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MMORPG「CABAL ONLINE」開発元EST softインタビュー:「ミスリル防具」などのハイレベル向けコンテンツを続々と投入
2007/03/20 14:51
左から,EST softのCABAL ONLINEマーケティングマネージャーのJiny Bae氏,CEOのKim, Jang-Joong氏,ディレクターのMin, Young Hwan氏。今回は主にKim氏に話を伺いつつ,ほかの2名に随時補足をしてもらった。
 2006年11月末に正式サービスを開始し,ゲーム内容の拡充が続いているMMORPG「CABAL ONLINE」。キャラクターモーションの格好よさと,サクサク成長していく楽しさを前面に押し出したタイトルだ。オープンβテスト期間を含め,実質2か月程度で累計会員登録数が20万人を超えたという実績も作っている。
 このたび,韓国でCABAL ONLINEの開発を行っているEST softのスタッフが来日しているとの情報をキャッチしたので,ここぞとばかりにコンタクトを取り,韓国版の近況などについて語ってもらった。韓国で先行導入された「第7次アップデート」などについて語ってくれたが,ゲームポットのスタッフによると,これらの一部は近日中に日本版へ導入されるとのこと。CABAL ONLINEのプレイヤーはぜひ最後まで目を通してほしい。



■韓国版の状況:「第7次アップデート」でハイレベル向けの「ミスリル」防具が実装

4Gamer:
 本日はお忙しいところ時間を割いていただき,ありがとうございます。早速本題に入りたいのですが,韓国では先日,「第7次アップデート」が導入されましたよね。このアップデートの目玉は何でしょうか?

EST soft CEO Kim, Jang-Joong氏(以下,Kim氏):
 こちらこそ,よろしくお願いします。第7次アップデートの要素はいくつかありますが,中でも最も大きいのは,ハイレベルキャラクター向けに,「ミスリル」と呼ばれる防具シリーズとアクセサリ類が新たに追加されたことです。

4Gamer:
 どちらもハイレベル向けとのことですが,それぞれのアイテムを装備できるキャラクターレベルと,入手方法はどのようになっていますか?

Kim氏:
 装備レベルに関しては,ミスリル防具がレベル100以上で,アクセサリ類はレベル70以上です。
 ミスリル防具は,材料を集めて「製造」を行うことで入手できます。一方アクセサリ類は,インスタントダンジョンで,モンスターからのレアドロップ品として入手することになります。

4Gamer:
 CABAL ONLINEの「製造」は,いくつかあるジャンルの中から一種類を専攻する形式ですよね。ミスリル防具は,何を専攻することで作れるようになるのでしょうか?

Kim氏:
 ミスリル防具の製造は,キャラクターが専攻したジャンルと関係なく行えます。またレベル条件もなく,材料さえあれば誰でも製造できるのです。

4Gamer:
 それを聞いて安心する人は多そうですね。製造に必要な材料は,どのようにして入手するのですか?

Kim氏:
 製造するのにレベル条件はない,と申し上げた矢先なのですが,実は材料を得るためには,レベル105以上を対象としたインスタントダンジョンで冒険をしなくてはいけません。するとレアドロップアイテムとして,ミスリル防具の材料を得られるというわけです。実際にこのダンジョンで満足な冒険を行うためには,キャラクターレベルで120前後はほしいところです。

ミスリル防具


4Gamer:
 そのほかの,ミスリル防具に関する特徴を教えてください。例えばミスリルは,ファンタジー世界において“金属”として扱われますが,ウィザードでも装備できるのでしょうか?

Kim氏:
 もちろん,ミスリル系の防具は全クラスにそれぞれ用意されていますよ。外見に関していうと青を基調としており,とても格好よく仕上がっていると思います。
 あと,これはまだ韓国でも発表していない要素なのですが,今後のアップデートで,ミスリル防具のアップグレードを予定しています。材料だけでも持っておくと,きっといいことがありますよ。

4Gamer:
 それは楽しみですね。ところで,もう一方のアクセサリ類については,どのような特徴があるのでしょうか?

