【イベント連動企画】PCゲーム「人生プロレス」とは何だったのか?
2006年12月15日,プロレスラーの男色ディーノ選手へのインタビュー取材をしていたときのことだ。ディーノ選手の口からこぼれた「人生プロレス」というキーワードに,忘れかけていた記憶が唐突に甦った。 1995年から1996年あたりに,「週刊プロレス」を購読していた人で,なおかつ4Gamer読者のようなゲーマーならば,「ああ,あれか!」と思い当たるのではないだろうか。
当時,「プロレスゲームに万里の長城を築く」「あなたは“過激な仕掛人”となれるか?」といった,プロレスファンならばニヤリとせざるを得ないようなキャッチコピーが踊る広告を週刊プロレスで見かけるたびに,どんなゲームなのかとあれこれ想像をめぐらせたものだ。 広告を見かけるたびに気になる……が,広告を見かけるたびに発売日が変わっている。そんなこともあり,実際にはいつ発売されたのか,というか本当に発売されたの? といった具合に,いつの間にか人生プロレスは,記憶の彼方においやられてしまっていた。
あの,人生プロレスとは,一体何だったのだろうか? 俄然,気になりだした筆者は,まずGoogleで検索。サブタイトルが「プロレス者達の挽歌」であること,プロレス団体経営シミュレーションというジャンルであること,発売が1995年頃であること,開発元および発売元がプロフォースシステムという会社であることなどを調べることができた。 なるほど,きちんと発売されたことは確実なようだ。もっと情報が欲しいところだが,発売されたのが1995年頃ということもあり,ネット上には有力な手がかりはほとんどない(みちのくプロレスの新崎人生社長に関する記述はたくさん引っかかる)。
■開発元/発売元はすでになくなってしまっている……?
ゲームについて知りたければ,やはり発売元に直接当たってみるのがベスト。そう考えた筆者は,「人生プロレス〜プロレス者達の挽歌〜」の発売元(と,ネット上ではされていた)プロフォースシステムの連絡先を調べることにした。その結果,以下のような情報が浮かび上がってきた。
・所在地は福岡県らしい ・マルチメディアタイトルの企画/制作が専門らしい ・1996年当時,Enhanced CD(懐かしい!)の8割はこの会社が制作していたらしい ・「MACROMEDIA Director」の解説書を制作したこともあるらしい ・「チャイナ・クライシス」というゲームもリリースしたらしい
だが,公式サイトなどは見つからず。手がかりに思えた電話番号からは,「お客様のおかけになった電話番号には、お客様と通信ができる機器が接続されていないか、または故障中と思われます」という無情の声が……。
いや,待て。そもそも,プロフォースシステムが発売元であるということも,ネットで検索した結果に過ぎず,裏は取れていない。ひょっとしたら,違う会社だったという可能性もある。やはり当時の広告を探し出し,この目で確認するべきではないか。
筆者自身,1990年ごろからの週刊プロレスは,毎週購読し,保存もしていた。通し番号を揃えたいがために,興味のない団体の増刊号も購入していたほどだ。だが就職し,大人の階段をシンデレラのごとく上っていく最中に,すべて捨ててしまった。 そこで,プロレスグッズや雑誌の中古売買をしているお店に足を運び,1995〜1996年ごろの週刊プロレスのバックナンバーをチェック。どうにか,人生プロレスの広告が掲載されているものを見つけ出した。
ちなみに広告によると「シナリオアドバイザー」の募集も行われていたようだ。ここに応募すると,「人生プロレス倶楽部」の会員(入会金や会費は無料)となり,会員向けにニュースレターが送られたりしていたらしい。そういえば筆者も,当時はこれに応募しようと思っていたのだが,結局は応募せずじまいだったことが非常に悔やまれる。果たして,ニュースレターは本当に送付されたのだろうか……。
実際に広告を確認できたことで,おおよそのリリース時期は判明。今度はプロレス好きの友人の協力を得て,更なる広告を集めた結果,どうやら発売日が1996年7月13日であったらしきことが分かった。
●左:「週刊プロレス」(ベースボール・マガジン社)1995年10月31日号掲載広告 ●中:同誌1995年11月28日号掲載広告 ●右:同誌1996年7月12日号掲載広告
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■ついに現物を入手。いろいろな意味で想像を凌駕
ついに人生プロレスを入手。筆者が辻 仁成氏なら間違いなく「やっと逢えたね」と声をかけるところだろう。10数年越しの想いが,ついにかなったのだ
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しかし入手できた広告をいくら眺めてみても,肝心のゲーム内容がさっぱり分からない。にもかかわらず,興味をかき立てる言葉の数々が踊っており,ますます想像が膨らむばかりである。 どうにかして人生プロレスのパッケージを入手できないかと,秋葉原の中古ショップを探し歩き美少女ゲームの中古ばかりが売られていることを再確認してみたりしつつ,あちらこちらで手を尽くしていたところ,とあるオンラインの中古ショップで売りに出されているのを発見。5000円近くという高値ではあったが,無事購入することができた。
手元に届いたパッケージの裏には,「生身のレスラーと付き合う『覚悟』のいるゲームです」とある。そんな覚悟はちょっと……
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ゲーム自体は1980年からスタートし,「ニューワールドプロレス」「オールイースタンプロレス」「IWE」の3団体のうち一つの団体の社長に就任し,興行スケジュールを組んだり,マッチメイクをしたりしつつ,「プロレスファンの夢の実現,理想のプロレス世界建設」を目指すという内容だ。
だが,リリースされたのは10年以上も前のこと。Windows 3.1/95対応なので,ある程度は予想できていたが,Windows XP SP2環境ではWindows 95互換モードでしか動作しなかった。しかも,エラーが出て途中でのセーブが不可能というおまけ付きで……。 それでもどうにか,10年以上前に広告を見て興味を持っていたゲームを遊べた感慨は,非常に大きなもの。だが,プレイを進めるに従って,なんというか……,10年以上前の作品ということを差し引いても……。いや,シナリオはよくできているし,セリフの一つ一つが琴線に触れたり触れなかったりするのだが……。
このゲームの詳細や,実際に遊んでみての感想(本音)などは,4月6日(金)7:30PMから新宿ロフトプラスワンで行うトークイベント「4Gamer.net presents『ゲームとプロレス』」で,当時本作をプレイしたという男色ディーノ選手らと語る予定なので,興味のある方はぜひご来場されたし。(TeT)
●4Gamer.net presents「ゲームとプロレス」概要 日時:2007年4月6日(金)6:30PM(開場)/7:30PM(開演) 会場:新宿ロフトプラスワン 出演:男色ディーノ,マッスル坂井,セラチェン春山,DJ急行 内容:「プロレス」と「ゲーム」ついでに「プロレスゲーム」あたりのことを,のんべんだらりと語る男の子向けのイベントです。なお,プロレスの現状に憂いを抱いたり,プロレスの未来に向けて提言をするようなアレではありません。 チケット:前売り 1500円(税込)/当日 1800円(税込) 発売場所:ローソンチケット(Lコード:32314),4Gamer.net
「ミニゲームやスクリーンセイバーなどが詰まった人プロスペシャルパック『レッスルライフ(仮題)』」近日発売予定」と記載されていた広告もあったのだが,実際にリリースされたのは,グラフィックスを流用して作られたらしきシンプルなカードゲームだった。ああ,あるある……
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