「ATI Radeon HD 2900 XT」専用ドライバ「8.37.4.3」が公開に
AMDは,2007年5月14日(本日)に発表され,同時搭載グラフィックスカードの出荷が始まったGPU(グラフィックスチップ)「ATI Radeon HD 2900 XT」専用となるドライバソフト,「ATI Radeon software driver version 8.37.4.3」(以下8.37.4.3)を公開した。「ATI Catalyst」の月次アップデートではないため,緊急リリースということになる。
4Gamerのプレビュー記事で用いたものから“0.00.0.1”だけ新しい8.37.4.3は,32/64bitのWindows XP/Vistaをサポート。出荷が始まった各社のATI Radeon HD 2900 XT搭載グラフィックスカードにはドライバソフトが添付されているわけだが,今回のバージョンはそのアップデートとしての提供となる。 ただし,同ドライバを公開しているKnowledge Base「737-27535」ページによると,同ドライバについての保証はないとのことなので,導入する場合はくれぐれも慎重に行ってほしい。
なお,同ページからリンクされている英文リリースノートによると,8.37.4.3で修正された――おそらく「8.37.4.2から」と思われるが詳細は不明――ATI Radeon HD 2900 XTにまつわる問題は以下のとおり。また,その下には,8.37.4.3で未修正の不具合のうち,主なものをまとめてみた。
●8.37.4.3で修正された問題- 「StarCraft」をプレイすると,DirectDrawエラーが発生する問題
- CrossFire構成でDirect3D/OpenGLベースのゲームをプレイすると,緑色のノイズが表示されることがある問題
- GPU温度が120℃を超えても,高温に対するハードウェア保護機構(※原文:Hardware thermal protection)が動作しなかった問題
- 「ATI Catalyst Control Center」(以下CCC)からアンチエイリアシング設定を変更しようとすると,初回がうまくいかない問題
- CrossFire構成において,CCCから16xアンチエイリアシング設定を行っても,CCCを閉じたりシステムを再起動したりすると,設定内容がクリアされる問題
- Windows Vista環境で「Windows Media Player 11」からMPEGファイルを再生し,HDMI Audioを利用しつつHDMI出力すると,特定条件においてファイルがうまく再生されない問題
- Windows Vista環境でユーザー切り替えを行うと,HDMI Audio設定が保持されない問題
- HDMI接続した先のディスプレイで電源のオン/オフを繰り返すと,画面表示がされなくなる問題
- 「PowerDVD」の一部バージョンを利用してMPEG-2ファイルを再生すると,画面表示がおかしくなる問題
●8.37.4.3で未解決の主な問題- 4xアンチエイリアシング&8x異方性フィルタリング設定で「Doom 3: Resurrection of Evil」のデモをプレイすると,ゲームが反応しなくなることがある
- ディスプレイ解像度を640×480ドットに設定し,ゲーム側の描画オプションをすべてオフにして「El Matador」をプレイすると,画面表示がおかしくなることがある
- 「The Godfather The Game」をプレイすると,特定の描画設定時に画面表示がおかしくなることがある
- ディスプレイ設定が1024×768ドット/32bitカラーのときに,「Tom Clancy's Rainbow Six: Lockdown」を実行し,ゲーム側の解像度設定を1600×1200ドットに変更し,アンチエイリアシング設定を「High」,テクスチャフィルタリング設定を「8x」にすると,画面表示がおかしくなることがある
- 「Star Wars Knights of the Old Republic II: The Sith Lords」を実行し,特定の描画設定や解像度設定を選択すると,画面表示がおかしくなることがある
- ディスプレイ解像度1280×960ドットで「Supreme Commander」をプレイし,「Sentry Point」マップで視点をマクロ/ミクロの間で切り替えると,ゲームが反応しなくなることがある
- 「Call of Juarez」をプレイすると,画面表示がおかしくなることがある
- ディスプレイ解像度を1600×1200ドットに設定し,アンチエイリアシング設定を有効化して「Lara Croft Tomb Raider: Legend」をプレイすると,水の表現がおかしくなることがある
- ディスプレイ解像度を1600×1200ドットにし,アンチエイリアシング設定を有効化して「Heroes of Might & Magic V」をプレイすると,水の表現がおかしくなることがある
- ディスプレイ解像度を1024×768ドットにし,アンチエイリアシング設定を無効化して,さらに「Shadows」の設定を「High」にすると,画面表示がおかしくなることがある
- 「F.E.A.R.」をプレイすると,一部のシーンで光と影の表現がおかしくなることがある
- ディスプレイ解像度を1920×1200ドットにし,アンチエイリアシング設定を6xに指定して「Caesar IV」をプレイすると,一部のエリアで夜間の表示がおかしくなることがある
- Windows Vista環境で「Grand Theft Auto: San Andreas」をプレイすると,特定条件で画面表示がおかしくなることがある
- ディスプレイ解像度を1600×1200ドットにし,アンチエイリアシング設定を「Low」にして「Black & White 2」をプレイすると,画面表示がおかしくなることがある
- 「The Sims 2」で新規プレイ開始すると,衣服の表示がおかしくなることがある
というわけで,未解決の問題に関してはシングルカード構成&ゲームに関連したところだけを抜き出してみたが,まだまだ少なくない印象である。プレビュー記事で指摘した問題の解決も先送りされているようなので,ことによると,ATI Radeon HD 2900 XT用(ATI Radeon HD 2000シリーズ用?)ドライバがATI Catalystに統合されるには時間がかかる可能性もありそうだ。 とはいえ,いくつかの問題が確実に潰されているのも確か。先述のとおり動作保証外となるため,すべて自己責任となる点には注意が必要だが,ATI Radeon HD 2900 XT搭載グラフィックスカードを購入してセットアップしたところ,何らかの不具合に遭遇したという人なら,試しに導入してみるだけの価値はあるだろう。(佐々山薫郁)
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