[G★2006#81]新作アクション「KoongPa」や「君主」の続編について,NDOORSに聞いた
左から,KoongPaの開発ディレクターJeon Hong Joon氏とNDOORSのCEO Cho Seong Won氏
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G★2006のNEXONブースにプレイアブル出展されていた,オンライン対戦格闘アクション「KoongPa」,そのプレイフィールなどについて先日お伝えしたが,今回は開発陣へのインタビューをお届けする。 本作の開発元は,MMORPG「君主」と同じNDOORS。となると,KoongPaにも,「そのへんのよくあるカジュアルゲーム」と一線を画した内容を期待する人もいるのではないだろうか。 今回,インタビューに応じてくれたのはNDOORSのCEOであるCho Seong Won氏と,KoongPaの開発ディレクターであるJeon Hong Joon氏のお二人。 KoongPaのことはもちろんのこと,君主の話も聞くことができたので,いずれかのタイトルに興味を持っている人は,ぜひチェックしてほしい。
■複数人で遊べる対戦格闘アクションゲームを目指した「KoongPa」
4Gamer: こんにちは,本日はよろしくお願いします。早速ですが,「KoongPa」の開発コンセプトを教えてください。
Cho Seong Won氏: こちらこそ,よろしくお願いします。 では,隣に座っている「KoongPa」の開発ディレクター,Jeon Hong Joonから説明させましょう。
Jeon Hong Joon氏: KoongPaは,当社が2005年2月から開発している,コミカルなオンライン対戦格闘アクションです。このジャンルのタイトルは割と多いですが,本作は格闘アクションとしてのベースをしっかりと整えたうえで,「複数人で楽しめる」という部分を重視して開発しています。さらに,スキルなどによるキャラクターの成長要素と,アバター的な展開を交えることで,ほかにはない面白さを目指しました。
4Gamer: なるほど。なんとなく理解できました。それではこれから,細かいことについて,順番に聞いていきますね。 まずは,本作のキャラクターはどの程度のアクションを行えるのか教えてください。
Jeon Hong Joon氏: 基本的には,パンチ/キック/投げ技/ブロック/ジャンプができます。打撃には上段/中段/下段の3パターンがあり,さらにそれぞれ,弱攻撃と強攻撃の2種類に分かれています。これらを組み合わせたコンボ技も可能で,見た目のコミカルさからは想像できないほどのアクションができるんですよ。
4Gamer: キャラクターの頭身は低いですし,動きもデフォルメされているのかな,とも思ったんですが,対戦格闘ゲームとしての基本面は,きっちりと押さえられているんですね。
Jeon Hong Joon氏: ええ。当社のスタッフには日本の格闘ゲームのファンが数多くいて,あのテイストを実現できればとみんなで常々考えていました。その過程で,マルチプレイで遊べたらもっと面白いものができるのでは? という思いが生まれたのが,本作を開発したきっかけですね。
4Gamer: マルチプレイは,どれくらいの規模で行えるのですか?
Jeon Hong Joon氏: 8名まで対応していて,大きく分けると個人戦によるバトルロイヤルと,チーム戦の2パターンを用意しています。
4Gamer: 対戦プレイに関連した特徴的なシステムはありますか?
Jeon Hong Joon氏: いくつかありますが,最も大きいのは「ヒーローシステム」ですね。プレイ中に「怒ゲージ」が溜まっていき,これがマックスになると,「ヒーロークリスタル」を使って一定時間変身できるんです。すると,必殺技を出せたり,強力なパワーを得たりできるようになります。それによって,劣勢からでも一気に形勢を逆転することが可能です。
4Gamer: これが本作のイチオシのシステムのようですね。変身できるヒーローは,全部で何種類ぐらい用意されているんですか?
