[E3 2007#23]「Brothers in Arms: Hell's Highway」の開発も順調!?
我々PCゲーマーが首を長くして待つ,Gearbox Software社開発の「Brothers in Arms」シリーズの第3弾「Brothers in Arms: Hell's Highway」。第二次世界大戦期のヨーロッパ戦線という定番のテーマながらも,コンバットマネージメント(部隊管理)の要素が加味された,ストラテジックなゲームデザインがほかと一線を画しているFPSだ。 Hell's Highwayは,史上最大の空挺作戦となる「マーケットガーデン作戦」をテーマにしており,オランダからドイツまでがその舞台となる。前作にも登場したマット・ベイカー軍曹とジョン・ハートソック伍長らを中心に,第101空挺師団第502歩兵連隊に所属した,当時の兵士達1人1人の名前から生い立ち,性格までを緻密に描写しており,ゲームを通して同胞意識を芽生えさせるような趣向になっているのは,これまでのシリーズ通りだ。
マーケットガーデン作戦の序盤に登場するオランダの村は,2005年発表当時から何度もデモに利用されているが,現在にも残る町並みをそのままゲーム内に取り込み,昔風に化粧し直すという凝り様。現バージョンではオランダをイメージしてか,庭には花々が咲き乱れるなどグラフィックスの高密化が進められている状態であった。 またHell's Highwayの特徴としては,ミッションのオブジェクティブがゲーム内には表示されないという,ちょっと現実的な硬派な仕様になっている点が挙げられる。以前のデモでも,88mm対空砲2機を破壊するというものであったが,ゲームのマップなどではその場所は特定されておらず,音や敵の配置を頼りに進んでいくというスタイルになっていた。
本作では,味方に移動や攻撃の指示をしない限りは,隊員達はずっと付近でカバー(援護待機状態)を取り続ける。ただ,本作で使用しているUnreal Engine 3に搭載されたPhysiX物理エンジンによって,身を隠す障害物などに硬度の概念が盛り込まれており,薄いベニヤ板の後ろなどでは簡単に敵の餌食になってしまうなど,味方の隠れる位置などにも気を配る必要がある点はなかなか面白い。また例えば,廃車やレンガ家といった硬い障害物の背後に隠れている敵がいても,バズーカなどを使ってオブジェクトごと葬ってしまう……というようなことも可能だという。 今回のプレゼンで使われたデモは,時計台に立てこもるスナイパーを排除するというミッションで,まさに上記のようなシチュエーションを再現した内容。味方の兵士に指示しつつ進行しながら,本作から新たに加わったバズーカ砲チームで,時計台ごと粉砕するという展開になっていた。
常ににこやかにデモを行なう,Gearbox Softwareの創設者であり社長のランディ・ピッチフォード氏。DOOM時代からDuvalMagicのハンドルでオンラインゲーマーとして活躍。やがて,全シリーズで1200万本という大作を作り上げた
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またHell's Highwayでは,シリーズで初めて“スローモーション演出”が取り入れられているのも特筆に価するだろう。これは,敵方のバンカーにグレネードを上手く投入したときや,見事なヘッドショットを撃ったときなどに,コンピューターがカメラを制御して,ラグドール効果のかかった敵の死に様をスローに描写してくれるというもの。 死に様といえば,味方の兵士が瀕死の状態を受けた時にも,“ブラザーフッド・モーメント”というコンピュータ制御の短いスクリプトシーンが始まる。死に行く兵士が別れの言葉を残すというような,戦友との絆の描写が描かれるわけだ。演出重視のFPS自体はほかにも数多くあるが,ここまで力を入れている作品も珍しいだろう。完成が非常に楽しみなところである。
ちなみに予定では,本作は今年の11月中にPCおよびXbox 360などでリリースされることになっているのだが,すでに1年以上も遅延していることもあってか,開発元であるGearbox Softwareの社長Randy Pitchford(ランディ・ピッチフォード)氏でさえ,4Gamerの取材に「11月中に出ればいいんだけどね」と,こちらが心配してしまうような返答をしていた。これ以上の延期がないことを願うばかりだろう。(ライター:奥谷海人)
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