Kim氏:
 STR,INT,DEXといったステータスをアップさせるものが中心です。レアなアクセサリでは,ステータスアップ以外に例えば,「クリティカルヒット発生率アップ」といった特殊効果も付随しています。



■レベル125以上を対象としたマップなど,ハイレベル向けのアップデートも展開

4Gamer:
 いまお聞きしたミスリル防具やアクセサリといったアイテムの実装以外に,第7次アップデートの大きな要素には何がありますか?

Kim氏:
 主にレベル125以上のキャラクターを対象としたマップ,“ミュータントフォレスト”(Mutant Forest)を追加しました。それと,新しいダンジョンとして“ボルケニックシタデル”(Volcanic Citadel)と“フォーガトゥンテンプル”(Forgotten Temple)を追加しており,それぞれレベル105以上とレベル115以上が対象となっています。

4Gamer:
 これまた,ハイレベル向けなんですね。新マップを舞台に,対象となるハイレベルキャラクターは,どういったプレイを展開するのでしょうか?

Kim氏:
 国家間戦争です。CABAL ONLINEでは,レベルが95に達したキャラクターは「カペラ」または「プロキオン」のどちらかの国家に所属できます。その2国のプレイヤーが直接,このマップで対人戦を行えるようになります。ワープゾーンをはじめとした,PvP用のさまざまな仕掛けが用意されているので,これらの活用もポイントになるでしょう。

4Gamer:
 なるほど,対人戦に特化されているのですね。そうだとすると例えば,モンスターなどが配置されているかどうかが気になりますね。

Kim氏:
 マップ内の一部地域にはモンスターもいますが,非常に強いです。対モンスター戦はパーティプレイが前提のバランスで,仮にソロプレイで戦う場合は,先ほど対象レベルとして申し上げたとおり,少なくとも125前後のレベルが必要になると思います。

左列:ミュータントフォレスト
中央列:ボルケニックシタデル
右列:フォーガトゥンテンプル


4Gamer:
 先ほどのミスリル防具といい,ハイレベル向けの要素の話が続いていますが,初〜中級キャラクター向けのアップデート要素にはどういったものがありますか?

Kim氏:
 そうですね,例えば,すべてのエリアにいるボスモンスターに対し,ヒットポイントなどのステータスを全体的に下げました。これは,ボスモンスターを倒すために極端に長い時間が必要で,諦めてしまう人がいたことへの対策です。その代わりAIが賢くなって,よりスリリングな戦闘を満喫できるようになりました。
 また,今回のアップデートでは中〜低レベル帯のプレイヤーのために,NPCが滞在するインスタントダンジョンのリニューアルも行っています。もちろん今後も,継続的に初〜中級レベル帯のプレイヤーに向けたコンテンツ追加や,リニューアルを行う予定です。

4Gamer:
 分かりました。では,実際に第7次アップデートを導入してから,韓国のプレイヤーの反応はいかがですか?

Kim氏:
 とくにミスリル防具が注目されているようです。ざっと見たところでは,ハイレベルプレイヤーのうち3割くらいの人が,ミスリル防具を目標にしている印象を受けますね。ただし,必要な材料はかなりのレアドロップなので,みなさん大変そうです。

4Gamer:
 ハイレベルプレイヤーにとって,ミスリル防具は苦労をしてでも手に入れたいものなのでしょうね。では続いて,第7次以降に韓国で導入を予定している長期的なアップデート内容について,さわりだけでも教えてもらえませんか?

Kim氏:
 EST softでは現在「第8次アップデート」の開発を行っていますが,これに関しては現時点でお話しできることは限られています。一つだけ申し上げると,第8次アップデートの中で最も大きい要素となるのは,「インスタント戦争」の導入ですね。
 これは,戦闘をする時間帯をあらかじめ決めたうえで,専用のゲームチャンネルに集まって行う形式の対人戦です。複数のパーティでアライアンスを編成し,それらが激突するといった形をイメージしてください。

4Gamer:
 対人戦のバリエーションがさらに広がりそうですね。

NPCが滞在するインスタントダンジョン


■各国の運営状況や,CABAL ONLINEがヒットする理由について

4Gamer:
 それでは次に,各国の運営状況について聞かせてください。CABAL ONLINEは,現在どこの地域でサービスを行っていますか?

