Windows XP&Vista対応の「ATI Catalyst 7.2」が公開される
AMD製GPU(グラフィックスチップ)「ATI Radeon」およびATI Radeonのグラフィックスコアを内蔵したチップセット用のグラフィックスドライバ「ATI Catalyst」の最新版「ATI Catalyst 7.2」(以下Catalyst 7.2)がリリースされた。ダウンロードは4Gamerの最新ドライバページからどうぞ。
AMDは,ATI Technologies時代から,OEMとなるカードメーカーなどに対してグラフィックスドライバを適宜アップデートしており,それをまとめて月に一度のペースでエンドユーザーにも公開しているが,2007年2月版となる今回のアップデートは,「Windows XP」用と「Windows Vista」用が初めて同時に公開されたのがトピックだ。英語版のみの提供となるリリースノートは両OS向けで共通化されているので,今後は,よほどのことがない限り,同時にアップデートされることになるのではなかろうか。
さてCatalyst 7.2では,「ATI Radeon X1000」ファミリーにおけるOpenGLパフォーマンスが向上したとのこと。また,OpenGLベース(というかDOOM 3エンジンベース)の「DOOM 3」「Quake 4」「Prey」において,順に最大25%,48%,21%の性能向上が図られているという。 同時に,Windows Vista専用の「ATI Catalyst 7.1」で採用された以下に挙げる新機能が,Windows XP環境にももたらされている。
●Catalyst 7.2でWindows XP環境に導入された新機能
専用コントロールパネル「Catalyst Control Center」が一新された。反応速度が向上したのと,3D設定が分かりやすくなったのはゲーマーにとってメリットだ
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- 使い勝手&全体的な反応速度の向上と起動時間の短縮が図られた,新しい「Catalyst Control Center」の採用
- ドライバのCPUリソース消費量低減
- より効果が分かりやすくなった3Dプレビューの導入
- 安定性の向上
- 32/64ビットOSのネイティブ対応
(※いずれもWindows VistaではCatalyst 7.1で導入済み)
このほか,言うまでもないことだが,多方面にわたるバグフィックスも行われている。主立った問題点の修正は以下のとおりだ。また,現時点で未解決の問題はその下にまとめた。
●Catalyst 7.2で解決した主な問題(Windows XP)- ディスプレイ解像度を1920×1440ドット,あるいは2048×1536ドットに設定し,アンチエイリアシング設定を6xにすると,「Battlefield 2」の起動に失敗する問題
- アンチエイリアシング設定を有効にすると,「Desperados 2: Cooper's Revenge」を実行できず,「atioglxx.dll」でエラーが生じたというダイアログが表示される問題
- アンチエイリアシング設定を有効にすると,「Tom Clancy's Splinter Cell: Double Agent」で,画面表示がおかしくなる問題
- CrossFire環境で,「Tiger Woods PGA Tour 2006」や「Madden」シリーズをプレイしようとすると,画面表示がおかしくなる問題
- ディスプレイ解像度を1920×1200ドットから1600×1200ドットへ変更すると,ディスプレイに何も表示されなくなる問題
- Catalyst Control Centerの「基本」表示時に,セカンダリディスプレイを認識できない問題
これが「基本」表示で,Catalyst Control Center初回起動時は左のウインドウが開くようになった。なお,このウインドウ左下の[詳細]ボタンを押すと,(上で示した)見慣れた詳細ウインドウが開く
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●Catalyst 7.2で解決した主な問題(32/64bit版Windows Vista)- ディスプレイ解像度を2560×1600ドットに設定し,アンチエイリアシング設定を4x,異方性フィルタリング設定を8xにすると,「DOOM 3」の画面表示がおかしくなる問題
- 「Windows Media Center」あるいは「Windows Media Player」を利用してDVD-Videoを再生しようとすると,画面表示がおかしくなる問題
- CRTディスプレイを接続しているにもかかわらず,Catalyst Control Centerから「テレビが接続されている」と誤認識される問題
- 「ATI Radeon Xpress 200」シリーズのチップセットを搭載する環境で,S3ステート(≒サスペンドモード)からの復帰に失敗する問題
- 「ATI Radeon Xpress 1100/1150」チップセット搭載環境で,DVD-VideoをWindows Media Playerの全画面表示で再生したり,CRTディスプレイを外す→スタンバイモードからのレジュームを行ったりすると,画面がちらつく問題
