ASUSTeK&GIGABYTE,ゲーマー向けのOC対応マザーボードを公開
OCZ Technologyによるアジア太平洋地区の報道関係者向け説明会「OCZ Summit 2006 APAC」。2日めとなる2006年12月7日には,同社のパートナー企業による説明会「Technical Conference」が複数設けられ,ASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)とGIGABYTE TECHNOLOGY(以下GIGABYTE)の2社が,オーバークロック性能の高さを謳う未発表のゲーマー向けマザーボードを公開した。かなり興味深い話が聞けた,2社のセッションをまとめて紹介しよう。
■未発表の新作マザーボード ■「COMMANDO」を公開したASUSTeK
Derek Yu氏(Product Manager, Product Marketing Dept., ASUSTeK)
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ASUSTeKのセッションでは,担当プロダクトマネージャーであるDerek Yu(デレック・ユー)氏から,ゲーマー向け製品ブランド「R.O.G.」(Republic of Gamers)についての説明があった。 同氏はR.O.G.ブランドを「A.I.シリーズの上位モデルではなく,ゲーマーとオーバークロッカーのためだけの特別なラインアップ」と位置づけ,豊富な機能面だけでなく,すべてがゲーマー向けにチューンされている点を強調。オーバークロック機能「Extreme Tweaker」を例に挙げ,「単にオーバークロック機能を提供しているのではなく,搭載するデバイスや信号制御周りで安定動作のためのチューニングを行っています」とコメントした。
COMMANDO
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続けてユー氏は,新作マザーボード「COMMANDO」を報道関係者向けに初めて公開した。これは,Intel P965 Express+ICH8Rベースの製品で,現在のステータスは,「ハードウェアは完成済みで,最終的なチューニングとデバッギングの最中」。2006年12月中に発売予定という。気になる価格については「nForce 680i SLIほどチップセットが高くないので(笑),『Striker Extreme』よりは安価になるでしょう」(ユー氏)とのことだ。 最近のASUSTeK製マザーボードではミドルクラス以上でよく見かけるeSATAポートが,この製品では省かれているのだが,その理由として同氏は「ゲーマーのためには,RAID対応のSerial ATAポートが六つあります。ゲーマーの意見を聞いて,不必要と判断したものは省きました」と述べる。オーバークロック関連の機能や使いやすさ,安定性への配慮を行いつつ,ゲーマーにとってあまり必要でないものは積極的に排除しているようだ。
さて,ボードを見てみると,まず目につくのは拡張スロット構成だ。16レーン動作するPCI Express x16スロットの“上”に,PCIスロットが一つ用意されているのである。 「これは,拡張性への配慮です。2スロット仕様のグラフィックスカードでCrossFire構成を採ろうと思ったときに,冷却に配慮しようとすると,もはや拡張カードは利用できないというケースが多かった。その点,一番上のスロットをPCIにしたCOMMANDOでは,グラフィックスカードの冷却に配慮しつつ,PCIスロットも問題なく利用できるというわけです」(ユー氏)。もっとも,Striker Extremeと共存すべく,基本的にはシングルグラフィックスカード動作に向けて最適化されているそうで,シングルカード動作時に,最大限の拡張性を確保できるというのも,主眼に置かれているようである。 R.O.G.シリーズは標準でノイズ対策を行ったというHD Audio CODEC搭載のPCI Express x1接続サウンドカード「SupremeFX」が付属するが,ゲーマーの間では「Sound Blaster X-Fi」などのサウンドカードを利用したいという声が多く,それに応えたものなのだとか。
CPUソケットの近くに2か所の切り欠きがある
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このほか,CPUの近くに2か所の切り欠きがあるのが気になったので聞いてみると,一言「開発中」という答えが返ってきた。何らかのパイプなりなんなりを通せそうで,COMPUTEX TAIPEI 2006で展示されていた水冷ユニット(の改良版)が思い当たるが,ユー氏にいろいろ聞いてみたところ,水冷の可能性もゼロではないものの,何か別の冷却機構を考えており,これはそのためのものであるかのような口ぶりだった。少なくとも,COMMANDOが発売されるタイミングで明らかになることはなさそうなので,気長に待ちたい。