Kim氏:
 正式サービスを行っているのは,日本のほかに韓国,中国,台湾,それとヨーロッパです。また,タイとインドネシアに関しては,現地の運営会社とマーケティング契約を結び,正式サービスに向けて動き出すところです。
 そして今後は,ブラジル,ベトナム,フィリピン,シンガポール,マレーシア,そしてアメリカといった国々に向けても展開していければと思っています。

4Gamer:
 ヨーロッパでも展開していたのですね。韓国産タイトルの進出先として注目の集まる地域ですが,実際には何か国でサービスを行っているのでしょうか?

Kim氏:
 ヨーロッパ圏の全46か国が対象ですが,すべて英語版でのサービス展開となります。ヨーロッパは現在,インフラがあまり整備されていないこともあり,MMORPGのマーケットはそれほど大きくないと認識しています。しかし人口は多く,長期的に見れば広く普及するのではないかと期待しています。そこで,試験的な意味合いも兼ねて参入した次第です。

4Gamer:
 なるほど,グローバル展開は着々と進んでいるようですね。現在の各国における運営状況には,どういった感触をお持ちですか?

Kim氏:
 おおむね満足しています。とくに中国と台湾では,MMORPGのランキングを見てもトップクラスの人気があると思いますよ。

4Gamer:
 いったい,どういった部分が,世界のプレイヤーに受け入れられているんだと思いますか?

Kim氏:
 キャラクターの派手な戦闘モーションやレベルアップのしやすさは,ほかのMMORPGタイトルに勝るものだと思っています。また,国によってプレイヤーの好みは違っているので,それに合わせてゲームバランスを調整することも大切にしています。例えば,イベント用の服のデザインや,レベルアップに要する経験値量,大型アップデートの実装スケジュールなど,運営国でそれぞれ違っていますよ。

4Gamer:
 CABAL ONLINEをプレイしたときに,ソロプレイでもストレスを感じることなく,かなり先のレベルまで遊べるなと思いました。このあたりは各国共通の仕様なのでしょうか?

Kim氏:
 その通りです。CABAL ONLINEを開発するとき,「ソロプレイとパーティプレイのどちらでも遊べるMMORPG」というのをコンセプトに掲げました。実際に,レベル50前後まではソロプレイだけでも上げられますし,パーティを編成すればよりレベルアップしやすくなります。初めてMMORPGに触れるような人にとっては,そこのバランスが受け入れられたようですね。

4Gamer:
 レベルアップのペースが速いのは好印象ですね。ですが,そのために古参プレイヤーとビギナーとの間でレベル差が大きく開きやすいことについては,どうお考えですか?

Kim氏:
 うーん。確かにレベルの数字だけを見ると,大きな差があるように思われるかもしれませんね。でも,レベルアップのペースが速いということは,初級者もすぐに追いつけるということでもあります。古参プレイヤーとビギナーのレベル差を気にするよりも,成長していく楽しさをアピールしたいと思っています。



■日本バージョンの今後の展開について

4Gamer:
 せっかくゲームポットのスタッフの方もいることですし,日本サービスについても聞いてみたいと思います。韓国では大規模なアップデートが行われているようですが,日本版は今後どのように展開していくのでしょうか?

CABAL ONLINEチームリーダー 浅和 潤氏(以下,浅和氏):
 さきほどKimさんが紹介した第7次アップデート内容は,日本版では3月下旬から夏にかけて,段階的に実装していきます。韓国版のバージョンをそのままの形で導入するのではなく,日本のプレイヤーの好みに合う形で調整します。詳しいアップデートスケジュールについては,もうじきお知らせできると思います。
 そのほかに日本版独自の展開として,ギルド関連のコンテンツとイベントの導入を検討しています。まだ確定はしていないのですが,例えばギルドランキングを設置するなどして,プレイヤーがギルドに参加する動機を作り,コミュニティを活性化するのが目的ですね。

4Gamer:
 続いて,これはアップデートとは違うのですが,2月20日に発表された,マナー違反に対する措置規定の内容が(関連記事),少々意外でした。これは導入までに,どういった経緯があったのでしょうか?

