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「三國志 Online」,公開合戦テストプレイレポートを掲載
2007/07/04 15:58
■「三國志 Online」,2日間限定の「公開合戦テスト」を開催
 コーエーがシンガポールスタジオにおいて現在開発中の「三國志 Online」は,同社の代表作の一つに数えられる歴史ストラテジーシリーズ「三國志」の名が冠された,期待の新作MMORPGだ。
 ストラテジーゲームの三國志は,基本的にプレイヤーが,小説「三国志演義」に登場する君主/武将になりきってプレイするように作られているが,三國志 Onlineの基本的な体裁は,かなり一般的なMMORPGに近いもので,プレイヤーは有名武将ではなく,乱世を生きる一人の将となる。
 冒険の舞台は,いわば“東洋ファンタジーの味付けを施された「三国志」の世界”であり,そこには(当時の人々に存在が信じられていたもの,という範囲内で)モンスターも存在する。プレイヤー達は仲間と協力してそれらと戦い,キャラクターを成長させたり,材料採集をしたりしつつ,アイテム生産や売買を行うなどして,この世界での生活を楽しむこととなる。

 三國志 Onlineでは,今年の初めに2万人規模のクローズドβテストが行われた(関連記事は「こちら」「こちら」)。その後,βテストで得られた成果をもとに,さらに開発が進められていたのだが,今回新たな動きがあり,2007年6月29日&30日に「公開合戦テスト」が行われたのだ。
 「合戦」は,三國志 Onlineの特徴の一つである大規模な対人戦闘システムだ。ここではその公開合戦テストのレポートをお届けしよう。

 ちなみに今回のテストは,かなり時間の限定されたものだった。2日間にわたって継続的にサーバーがオープンしていたわけではなく,合戦が始まる数時間前にオープンし,合戦が終わると程なくクローズするという具合だ。これが,初日に1回,2日目に2回行われた。ゲーム内で移動できる場所も,長安の街と合戦場のみに限定されており,まさに合戦のみにフォーカスしたテストといえる。



 テストには,以前クローズドβテストで使用していたアカウント/キャラクターでログインできるようになっていた。当時使っていたキャラクターで久しぶりにログインすると,βテストのときに組んだ部曲(クランやギルドのようなもの)のデータもそのままになっており,あれ以来ご無沙汰だったプレイヤーと挨拶を交わしたりもできた。筆者と同様,懐かしい気分に浸れたテスターは,決して少なくないだろう。

 テスト参加者のキャラクターは,はじめからすべての武器系統のレベルが40に設定されていた。三國志 Onlineのプレイヤーキャラクターにはクラスや職業といった設定がなく,武器を持ち替えることで「攻撃役」「防御役」「回復役」といった戦闘時の役割を切り替えられる。加えて銭荘(いわゆる銀行)には一通りの武具が用意されていたため,参加者は自分の好きな役割で合戦に参加することができた。


 合戦にどの武具,どの役割で参加するかを自分なりに決め,銭荘で装備を引き出して身につけたら,準備は完了だ。時間が余ったので,とりあえず長安の街をぐるりと一回りしてみる。街の景観は,以前と比べてそれほど変わった様子はない。ただキャラクターの操作に関してはいろいろと改良がなされていて,とくにゲームパッドに対応したことは,パッドを愛用しているプレイヤーにとっては嬉しい変更なのだと思われる。



■クローズドβテスト時よりも,
■合戦に参加する楽しみが強く味わえた

 合戦開始30分前から,合戦場への移動が可能になった。街のなかの決まったNPCに話しかけることで,合戦場へは一瞬で移動できた。今回の合戦は,魏対呉,呉対蜀,蜀対魏の戦いが,それぞれ異なったインスタンスゾーンで並行して行われた。合戦時間は45分と定められており,早く終わったり延長したりということは,基本的にはない。
 45分経った時点で,より多くの“得点”を獲得していた陣営の勝利となる。この“得点”の算出方法は公開されていないが,まさにそういった点が,今回のテストからのフィードバックを生かして調節されていくのだろう。

 合戦場では味方同士で徒党(グループ)や連合(レイドグループ)を組むとよい。とくに連合を組むと,各徒党のリーダーが「陣形」や「戦法」という,徒党員全員の能力をアップさせる特別なコマンドを使えるようになるからだ。しかし,合戦場でいちいち徒党や連合を打ち合わせしつつ組み上げるのは,ちょっと面倒な作業である。今回のテストではその煩雑さを軽減するために,連合の盟主(リーダー)に対して,誰でも簡単に「参加要請」を出せて,さらに盟主はその要請を簡単に受諾できるようになっていた。これを利用すれば,5徒党25人の連合が簡単に完成する。合戦をカジュアルに楽しく体験するためには,あまり細かいことにはこだわらずに,フランクかつオープンに,どんどん連合を組んでしまったほうがよさそうだ。


 程なく合戦開始となったので,連合員達と共に敵陣を目指す。ゲームの挙動のいわゆる“重さ”は,通信状態やマシン環境によって変わるので一概に「重い」とか「軽い」などと言いづらいのだが,筆者としては,以前のクローズドβテストのときよりは,快適に動けるようになっている印象を受けた。画面が固まっている間にわけも分からず死亡,というケースには,今回はそれほど遭遇しなかった。自分がやりたいと思ったことを,それなりに実行できているので,以前のテストよりも,合戦に参加しているという実感を強く得られたのである。

 ところで,合戦でプレイヤーがやれることは,技能を使って戦うことだけではない。砦や攻城兵器を組み立てたり,それに使用する資材を集めたりすることも重要だ。クローズドβテストのときから人気が高かった投石車は,今回ももちろん活躍していた。先々にはより多くの種類の攻城兵器が作れるようになるものと思われる。今後の発展が楽しみな部分だ。



