの良質なゲームを提供していきたいと思っています。
4Gamer: 韓国では「Pmang」という名前でゲームポータル事業を展開し,韓国内で1,2位を争うゲームポータルサイトにまで成長しているにもかかわらず,今回あえてその名前を使わずに,「GameChu」とした狙いは何でしょうか。
チェ氏: 日本の若者達はピーマンがあまり好きじゃないからです(笑)。
4Gamer: え,野菜のことだったんですか?(笑)
チェ氏: いえいえ,冗談ですよ(笑)。“P”はプレイのことを指していて,“mang”という発音には韓国語ではネットワークといった意味があります。その二つをつなぎ合わせた“プレイネットワーク”という意味と,野菜のピーマンを引っかけているのです。ただ日本での展開を考えたときに,もっと日本人に覚えやすいネーミングをということで,「GameChu」という名前にしたのです。
■カジュアル系から本格派MMORPGまで
4Gamer: その「GameChu」のラインナップは,カジュアル系のボードゲームから「R2BEAT」,MMORPGの「DEKARON」までと非常に幅広いですが,今後はどういった方向性に進んでいくのでしょうか。
チェ氏: 二つの方向性を考えています。一つはこれまでのようなMMORPGの路線です。「モナトエスプリ」もカジュアルな雰囲気を持ったゲームですが,MMORPGはまだまだ主流だと思います。韓国NeoWizで現在開発中のタイトルもありますし,年に2,3作品くらいずつ提供していきたいと考えています。 もう一つには,これまで日本になかったようなジャンルのゲームを提供しいきたいという考えをもっています。これもまた,現在自社で開発を行っているものがありますし,外部からのゲームをパブリッシングするという形も考えています。 そして「GameChu」は,ゲームを入れておくための“器”の役割をするプラットフォームになります。その中にはもちろん,プレイヤー同志が互いに交流しあうためのコミュニケーション機能も含まれています。
4Gamer: ゲームのジャンルにはこだわらずに,「GameChu」を通じて幅広いプレイヤーが交流できる場にしていきたいということですね。
チェ氏: まさにその通りです。
4Gamer: しかしすでにサービスが開始されている「DEKARON」は,現在まだ「GameChu」のサービスとは切り離された形になっていますね。
パク氏: はい。実は今「DEKARON」も,「GameChu」の中に入り込む形になるようにシステムの改修を進めているところで,近々サービスの一つに取り込まれる予定です。
4Gamer: なるほど。その作業はどのくらいまで進んでいるんですか。
パク氏: 作業はほぼ完了していまして,もう間もなく,今言ったような形に切り替えられると思います。既存のIDをそのまま使えるようにして,これまで「DEKARON」をプレイしてきた人にとって,切り替えによって何らかの手間が増えたりといったことが極力起こらないように考えています。これからサービスインされる「モナトエスプリ」についても,もちろん最初からこのような形になります。
■アバターサービスの質の高さで勝負
4Gamer: ゲームポータルサイトは,韓国でも同様ですが「ハンゲーム」が先行してサービスを開始しており,すでに多くのプレイヤーを集めています。「GameChu」ではどういったところで差別化を図っていくんでしょう。
チェ氏: ゲームポータルサイトを考えたときに,「ハンゲーム」のようにアバターやコミュニティ機能を重視したものと,「ガンホーゲームズ」のように多くのゲームを集めることに特化したものの二つに分類できます。 どちらかといえば「GameChu」は,「ハンゲーム」に近い形式で,ゲームだけではなくそれを取り囲むコミュニティ機能といったものを重視しています。しかし,アバターコミュニティという面では,世界でも最初にそれを手がけた私達に一日の長があります。
4Gamer: アバターの魅力で競争して勝つ自信がある,と。まぁそうじゃないと,うかつに参入できないくらい,競争が激化していますものね。 ところで,無料で楽しんでいるプレイヤーを,アバターの課金に誘導する流れについてはどうなっているのですか?
チェ氏: ビジネスモデルとしては,アイテム課金を行っている「DEKARON」や,「モナトエスプリ」のようなMMORPGからの収益がメインですが,「GameChu」のゲームを楽しみ,コミュニティを作っていく中で,アバターを購入して飾り付けていくという流れになります。 例えば「R2BEAT」もゲーム自体は課金を行っていませんが,熱心なプレイヤーさんには,アバターにお洒落をさせてみたり,ブログに自分のゲームプレイの記録を書き込んだりと,自分をもっと表現したいという気持ちがあります。こうした流れを作っていくのが一つのモデルになると思います。
4Gamer: なるほど,分かりました。 ちなみに現在,「GameChu」で人気のあるゲームはなんでしょうか?
チェ氏: パチンコですね(笑)。プレイヤー数としては「DEKARON」のほうが多いですが,パチンコもかなりの人気がありますよ。
4Gamer: 韓国でもパチンコは人気があるんですか?