なお,COMMANDOの基本的な仕様はこれまでのR.O.G.シリーズとよく似た印象だ。チップセットを結ぶヒートパイプや,8フェーズの電源回路,オーバークロックテスト時などに有効な,I/Oパネル部のPOSTコード表示用ディスプレイ「LCD Poster」やオンボードの電源/リセット/CMOSクリアボタン,前述のExtreme Tweakerなどは,そっくり搭載している。 ちなみにヒートパイプとフィンによる冷却機構は,あくまでチップセットの冷却用という。電源回路は8フェーズ化と高品位部材の採用によって発熱を押さえており,特別な冷却機構は必要ないそうだ。「ケースファンさえ正常に動作していれば,電源回路とチップセットの熱が篭もるということはまずありません」(ユー氏)。
左から順に,ヒートパイプの構造,LCD Poster,LEDの埋め込まれたボタン群。先ほど説明したように,eSATAポートが省かれているため,LCD Posterの下(ケーブルで隠れていて申し訳ないが)には何もない
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会場では,実際にCPUをオーバークロックして,OCZ Technology製のメモリをDDR2 1300相当で動作させるデモが行われたほか,Striker Extremeの廉価版に相当し,純粋なオーバークロック機能にフォーカスしてLEDなど装飾ギミックを省いたモデル,「Striker」の存在も明らかにされた。OCZ Technologyとの協業を考えても,ASUSTeKはどうやらこのゲーマー向けブランドに本気のようで,COMMANDOも含め,今後も期待できそうだ。
■Gigabyte United初の製品に? ■GIGABYTEは未発表のnForce 680i SLIマザーを公開
Rockson Chiang氏(Product Manager, Marketing Division, GIGABYTE)
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一方GIGABYTEのセッションでは,同社プロダクトマネージャのRockson Chiang(ロクソン・チャン)氏が,「マザーボードの品質は,搭載部品の点数ではなく品質でのみ決まります」として,一般的な電解コンデンサに対する,高分子アルミ固体コンデンサの優位性を説明。そのうえで,搭載コンデンサのすべてが固体タイプとなる同社製マザーボードの信頼性の高さを強調した。
そしてチャン氏は,こちらも未発表となるnForce 680i SLIマザーボード「GA-N680SLI-DQ6」のプレビューを行った。同社のハイエンドマザーボードで謳われる「6-Quad」仕様のオリジナル設計製品で,“6個のクアッド(4)”の一つとして,1000BASE-T LANを4系統用意するのが興味深い。これは自宅でFPSなどのゲームサーバーなどを立てることを想定しているという。 BIOSは「NVIDIAのBIOSをベースに,弊社とNVIDIAが共同開発したものになります。もちろん,Link Boost対応です」(チャン氏)。
GA-N680SLI-DQ6。6-Quad仕様で,チップセットの熱はヒートパイプでCPUクーラー近くのヒートパイプへ送られる仕組みだ。LANコネクタ(RJ-45)はもちろん4個用意。nForce 680i SLIによって提供される,FirstPacketやTeamingなどのパフォーマンス向上機能を,すべて利用可能だ
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また同氏は,CPUソケット裏面に設けられたヒートシンク「Crazy Cool」の有効性を強調し,チップセットのヒートパイプと合わせて,マザーボードの発熱低減に大きな効果があり,安定動作の実現に一役買っているとした。
Crazy Cool。ヒートパイプで電源部近くの放熱フィンとつながっている
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エンジニアリングサンプルを用いたデモの様子
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ちなみに同製品は,2007年1月中旬発売の予定。チャン氏によると「(2007年1月に予定されている)Gigabyte United設立の前後処理で,どうしても若干遅れてしまうのです」とのことで,GA-N680SLI-DQ6は,新会社Gigabyte Unitedの第1弾製品となる可能性がありそうだ。多機能かつ安定性重視のマザーボードとして興味深い存在といえ,間もなくと思われる正式発表を楽しみに待ちたい。(佐々山薫郁)
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