【韓国ゲーム事情#724】「Hellgate」韓国イベントでの質疑応答を完全掲載
Kimの韓国最新PCゲーム事情#724
Hanbit Soft,“Hellgate: London Asia Launching Party”を開催。Flagship Studiosとの質疑応答を完全掲載(2007/6/5)
Text by Kim Dong Wook特派員
Flagship Studiosが開発中のアクションRPG「Hellgate: London」(以下,Hellgate)の,日本を除いたアジア全域でのパブリッシングを担当するHanbit Softは,5月31日,ソウルにあるダンスクラブ「Catch Light」にて,“Hellgate: London Asia Launching Party”を開催した。このパーティに招待されたのは,Hellgateに期待を寄せる熱心なプレイヤーや韓国内外のメディアなど,合計約600人あまり。
このパーティで,Hanbit Softの会長 Kim Young Man氏とFlagship StudiosのCEO Bill Roper氏は,揃って「韓国では7月に,Hellgateのクローズドβテストを行う予定」であることを発表。中国と台湾,東南アジアなど8か国でのサービスを受け持つThe 9,Fun Town,Infocom Asia Holdingsなどの代表も各国から出席し,Hellgateの船出とパーティの成功を祝福した。 パーティ会場に設置された,韓国版Hellgateの最新バージョンが試遊できる30台のPCの前には長蛇の列ができ,試遊したプレイヤー達は口々に,「G★2006に出展されていたバージョンより,クオリティが高まっている」「一日も早いサービス開始を期待したい」と語っていた。
また,この日行われた共同記者会見では,Bill Roper氏,アートディレクターのDave Glenn氏,そしてコミュニティ マネージャーのKaiser Hwang氏が,韓国内外のメディアの質問に応じる時間も設けられた。その模様は,以下のとおり。
■正式サービスは,2007年夏に開始か
Q:“Hellgate: London Asia Launching Party”は,どのような位置づけのイベントなのでしょうか。韓国外でも,同様のイベントを開催する予定はありますか? A:今回のパーティは,コミュニティとメディアに向けてHellgateを紹介する場です。韓国以外で,このような趣旨のイベントを実施する予定はありませんが,正式サービスのローンチ時には何らかのイベントも検討しています。
Q:Hellgateの正式サービスは,いつ頃になりますか? A:その日が間近に迫っているのは事実です。世界各国で同時にサービスするべく準備を進めており,その足並みが揃うまでは現時点で明確なスケジュールをお伝えすることができません。ご理解下さい。
Q:オンラインサービスの料金体系が北米で発表されましたが,アジアでのサービス開始時に同様のものが採用されるのですか? A:北米とヨーロッパ,そして日本では,パッケージを購入したプレイヤーは,オンラインでのマルチプレイを原則として無料で楽しめます。アジア市場に関しては,各国のパートナーに課金モデルを一任しているため詳細は未定ですが,オンラインプレイは無料で,コンテンツの追加は有料という形になるでしょう。
Q:Hanbit Softでは,どのような課金体系を考えているのですか? A:プレイヤーが,少しでも多くのメリットを感じてもらえるような形で,課金モデルを検討していますが,まだ発表できる段階にありません。
■Hellgateは,遊び方によって異なるジャンルになるゲーム
Q:タイトルに「London」が付くのはなぜですか? A:ストーリーが始まる場所が,Londonだからです。Londonを選んだ理由は,独特の雰囲気と深い歴史を持つ有名な都市であり,実在する都市をファンタジーゲームの中に再現するのが非常に面白い試みであると考えたからです。
Q:本作には,MMOの要素とFPSの要素があるとされています。これまでに公開されてきたムービーでは,FPSの要素こそ確認できましたが,MMOの要素はそれほど感じられませんでした。 A:短い時間のムービーでHellgateに興味を持ってもらうために,派手で躍動感のあるアクションシーンを中心に収録したため,そのように感じられたのかもしれません。もちろん,MMO要素もありますので,ぜひ試遊機で体験してください。
Q:さまざまなジャンルの要素が融合されているHellgateですが,プレイヤーはどんなジャンルだと認識しておけばよいのでしょうか。 Bill Roper氏:私は主にCabalistでプレイしており,魔法を使うことが多いです。そのため,私にとってはアクションRPGですね。 Kaiser Hwang氏:私の場合はHunterでプレイしているので,FPSの印象が強いです。Hellgateは,プレイヤーが好むジャンルを,自由に楽しめる作品なんです。
Q:Hellgateに,「Faction」や「Class」を追加する予定はありますか? A:Hellgateは,Factionごとにさまざまなプレイ方法や,主要スキルが用意されたゲームです。現在は三つのFaction(「Templar」「Cabalist」「Hunter」)が存在していますが,継続的なアップデートが可能なタイトルですから,近い将来,新たなFactionを追加する可能性は十分にあります。
Q:Hellgateのサーバーは,ワールドワイドの統合サーバーですか? A:ほかの国のサーバーに接続できないこともないですが,各国のパートナーの決定に一任しています。
Q:HellgateのPvPシステムについて教えてください。 A:「World of Warcraft」のような大規模PvPではなく,1対1のものになりますが,プレイヤーの反応に応じて,将来的に変更していく可能性はあります。
■ストーリーなどはほぼ完成。現在はバランス調整中
Q:Hellgateの開発状況を教えてください。 A:ストーリーはほぼ完成しており,現在はランダムマップ生成時のモンスター数や進行方法といったバランスを調整しています。