チェ氏: MMORPGやカジュアルゲームについては,日本と同様に人気があるのですが,韓国ではパチンコやカジノゲームには規制がかけられていますので,基本的にはないですね。韓国では,花札やポーカーに似たカードゲームに人気があります。
4Gamer: 人気のあるゲームについて,個別に1プレイごとの課金をするというようなことはお考えですか?
チェ氏: それについても,すでに色々とテストを行っていて,有料でゲームに参加するときのプレイヤーさんの反応などもテストしています。まだそれほど大きなものではありませんが,有料でプレイすることに対してもいい反応を受け取っていますよ。今後は有料プレイも,一つの選択肢として検討を続けていくことになると思います。
4Gamer: 分かりました。 では続いて,今回「EA Sports FIFA Online」がプレイアブル展示されることになった経緯についてもお聞きしたいのですが。日本での展開は確定していないということでしたが,可能性としてはどうなんでしょう。
チェ氏: それについて現在交渉を進めているところでして,申し訳ないのですが,今はまだステージで発表した以上のことはお話しできない段階です。
4Gamer: うーん,残念。続報を期待して待ちたいと思います。
■「モナトエスプリ」は独特なシステムが見所
4Gamer: では,そろそろ新作の「モナトエスプリ」について聞いていきますね。タイトルにエスペラント語を採用したことには何か意味があるのですか?
パク氏: これは企画者が言葉の響きで選んだものだと思います。どことなく幻想的な雰囲気がありますよね。
4Gamer: ゲーム中の人物やアイテム名などがエスペラント語で表現されているというわけではないのですね。
パク氏: ええ。むしろ逆に,ゲームの世界観自体は何かに限定されているのではなくて,色々な時代や国の世界観がミックスされたものになっています。例えばよくある西洋風のエリアだけではなく,ウェスタンな雰囲気のものや,日本でいえば江戸時代のような風景が現れたりします。
4Gamer: なるほどなるほど,いろいろと楽しめるわけですね。 では次に,プレイヤーが入力した生年月日や星座などでシナリオが変化したりするという「フォーチュンシステム」について,もう少し具体的に教えてください。
パク氏: フォーチュンシステムは,オンラインゲームを始めたばかりの人を本作に導くためのシステムです。具体的には,プレイヤーが入力した性別や星座,血液型などで,ある程度シナリオが決められ,受けられるクエストも変化するというものです。そしてもう一つ,入力されたデータを比較して,キャラクター同士の相性が決められます。相性のいいキャラクター同士でパーティを組むと,パラメータなどにボーナスを受けることができます。 こうして,序盤のうちはある程度決められたシナリオを進めることによって,徐々にゲームの世界に慣れてもらおうと。
4Gamer: 実際どれくらいの頻度で,その“運命の人”に出会えるんですか?
パク氏: そのあたりは現在調整を行っているところで,まだはっきりとは決まっていません。ただ,あまりにも会えないとつまらないので,街中に20〜30人いたら,その中に一人か二人は見つかるようにしたいと思っています。 街の中で運命の人とすれ違ったら,何かエフェクトが出たり,あるいは自分の持っているアイテムが反応したり,といったような見せ方を検討しているところです。
4Gamer: 街を歩くだけで楽しそうですね。シナリオは序盤の導入部分だけのものですか?
パク氏: いいえ,「モナトエスプリ」を進めていくうえで,メインとなる大きなストーリーがあります。その導入部分として,このフォーチュンシステムが置かれています。そこから派生するさまざまなサブシナリオが,プレイヤーごとに異なったものとなるのです。
4Gamer: なるほど,展開まで変わってくるんですね。 さて,ゲームに慣れた次の段階として「ハウジングシステム」があるのですが,どうすれば自分の家が持てるんでしょうか。
パク氏: それについても現在さまざまな企画を考えています。最初のうちは小さな家しか持てませんが,ゲーム内での活躍によって大きな家を持てたりといった拡張ができるようになると思います。 この家は“天空の家”という設定になっていて,物理的にどこかのフィールドに家を建てるというわけではありませんので,家を建てるスペースについて心配する必要はありません。自分の家に行きたいときには,テレポートのような形になります。もちろん,友達の家に行くことも可能です。
4Gamer: そういえば,「ダンジョンメイキング」も,家と同じようなインスタンスゾーンになるわけですよね。
パク氏: そうです。それこそ,プレイヤーの数だけダンジョンを作成できますよ。とはいえ,ダンジョンを作れるのはかなり高レベルのプレイヤーだけになると思います。また,持てるダンジョンの数も一つだけではなく,いくつかの種類のダンジョンを持てるようにしようと考えています。 ダンジョンの中に置かれたアイテムを取りに行くタイプのものや,複数のパーティで中に入って,誰が最初に脱出できるかを競うといったようなものなど,さまざまなルールのダンジョンが作成できます。また,プレイヤーからの評価が高いダンジョンを見つけやすくするような検索システムも用意する予定です。
4Gamer: ダンジョンを作った本人は,中に入って一緒に遊べるんですか?