Jeon Hong Joon氏: 現在は,アメコミ風の外見をした典型的なパワー系キャラの「パワーマン」,忍者の外見をした爆弾を操れる「ボンバーマン」,如意棒を使った長いリーチの攻撃が可能な「悟空」,そして素早く攻撃でき相手から体力を吸い取れる「ヴァンピ」の4種類があります。今後はさらに増える予定です。 さらに,厳密にはヒーローではないのですが,もう一種類「亀」というものも登場します。
4Gamer: といいますと?
Jeon Hong Joon氏: これはランダムで登場するのですが,ご想像のとおり戦闘力が大幅に落ちてしまいます。
4Gamer: ですよねぇ。なぜ,そんなものが?
Jeon Hong Joon氏: 従来の対戦格闘ゲームでは,一度相手を追い込むと,そのまま勝敗が決してしまいますよね。本作のヒーローシステムでも,強力な戦闘力を得られますが,優勢な側が使ってもさらに差が開いてしまいます。でも,これでは劣勢な側は面白くありません。そこで,ごくマレに「亀」に変身させることで,逆転要素をより高めたわけです。
4Gamer: つまり,優勢なはずが,一気に不利になってしまうこともあるんですね。最後まで気を抜かずにプレイできそうです。
■キャラクターの類似性と今後のスケジュール
4Gamer: 先ほど,展示されていたデモ機で本作をプレイしましたが,ヒーローのデザイン面に,アメコミや日本文化などからの強い影響を感じました。一部は,流石にちょっと似すぎているかな? と思うほどです。このようなデザインになった経緯について教えてください。
Jeon Hong Joon氏: 当社には日本の格闘ゲームだけでなく,アニメーションなどが好きなスタッフが数多くいます。そのため,「誰もがイメージできるヒーロー」を導入しようと思った結果,自然とこういったグラフィックスになりました。
4Gamer: 本作を開発するにあたって,ライバル視しているタイトルなどはありますか?
Jeon Hong Joon氏: そうですねぇ。強いて言うなら,「ゲットアンプド」でしょうか。
4Gamer: ああ,確かに近いところはあるかもしれませんね。 そういえば,ビジネスモデルもゲットアンプドと同じく,基本プレイ料金無料のアイテム課金制になるそうですね。販売される課金アイテムについて教えてください。
Jeon Hong Joon氏: 課金アイテムには,大きく分けて4種類があります。外見を変えるアバター的なもの,ポーションなどの消耗品,新たなスキルを使えようにするもの,そしてヒーローに変身するための“クリスタル”を成長させることができるものです。
4Gamer: それらはすべて,有料で販売されることになるんですか?
Jeon Hong Joon氏: いえ,ほかの多くのタイトルと同じように,本作の通貨にはゲーム内で得られるタイプと,現金と引き替えに購入するタイプとがあるんです。課金アイテムをまったく購入せずとも,問題なくゲームは楽しめるので安心してください。
4Gamer: 安心しました(笑)。 課金に続いて気になる部分として,サービススケジュールについても教えてください。
Jeon Hong Joon氏: 順調に進めば,韓国では2006年内にクローズドβテストが始まります。そして,2007年早々に正式サービスへ移行できれば……と考えています。
4Gamer: それは韓国でのサービススケジュールですよね。日本への展開はいかがでしょうか?