 筆者の所属勢力はクローズドβテストのときから「呉」だった。呉は,蜀や魏と比べてしまうと少し地味な印象なのか,今回参加した3回の合戦すべてにおいて,こちらの人数よりも敵勢力の兵士数のほうが多かった。
 ただ今回の合戦テストにおいては,たとえどちらかの陣営の人数が少なくても,得点的には拮抗した合戦が楽しめていたように思える。どのような状況でも,できるだけフェアな戦いができるように配慮されているのだとしたら,それは歓迎できることだろう。


■テストならではのハプニング(?)にも遭遇
 1回目,2回目の合戦テストは,どの戦場においても大きな問題は起こらず,スムースに進んでいた。事前に発表されていたタイムスケジュールどおりに始まり,そして終わったのである。しかし,土曜日の夜に設定されていた3回目の合戦テストにおいて,いかにもテストならではといえそうなハプニングが起こった。もちろんそういう事態を,こういう形で洗い出すことがテストの目的の一つであり,正式サービス開始後はこういうことは起こらないはずだが,テスターとして体験していてとても印象に残ったハプニングだったので,ここで紹介したい。

 3回目の合戦テストにおいて,筆者は呉対魏の戦いに参加していた。前の2回と変わらず,呉軍の人数は魏軍の人数よりもやや少なく,序盤から得点では押されていた。しかし奮戦の甲斐あって,中盤に差しかかったあたりでスコアが逆転しはじめた。これが最後の合戦ということもあってか,軍の士気は高まりつつあり,それは戦場に流れる連合や軍団のチャットログからも感じ取れた。

 戦いも半ばを過ぎた頃である。チャットウィンドウに見慣れないシステムメッセージが流れた。それによれば,この合戦に並行して行われている2戦のうちの1戦,魏対蜀の合戦が終了したというのだ。合戦の時間は45分固定のはずなので,おそらくはシステム/サーバーサイドのトラブルだろう(編注:これはシステム的なトラブルではなく,合戦がワンサイドゲームになったため,運営サイドの判断により合戦を終了させた模様)。

 そのシステムメッセージを見たそのときは「ああ,そうなんだ」と思っただけだった。しかし程なく,恐ろしいことが起こり始めた。……なんと,そのとき筆者達が対戦中の魏軍の人数が,見る間にドンドン増えていったのである!


 つまりこういうことだ。終了した戦いに参加していた魏の兵士達は,みな長安の街に戻された。それだけなら良かったのだが,このテストでは合戦場への途中参加には何の制限もかかっていなかったようで,魏の兵士達の前には「魏対呉の戦いに参加する」という選択肢が示されたのだ。となると,そこに参加したくなるのが人情なわけで……。かくして,初めから数の上で魏が勝っていた「魏対呉」の合戦場に,さらに追加で魏の兵士達が続々と流れ込んでくる事態が完成したのである。
 同様の理由でもう一つの戦場である「蜀対呉」の合戦場では,我が呉の同士達が,続々と増えていく蜀軍の人数を示す数値を見ながら,青ざめていたに違いない。遠くにいる友軍プレイヤーに対して,今までにないような強力なシンパシーを感じた瞬間である。

 さぁ,これまでにないような劣勢だが,あきらめてしまうのはイヤだ。あるものは味方を鼓舞しつつ,あるものは冷静に戦略を提案しつつ,またあるものは妙に陽気になって,戦いを続けていく。兵力差は開いていくものの,勝敗を決める“得点”は簡単にひっくり返されるようなことはなく,どういうわけだろう,システム的なものなのか,それともいつも以上に我ら呉軍ががんばれちゃっているのか,これは勝ってるかもしれないという状態をキープできていた。
 「うわー,どうなっちゃうんだろ」とドキドキ感がさらに高まったところで,本日2回目のシステムメッセージが現れた。なんと今度は「蜀対呉」の戦いが終わってしまったらしい! と,いうことは……。えと,蜀の人達はもう戦場がないから合戦には参加できないでしょ? 魏のほうはもう打ち止めだから,あ,援軍がこっちにくるってことか! やったぜ! これで対等な戦いになりそうだぞ,と思ったのだが,もともと分母の段階で魏と呉では人数差があるわけで,やっぱり比較的劣勢のままだった。見た感じでは,戦力比 魏4:呉3 程度で落ち着いたところで,残り時間はあと5分ほど。スコアは依然としてこちらがわずかに勝っていた。
 この頃には皆,勝利の可能性をやや強めに信じていたわけで,(たぶん)全員が本気モードで防戦し始めた。それでもジリジリと得点差はつめられていく。「頼む! なんとか持ちこたえて!」と祈る中,タイムアップ。なんと呉の勝利。この後のチャットの盛り上がりようは,説明するまでもないであろう。ご想像のとおりである。

 公開合戦テストについてのレポートは以上だ。なお,今回の合戦テストに合わせて,最新版の各武器系統の技能リストも公開された(関連記事は「こちら」)。そこには,クローズドβテスト時にはレベル上限が20だったために確認できなかった,高レベルで取得できる技能や,新たに追加された技能なども含まれているが,今回のテストは合戦に主眼をおいた限定的なものであり,技能などを十分に検討できる環境ではなかった。こういった技能などのキャラクター性能や,合戦テストでは見られなかったフィールドやダンジョンなどの現在の開発状況については,後日掲載予定の本作プロデューサー 上野彰三氏へのインタビューにおいて,明らかになるかもしれない。本作の現状が気になるファンは,チェックをお忘れなく。(ライター:星原昭典)






三國志 Online
■開発元:コーエー(KOEI ENTERTAINMENT SINGAPORE PTE. LTD.)
■発売元:コーエー
■発売日:2007年内
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.07/20070704155826detail.html