北米の業界団体であるESA(Entertainment Software Association)を,創設以来12年間率いてきた,Douglas Lowenstein(ダグラス・ローウェンシュタイン)氏が,2007年3月中に会長を辞任すると発表された。後任はまだ決まっておらず,MicrosoftのRobbie Bach(ロビー・バック)氏などから構成されるESA理事会のメンバーによって,近日中に選出される見込みとなっている。 ESAは,これまでアメリカ議会へ各種のロビー活動を行うと共に,海賊版の撲滅や裁判への対処などによってゲーム業界の地位向上に努めてきた団体。多くのゲーマーにとっては,業界最大のゲームイベントであるE3(Electronic Entertainment Expo)の主催者として知られているはずだ。
ローウェンシュタイン氏は,ここ数年増加していた反ゲーム訴訟や政治家達の反ゲーム運動といった攻撃を一身に受けていた印象がある。さらに,E3は2007年度より大幅な規模縮小を行う予定になっているが,その動きを推進してきたローウェンシュタイン氏は,このところ,E3縮小の影響でタイトルの見せ場を失うことを懸念する中小ゲーム関連会社から強い非難を受けていたようだ。 辞任後には金融機関への転職もウワサされているローウェンシュタイン氏だが,いずれにせよ,彼が新生E3をESA会長として目撃することはなくなったようだ。2008年は大統領選挙の年であり,今後,アメリカの政治状況は大きく変動するだろう。Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)氏やJoe Liebermann(ジョー・リーバーマン)氏など,ゲームに批判的な政治家が大きな権力を握ることも予想されており,ESAの新しい会長には一層強力なリーダーシップが求められている。(ライター:奥谷海人)
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