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[E3 2007#06]Electronic Artsがプレスカンファレンスで「カジュアルゲーム」宣言!?
2007/07/12 18:36
立ち上がったばかりのEA Casual Entertainmentブランドの,陣頭指揮を取るのがKathy Vrebeck氏。WiiやXbox 360,そしてPCのカジュアルゲームサイトPogo.comなどを強化し,さらなる市場開拓を企画しているようだ
 Electronic Artsは7月11日,E3 SummitのFairmont Hotel会場においてプレスカンファレンスを行った。そこでは,まったくといっていいほどPCゲームには触れられなかったのだが,一時期は「Electronic Artsのサポートしたプラットフォームが勝つ」とまで言われていたほどの“ソフトウェア・ジャイアント”が,今後はWiiやNintendo DS,モバイルやオンラインゲームなどのカジュアルゲームに力を入れていくことを,あらためて報告する内容が発表された。

 Electronic Artsは,我々PCゲーマーにとっては,かなりニュートラルな路線を走ってきたゲーム企業に思える。EA Sportsの各種ラインナップや,「The Sims」「Need for Speed」「Command & Conquer」など,どの作品もハードコアすぎずライトすぎず,万人受けするようなゲームを多く輩出してきた。
 もちろん「Crysis」のように,かなりコア向けのゲームもリリースされるし,これまでも「Armies of Exigo」や「Motor City Online」「Majestic」のように,冒険的/実験的なタイトルを何本も出している。
 しかし,数年前にActivisionを再生させたことで北米ゲーム業界で大いに注目された,Kathy Vrebeck(キャシー・ヴレベック)氏がElectronic Artsに参加し,「EA Casual Entertainment」という新ブランドを取り仕切る副社長に就任。老若男女を問わず,誰にでも気軽にゲームを楽しめるようなカジュアルゲームに本腰を入れ始めたのである。



Xbox 360でリリースされる「Rock Band」は,今回のE3 Summitの話題作の一つ。ギター型のコントローラーはともかく,ドラムは本格的で置き場所や価格も懸念されるところ。The WhoやNirvanaなど,MTVとの協力で数々の名曲をプレイできる
 その中核として,E3 Summitで大々的に紹介されているのが,ダンス/カラオケゲームの「Boogie」,ドッジボールなどを盛り込んだパーティゲーム「Playground」,そしてトリビアを仲間達と楽しむ「Smarty Pants」といったWii用のタイトルである。
 このほかXbox 360用には,Electronic Artsのロサンゼルス支部を率いるLouis Castle(ルイス・キャッスル)氏が,映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏とのコラボで開発する,積み木を思わせるパズルコンストラクションゲームもある。カジュアルゲームとはいいがたいが,Xbox 360といえば,あのHarmonixが開発中の,ギターにドラムやベースを加えた音ゲーの最新作「Rock Band」も忘れてはならないだろう。

 PCについて,ヴレベック氏は「世界中には,次世代機は高すぎて購入できない国の人が多いだろうが,PCやモバイルは身近な環境にある」と評価。とくに,2001年に買収したオンラインサービス企業Pogo.comの業績が,カジュアルゲームの台頭とともにアップしている。現在は会員数が160万人を越え,その半数が30代以上の女性で占められているなど,すでに“もう半分のマーケット”に広く浸透していると話す。現在ある135タイトルは,どれも数か月で製作できうるものであるうえに,各国へのローカライズやモバイルへの移植なども容易である点も魅力なのだろう。

 今回のカンファレンスの内容は,Electronic Artsが完全にカジュアル化していくというものではなかったが,ゲーム業界自体が既存のプラットフォームに捕らわれない多角的なゲーム作りへと方向転換している。今回E3 Summitで溢れるほど紹介されているカジュアルゲームやパーティゲームの数々が,そのトレンドを示しているといえそうだ。(ライター:奥谷海人)


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http://www.4gamer.net/news/history/2007.07/20070712183610detail.html