パク氏: 基本的には見る側になります。自分で作ったダンジョンですので,仕掛けなどもすべて分かっていますからね。見る側のメリットとして,ダンジョンの入場料をもらうことができます。その入場料で,もっといいアイテムを買ったり,ダンジョンのパーツを増やしたりして,ダンジョンを発展させていきます。 ダンジョンのパーツの購入は,アイテム課金とゲーム内通貨の両方でできるように考えています。もちろん,リアルのお金がある人ほど良いダンジョンが作れるようだと公平ではありませんから,両方のバランスを取りながらやっていきたいと思います。
4Gamer: このダンジョンには,プレイヤーが自分でモンスターや報酬をセットできるんですね。
パク氏: そうです。ダンジョン内に置くアイテムは,作った人がどこかで手に入れてきたものを設置することになります。だから作った人としては,取られないように色々なトラップを仕掛けるかもしれないし,中に入って遊ぶ人は,それをクリアするためにレベルアップをするかもしれない。こういった関係が生まれてくると思います。
4Gamer: なるほど,それは面白そうですね。
■日本向けのバランス調整も。11月からクローズドβテスト開始
4Gamer: 11月にはクローズドβテストが実施される予定ですが,その後のスケジュールは決まっているのですか?
パク氏: 韓国でもつい先日クローズドβテストが終わったばかりで,その後のスケジュールについては現在検討中です。11月のクローズドβテストでは,システム的なバグチェックや,ローカライズ部分の不具合のチェックなどを行う予定で,オープンβテストは早くても年末から年頭にかけてになります。クローズドβテストの期間は短くても2週間から一か月くらいを予定しています。 オープンβテストへの移行時には,日本人の好みに合わせた独自の要素なども導入する予定で,まずは日本で人気のあるイラストレータを起用したオリジナルデザインのアイテムやコスチュームなども計画しています。
4Gamer: ゲームバランスはどうでしょう。韓国と同じですか?
パク氏: ゲームバランスに関しても,日本向けに調整を行うつもりです。韓国ではゲームの各要素を楽しむよりも,レベル上げをメインにする人が多いですが,日本人にとっては少し厳しいバランスになっていますからね。
気になるスクリーンショットはコレ
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4Gamer: (スクリーンショットを示しながら)ところで,この写真は一体なんですか? キャラクターがもの凄く大きくなったり,小さくなったりしていて気になるのですが。
パク氏: ああ,これは実は,韓国で行われたクローズドβテストの時のGMイベントです。スキルとかではないのですが,あまりに評判が良かったので本番にも入れようかと考えているんです(笑)。
4Gamer: そうなんですね。見た目も凄く楽しいので,ぜひ実現してください。
パク氏: ええ,期待していてください。
4Gamer: では,キャラクタークラスについても詳しく教えてください。
パク氏: すべてのプレイヤーは,最初はノーヴィスからスタートします。クローズドβ時に選べる職業は,カンファレンスでも紹介したファラン,メイジの二つです。オープンβ時には,これにテンプラー,クレリックを加えた四つになる予定です。テンプラーというのは素手で戦う職業で,ファランがタンク系になります。
4Gamer: ファランというのは日本ではあまり聞き慣れない言葉なんですが,韓国語ではどういった意味になるんですか?
パク氏: これは大昔に韓国で,貴族の中から選ばれた少年の戦士のことをそう呼んでいたのです。文武両道の男子のことですね。
4Gamer: なるほど,ではキャラクタークラスとしても,ただ強いだけではないものになりそうですね。 そういえば,本作はカジュアルな絵柄も魅力的ですが,戦闘以外に生産スキルなどもあるのですか?
パク氏: そのあたりも考えていまして,家具などを自分で作れるようにしていきたいと思っています。本作のフォーチュンシステムにちなんで,キャラクターそれぞれが得意な生産分野を持つような形を検討中です。
4Gamer: なるほど,楽しみにしています。 ではそろそろ時間が迫ってきましたので,最後に4Gamer読者に向けて,一言ずつコメントをお願いします。
チェ氏: NeoWizは韓国では大きなネームバリューを持つ会社ですが,日本ではまだ第一歩を踏み出したばかりです。ユーザーの要望をいち早く取り入れることで,韓国で大きな成功を収めることができました。これからも,日本のユーザーからの要望を取り入れて,皆さんが楽しめる良質なゲームを提供していきたいと思います。
パク氏: 「モナトエスプリ」とほかのMMORPGの大きな違いは,ストーリー性の高さと斬新なシステムにあります。ぜひ期待して,楽しみにしていてください。
4Gamer: 本日はありがとうございました。
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モナトエスプリ |
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