Jeon Hong Joon氏: 日本は対戦格闘ゲームの本場ですから,本作がどれだけ受け入れられるのか,非常に興味を持っています。でも,現時点ではまだ何も決まっていなんです。
■NDOORS,G★ 2007に3タイトルを出展予定。「君主」の続編タイトルも開発中
4Gamer: せっかくの機会ですから,NDOORSのCEOを務めているCho Seong Wonさんにも話を聞かせてください。 日本のゲーマーにとってNDOORSは,「君主」のイメージが強い会社です。君主の韓国での状況を教えてください。
Cho Seong Won氏: 一般的なMMORPGの場合,運営期間が長くなるにつれてプレイヤーは次第に減っていきます。もちろんタイトルによって,減り方はまちまちですけどね。しかし君主の場合,今でも少しずつ増えているんです。君主の経済概念は独特で,理解してもらうまでに時間はかかりますが,一度理解してもらえれば,それがクチコミで広がるんでしょう。そういう意味では,ファーストインプレッションだけでなく,継続的に評価してもらえているようです。
4Gamer: では,日本語ローカライズ版についてはどうでしょうか。
Cho Seong Won氏: ゲームポットさんによる日本での運営手腕には,とても満足しています。とくに,アップデートに対して積極的に取り組んでくれている点は,こちらとしても嬉しいですね。オンラインゲームは最初の開発だけでなく,リリース後の継続的なサービスも非常に重要ですから。
4Gamer: 以前にNDOORSのOh. Joon Kyungさんにインタビューをしたことがあるんですが,そのときに,韓国版と日本版との間で,大きく仕様が異なるタイトルがあることに驚きました。でも,NDOORSでもそのことを好意的に受け止めているんですね。 そんなNDOORSが,ゲームを開発するとき,とくに重要視しているポイントは,どこにあるのでしょうか。
Cho Seong Won氏: ゲームは娯楽ですから,誰かを楽しませるということは,忘れてはいけないポイントだと考えています。それに,プレイヤーに楽しんでもらうためには,まず自分達が楽しむ必要がありますよね。その結果,当社はかなり自由な社風になっていますよ。
4Gamer: 窮屈な思いをしてゲームを作っていても,楽しいものは出来上がらないという考え方ですね。 現在,社員は何人ぐらいいらっしゃるのですか?
Cho Seong Won氏: 会社全体で200名ほどいて,その内の160名が開発スタッフです。
4Gamer: ほぼ,開発専門の会社という感じですね。
Cho Seong Won氏: そう考えていただいて,間違いありません。
4Gamer: NDOORSでは現在,どのようなタイトルを開発しているのですか?
Cho Seong Won氏: 現在は複数の開発ラインが進んでおり,2007年のG★にコンシューマゲームを含む3タイトルを出展できるよう,がんばっています。さらに,2007年のG★に出せるかどうかは分かりませんが,君主の続編タイトルの開発にも着手しています。
4Gamer: おっと,結構凄いことをさりげなく言いますね(笑)。君主の続編タイトルについて,もう少し詳しく教えてください。
Cho Seong Won氏: グラフィックスはフル3Dで,経済活動を世界レベルで行えるようにします。現在確定しているのはこのくらいでしょうか。
4Gamer: ということは,まだまだ企画段階なんですね。実際にプレイできるのは先の話になりそうですが,期待しています。 それでは最後に,4Gamerの読者に向けて一言お願いします。
Cho Seong Won氏: 私は,韓国と日本の交流がもっと増えればいいなと常々考えています。例えば君主において,サーバー間の貿易機能を実装したのも,そのような思いがあってのことです。また,KoongPaについても同様に,日本のプレイヤーに受け入れてもらいたいと考えながら作っています。ぜひ,当社の今後の活動に注目してください。
4Gamer: 今後も注目していこうと思います。本日はありがとうございました。
最初にKoongPaを見たときは,各ヒーローの外見がどこかで見たようなものばかりなことに,いろいろな意味で驚いた。だが,コミカルなキャラクターを追求していった結果,あのような形になったということらしい。 ちょっと……いやかなり“微妙”な感は否めないが,プレイヤーが抱く普遍的なヒーロー像に近づけるために,ああいうデザインになってしまったのだろう。 とはいえ,こういった部分でプレイヤーに余計な不満/不安を抱かせるのはもったいないことである。今後追加されるヒーローには,本作ならではのオリジナリティを求めたい。
キャラクターデザイン以外の点に目を向ければ,秀作の部類に入ると言っても良さそうなタイトルだ。パッと見では「子供向けかなぁ」と思ったが,実際に遊んでみるとその思いは払拭される。NEXONブースに同時に展示してあった「Nanaimo」と同様,ゲームとしてキチンと,スピード感や爽快感,適度な難度などが作り込まれている。日本での展開にも期待したい。(ライター:川崎政一郎)
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