- 非常に長い名前のフォルダ,あるいは非常に深い階層にあるフォルダへATI Catalystをインストールしようとすると,失敗する問題
- 「ATI Radeon X1600」シリーズ搭載環境でテレビを視聴しようとすると,画面表示がおかしくなる問題
- ATI Radeon X1600シリーズ搭載環境で,ディスプレイ解像度1440×900ドットを選択できなかった問題
- 日本語版Catalyst Control Centerで,省電力機能「PowerPlay」をサポートしていないGPUを搭載した環境でも,PowerPlayの選択項目が表示される問題
- ATI Mobility Radeonファミリー搭載環境で,PowerPlay設定を変更すると,仮にACアダプタ駆動していてもバッテリ駆動していると表示される問題
●Catalyst 7.2で未解決の主な問題(Windows XP)- 「Star Wars Knights of the Old Republic II: The Sith Lords」で,ゲーム側のディスプレイ解像度設定を変更すると,画面表示がおかしくなる
- CrossFire環境で「WinDVD 7」「PowerDVD 6」あるいはWindows Media Playerを利用してビデオデータを再生すると,画面表示がおかしくなる
- ATI Catlystのアンインストール時に,いくつかのファイルが消去されないまま「Program Files」以下に残ってしまう
- Catalyst Control CenterのATI OverDrive設定が,個人アカウント(※編注:原文は「individual account」。管理者権限以外のアカウントのことではないかと思われるが詳細は不明)になっていると保持されない。これはWindows Vista環境でも生じる可能性がある
- 「ATI Radeon X1900」のCrossFire環境で,PCを再起動するごとにアンチエイリアシング設定が初期化される。これはWindows Vista環境でも生じる可能性がある
●Catalyst 7.2で未解決の主な問題(32/64bit版Windows Vista)- 「ATI Radeon X800」搭載環境でアンチエイリアシング設定を2x,あるいは4xに設定すると,「Call of Duty」実行時に画面表示がおかしくなったり,OSが停止したりする
- 「Call of Duty:United Offensive」で,ゲーム側の設定を利用してディスプレイ解像度を2048×1536ドットにすると,画面表示がおかしくなる
- ディスプレイ解像度2560×1600ドット以上で「City of Heroes」を実行すると,起動に失敗する
- 「ATI Radeon X550」あるいは「ATI Radeon X700」搭載環境で「DOOM 3」を実行すると,OSが停止する
- アンチエイリアシング設定を4xにして,ゲーム側の設定から「Video Quality」を「Medium」,ディスプレイ解像度を1024×768ドットに設定すると,「DOOM 3」と「Quake 4」で画面表示がおかしくなる
- アンチエイリアシング設定を2x以上に設定すると,「NBA Live 07」でアニメーションが表示されない
- ATI Radeon X800シリーズ搭載環境で「Neverwinter Nights: Shadows of Undrentide」を実行すると,オープニングムービー終了後にゲームが停止することがある。また,GPUを問わず,64bit版Windows Vista+液晶ディスプレイという条件でも同じ問題が発生する
- 「NHL 07」で,ゲーム側のディスプレイ解像度設定が適用されない
- 「ATI Radeon 9800 XT」搭載環境で「Quake 4」を実行すると,画面表示がおかしくなる
- ATI Radeon X1900シリーズ搭載環境で「X-Plane」(※編注:バージョン不明)を実行すると,画面表示がおかしくなる
- OpenGLアプリケーションの実行時に,ATI OverDriveが機能しない
- S3ステートからの復帰に,かなりの時間を要する
- ATI Radeon X800 GT搭載環境で,64bit版Windows Vistaにおいて,ドライバが正しく読み出されない
以上,Windows XPのユーザーにとっては,使い勝手の向上した新しいCatalyst Control Centerが導入されたという点で,導入する価値のあるバージョンといえるだろう。 Windows Vistaに関していうと,2007年2月20日に正式版ドライバがリリースされたものの,未だ制約だらけの「ForceWare」と比べると,リリースノートを眺めるだけでも,Windows Vista環境における安定度が高く感じられる点は評価してよさそうだ。「だから完璧」というわけではなく,Windows Vista環境を中心に,まだ多くのゲームにおいて問題が残っている点も併せて指摘しておく必要はあるが,Windows Vistaユーザーも,素直にアップデートしておいたほうがいいと思われる。
なお,これはお約束だが,ドライバのアップデート作業は自己責任となるので,くれぐれもご注意を。(佐々山薫郁)
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