注目の「ロスト プラネット」体験版のプレイレポートを掲載
■昨年(2006年)からゲーム開発者の間で話題のタイトル
カプコンのアクションシューティング「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下 ロスト プラネット)の体験版が,本日(5月16日)に一般公開された。内容に関して,先日簡単に紹介したが,ここではもう少し詳しいレポートをお届けしよう。
ロスト プラネットは三人称視点のアクションシューティングだ。Xbox 360版は2006年12月に発売され,すでに高い評価を獲得している。PC版の発売がアナウンスされたのは2007年4月のことで,このとき,グラフィックスチップメーカーとして有名なNVIDIAがPC版の開発に協力していることも併せて発表されている。その後まもなく,日本語PC版の発売日が2007年7月12日とアナウンスされたという経緯を持っている。
本作は,カプコンが開発したユニバーサルエンジンを使用しており,このことがXbox 360版発売以前から,最新のグラフィックス技術に関心を持つ人達の間で話題になっていた。「3Dゲームのエンジンといえば,有名なものはすべて海外産」というのが一般的な認識だが,昨年,CEDEC2006において公開されたユニバーサルエンジンは,新世代のゲームエンジンとして,海外で開発されたものと比肩できるポテンシャルを秘めていると参加者達の目に映ったのだ。 このユニバーサルエンジンはDirectX 10に対応することが予定されており,実際にPC版ロスト プラネット制作発表時にはそうなることが明らかにされた。というわけで,製品発売時点からDirectX 10対応バージョンが用意されるタイトルは,おそらく日本ではこのロストプラネットが最初になり,本作はゲーマーだけでなく最新技術に興味を持つ人々とっても注目すべき作品の一つとなっているのだ。
■雪の惑星を舞台としたアクションシューティング
本作の舞台となるのは,雪と氷に包まれた惑星だ。体験版でプレイできる二つのステージも,雪上での戦いがその大半を占める。分厚い吹雪に阻まれて思うように視界が確保できず,目を細めるようにしておぼろげに見える敵のシルエットに狙いをつける,という感覚は想像以上に新鮮である。 ご存じのように,この手のシューターには海外産のタイトルが多く,そこでは画面を暗くすることによって,先に何がいるのか分からない怖さを演出するものが多い。だが,カプコンが手がけたロスト プラネットの画面は暗くないどころかむしろ明るい。分厚い吹雪による視界の悪さは,暗闇とはまた違ったユニークな怖さを生み出しているのだ。 ステージ内にある壊れた燃料タンクや自動車の残骸といった数多くのオブジェクトが,攻撃によって破壊可能だ。立てかけられた鉄パイプの束を倒したり,吊り下げられている建築資材を銃で撃って落下させたりといった物理効果が,マップのあちこちに細かく施されている。
本作は,三人称視点のアクションシューティングである。狙撃用のスコープを覗いたときなどは一人称視点になるが,基本的にはサードパーソンでプレイするようにデザインされている。とはいえ,マウスで照準を合わせて左クリックで銃撃,W/A/S/Dキーで移動というプレイフィールは一人称視点のシューターと同じであり,いわゆるFPSゲーマーでも違和感なくプレイできるだろう。 あちこちに落ちている武器を拾いつつ,敵クリーチャーをなぎ倒していくというランボースタイルが基本的なゲーム展開となる。体験版ではマシンガン,ショットガン,ガトリングガン,(狙撃用)ライフル,ロケットランチャーなどの武器が利用可能だ。同時に携行できる銃は2丁までなので,何かを新たに持ちたいときはすでにあるものを捨てなければならない。また,銃器のほかにグレネードを持ち歩くことができる。
これらスタンダードな武器に加えて,本作ならではの武器やガジェットも存在する。一つは「VS」(バイタルスーツ)だ。これは人間が搭乗可能な二足歩行マシンで,ゲーム中,たびたび登場する。舞台となっている雪の惑星では広く使用されているもので,敵味方合わせて,多くの種類のVSが登場するらしい。製品版ではこのマシンに乗る機会も多くなりそうだ。 体験版で使用できるVSはコックピットの左右に大型の火器を搭載できるタイプのもので,火器は取り外し/付け替えが可能。ガトリングガンとロケットランチャーを使うことができた。操作感は良く,威力も十分。敵に回すとやっかいだが,ゲームの良いアクセントになってくれそうだ。