浅和氏:
 当然のことですが,当社の運営するタイトルにおいて,チートなどの利用規約違反行為は一切認めていません。
 しかしながらCABAL ONLINEでは,正式サービスの開始以降,チートの被害が徐々に大きくなってきたのも事実です。そこで,規約違反行為に対する意思表示を行うだけでなく,ポイント制による厳格な罰則体制を築き上げることも必要だと判断しました。

4Gamer:

 ポイント表を見ると,一度の規約違反行為でアカウントが剥奪されることも起こりうるんですよね。抑止力としてはかなりの効果が期待できると思いますが,逆に強すぎて,プレイヤーに束縛感を与えてしまうような懸念はありませんか?

浅和氏:
 いえいえ。措置規定のポイント表を見てもらえれば分かると思いますが,たった一度でアカウントを剥奪するのは,誰が見ても納得するレベルの規約違反行為のときだけです。確かに,ポイントという形で措置規定を明らかにするのは厳しく見えるかもしれませんが,マナーを守り,ゲームを正しく遊んでくれている人にとっては,まったく気にならないと思います。

4Gamer:
 なるほど,"ゼロ・トレランス"による毅然とした対応というわけですね。ちなみに,公式ウェブサイトで明示されているもの以外の違反行為に対しては,ポリシーはどのように定められていますか?

浅和氏:
 基本的には「ゲームポットID利用規約」「CABAL ONLINE利用細則」に基づいた対応となります。そのほかには,個人情報の取り扱いに関する方針を定めた「プライバシーポリシー」と,サイト利用に関する方針を定めた「サイトポリシー」があります。

4Gamer:
 分かりました,マナーポリシー公開の効果が表れることに期待しています。それでは最後に,4Gamerの読者に向けて皆さんから一言ずつコメントをお願いします。

Kim氏:
 今後CABAL ONLINEを,まるで名作映画のように長く親しまれるタイトルに育てていきたいです。今回は韓国での「第7次アップデート」の内容を中心に話しましたが,これからもさまざまな展開を予定しています。なので,未経験の方は,ぜひ一度プレイしてみてください。

4Gamer:
 せっかくですので,Min, Young HwanさんとJiny Baeさん,そして浅和さんからも,どうぞお願いします。



ディレクター Min, Young Hwan氏:
 CABAL ONLINEは,EST softを設立してから初めて制作したタイトルで,それだけに深い思い入れがあります。今後もEST soft一同頑張りますので,見守っていてください。

マーケティングマネージャー Jiny Bae氏:
 遊んでいる人達の意見はとても参考になります。たとえ,それが厳しい意見でも構いませんので,フィードバックをどしどしお寄せください。

浅和氏:
 当社の運営する他タイトルにもいえますが,開発国のバージョンの仕様をそのまま持ってくるのではなく,日本のプレイヤーの意見をくみ取り,実際にプレイされている方にあった形で提供することが大切だと考えています。CABAL ONLINEに関しても,先ほどお話ししたギルドランキングなど,CABAL ONLINEをもっと楽しんでもらうために,日本での運営面におけるオリジナリティを出していきますので,期待してください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。



 CABAL ONLINEは,短時間のソロプレイでもレベルアップを行えるなど,ストレスを感じずに遊べるタイトルという印象が強い。さくさくレベルが上がるため,比較的ハイレベル向けコンテンツの需要が高いのだが,今回のインタビューを聞く限りでは,しばらくはコンテンツ不足を心配する必要はなさそうだ。この作品の特性を踏まえたうえで,デベロッパ側が適切なタイミングでコンテンツを追加していけるか。今後の展開はまさにそこにかかっている。

 もちろん,新規プレイヤー層を取り込むためには,初〜中級レベルのキャラクター向けの新要素も同時に充実させていかねばならない。幅広いプレイヤー層に向けた開発作業を行うことはなかなか難しいとは思うが,EST softには今後も期待したいところだ。同時に,コミュニティ形成と連動した運営に定評のある,ゲームポットならではの展開にも引き続き注目していきたい。(Interview by 川崎 政一郎,Photo by kiki)

(2007年3月1日収録)


CABAL ONLINE
■開発元:ESTsoft
■発売元:ゲームポット
■発売日:2006/11/28
■価格:基本料金無料(アイテム課金)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.03/20070320145147detail.html