Q:オンラインコンテンツは,どのような開発状況ですか? A:オンラインコンテンツに関しては,まだ完成したものがありません。βテストを行いながら,テスターからのフィードバックを受けて,開発に反映していく予定です。そういう意味では,さまざまなシステムやゲーム内容が,テスターの意見によって作られることになるでしょう。
Q:Hellgateのランダムマップ生成システムなどは,コミュニティの形成やコミュニケーションを阻害する可能性があると思うのですが,どうお考えですか? A:そういった懸念は理解できます。しかし,“STATION”をはじめ,プレイヤー達が集まれるスペースを数多く用意しているほか,いつでも友人と連絡をとれるチャットシステムなども,きちんと整備しています。また,自キャラクターの位置を友人達に知らせる機能も準備しているので,コミュニティに影響が出ることはないでしょう。
Q:ゲーム内でアイテムを円滑に取り引きするための,競売場システムが用意されているとのことですが,こちらの開発状況はいかがですか? A:競売場は確かに存在します。すでに多くのゲームで採用されているシステムなので,プレイヤー達は戸惑うことなく,Hellgateでも利用できるでしょう。
Q:クローズドβテストは,Windows Vista環境やDirextX 10環境でもプレイ可能ですか? A:Microsoftとは密接な協力体制をとっていますので,クローズドβテストをWindows Vista環境でプレイできる可能性はあります。Windows Vistaに対応させることで,要求スペックが高まるという危惧もあるようですが,低スペックバージョンも準備しています。
Q:Xbox 360版のHellgateは発売されますか? A:バンダイナムコゲームスやElectronic Artsなど,コンシューマゲーム機に強い企業と提携しているのは事実ですが,まずはPC版をリリースするのが大前提です。しかし,状況によっては今後,Xbox 360版を開発する可能性はゼロではありません。
■Hellgateは,第三世代のDiabloでもある
Q:Hellgateは,韓国市場でどれぐらいの数のプレイヤーを集められると考えていますか? A:同時接続者数は多ければ多いほどいいですよね。Hellgateでは,「Diablo 2」のファン,それからWoWやLineageシリーズのファン,さらにFPSファンも集められると理想的です(笑)。
Q:Hellgateが,e-Sportsに発展する可能性はありますか? もしあるとしたら,それに向けてどんな取り組みをしていますか? A:さまざまなモードでプレイできるゲームなので,e-Sportsとして発展する可能性は非常に高いでしょう。PvPコンテンツをオープンしてから,プレイヤーからのフィードバックを得て,さまざまな可能性を試してみたいと考えています。私達がHanbit Softをパートナーとして選んだのは,同社が韓国でe-Sportsブームを巻き起こした企業であるというのも,理由の一つなんです。
Q:Blizzard Entertainmentが「Diablo 3」を発表するという噂がありますが,それについてどうお考えですか? A:Blizzardで一緒に仕事をしていた友人達は,みんな退職してしまったので,私達はその噂を聞いていません。私達は,過去にDiabloシリーズを開発してきたので,もしDiablo 3がリリースされるなら,必ず成功させてほしいと思います。Diablo 3を楽しみにしている人は,とりあえずHellgateをプレイしながら待っているといいのではないでしょうか(笑)。
Q:ところで,「MYTHOS」の開発は,どのような状況ですか? A:Flagship Studiosのサンフランシスコの開発室には50人程度おり,全員でHellgateの開発にあたっています。MYTHOSはシアトルで7〜8人が開発にあたっています。MYTHOSは当初,オンラインゲームのテストのための実験的な作品だったのですが,かなり面白いコンテンツになってきたため,開発室を分離させ,Hellgateと並行して開発を続けることになったんです。
Q:西洋と東洋では,好まれるゲームにギャップがあり,両方で成功したゲームはとても少ないです。そんな中,Hellgateは西洋と東洋で同時期にサービスを開始するわけですが,西洋と東洋で成功させるためにどのような準備を進めているのか教えてください。 A:西洋と東洋のギャップについては,Blizzard在籍時から認識しており,現地パブリッシャとのパートナーシップが非常に重要であることを学んできました。また,韓国をはじめとしたアジア地域の文化を理解するべく,定期的に訪問し,勉強しながら準備をしています。とはいえ,最近ではオンラインゲームの発展により,そのギャップは小さくなってきていると思います。 Diabloシリーズは,東洋でも大きな成功を収めましたが,これは事前に予想していないことでした。Hellgateも,Diabloシリーズと同じように,こちらの予想以上の成功を収めてくれるといいですね。クリエイターとしては,Diabloがコンテンツをアップデートできる構造ではなかった点が,非常に惜しかったと思っています。しかしHellgateは,プレイヤー達との持続的なコミュニケーションを通じて,常にアップデートできます。Hanbit Softが持つ,アジア市場での豊富なサービス経験は,ここに大きく役立つと思っています。
Q:Flagship Studiosのメンバーは,Blizzard在籍時代にパッケージゲームを開発していましたよね。しかし現在では,HellgateやMYTHOSなど,オンラインゲームを開発しています。今後は,オンラインゲーム開発のみに注力するということなのでしょうか。 A:Hellgateは,私達がDiabloシリーズを開発しながら,果たせなかった部分を充足させてくれています。そういう意味では,Hellgateは,Diabloが第三世代に進化した形と認識してもらっても良いでしょう。一方MYTHOSは,アジアのオンラインゲームからモチベーションを得て開発することになったタイトルで,最初からオンラインゲームとして開発してきています。私達は現在,継続的にさまざまなコンテンツをアップデートできるオンラインゲーム開発に魅力と楽しさを感じています。
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