一風変わったガジェットとして,「ロープアンカー」の存在も見逃せない。これはフックのついたワイヤーで,撃ち出して壁などに引っかけ,高速で巻き上げることで,ジャンプでは届かないような高い場所に素早く上ることができる。このロープアンカーを利用しないとうまく先に進めないところもあるので,要注意だ。
「サーマルエナジー」と呼ばれるエネルギーの存在も,本作の内容に大きく関わる要素である。プレイヤーが操作する主人公キャラクターは「LIFE」ゲージのほかにもう一つ,「T-ENG」(サーマルエナジー)のパラメータを持っている。サーマルエナジーとはゲームの舞台である雪の惑星に存在する重要な資源であり,この極寒の地で生物が生き抜くにはなくてはならないもの,という設定だ。敵からの攻撃を受けることで主人公の「LIFE」は減っていくが,「T-ENG」が残っていれば,それを消費して「LIFE」は自動的にどんどん回復するという仕組み。
各ステージで,主人公はある程度エナジー持った状態でスタートする。エナジーはこの星の厳しい環境下での生命維持に必要なものなので,何もしていなくてもどんどん減っていく。エナジーがなくなってしまうと,こんどはLIFEがどんどん減っていく。
このサーマルエナジーは,敵クリーチャーであるこの星の原生生物「エイクリッド」の体内に存在し,彼らを倒すと光る液体となってその場に残る。また,エナジーは敵兵士もこちらと同じように携行しているため,彼らを倒すことでも得られるのだ。さらには,エナジー補給のための「データポスト」もときどき設置されている。
何もしていなくてもエナジーは減り,エナジー切れは死に直結するため,主人公は常にエナジー補給に留意しつつステージを攻略していかなくてはならない。悠長に攻略方法を吟味したり,つまらない敵に足止めを食らったりしているヒマはない,というスピーディなプレイが要求される。この仕掛けがあるために,プレイヤーの心の中に「もっと先へ,もっと速く」という意識が生まれてくる。そしてそのように行動することで,ゲーム体験はよりスピード感のあるものになっていくというわけだ。
■DirectX 10環境があるのであればぜひ試してみたい!
この体験版はシングルプレイ専用で,マルチプレイには対応していない。Xbox 360版はXbox Liveを使ってのオンライン対戦に対応しているが,そちらのプレイヤー達とともに対戦を楽しめるのか,それともメーカーや有志がサーバーを立ててそこに接続する一般的なオンラインゲームと同じスタイルになるのかは今のところ明らかにされていない。
公開されたロスト プラネットの体験版は,DirectX 10対応バージョンとDirectX 9対応バージョンが用意されている。それぞれのバージョンでゲーム画面にどの程度の差が現れるのか気になるところだろうが,両バージョンをプレイしてみての率直な感想を述べると,おそらく,最新のグラフィックス技術に高い関心を持つ人が,そういう視線でしっかり観察したのでない限り,両画面間に表面的な違いはほとんど感じられない。 とはいえ,「DirectX 10対応のグラフィックスカード+Windows Vista」という環境がある人にとって,非常に興味をそそられるゲームであることに変わりはないはずだ。
蛇足ながら,画像について補足。多くの画像で動きの速い部分が“ブレて”写っているように見えるが,3Dグラフィックスを使ったゲーム画面の1フレームをキャプチャしたとき,カメラのシャッタースピードを速く設定すれば,ブレが生じないのとほぼ同じ理由で,コマを切り取ったときにブレが発生することはありえない。つまり,それはわざわざそういう絵を作って画面に表示しているブレているのだ。そうしたほうが,これをアニメーションさせたときに人間の目に,より自然で,より滑らかで,よりリアルなものとして映るからである。この“ブレ”は,より美しい映像を実現するために,本作が使っている3Dグラフィックス技法の一つなのだ。(ライター:星原昭典)
※「こちら」の体験版紹介のページでも一部使用した画面/アートワークの高解像度版を入手しました。内容は以下のサムネイルと同じですが,画面サイズが非常に大きいので(最大で4496×3209ドット),圧縮してダウンロードできるようにしました。
■ダウンロードは「こちら」(10.0MB[10,568,309バイト])から
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ロスト プラネット エクストリーム コンディション |
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