[CJ 2007#22]PhysXも利用した物理演算をゲーム性に。Object SoftwareのMMOFPS「Metal Knight Zero Online」
Object Softwareのブースに,MMORPG「Myths & Heroes 3」(天驕3)と並んで出展されていたのが,MMOFPS「Metal Knight Zero Online」(鉄甲前伝)である。モチーフは近未来SF。同社が1998年にリリースしたパッケージゲーム「Metal Knight」(鉄甲風暴)と同じ世界観に基づいて制作されており,描かれるのは2010年から2020年,Metal Knightで「機甲」と呼ばれる搭乗型戦闘ロボットの第一世代が,ちょうど現れる前後の時代を扱っている。英語で「Zero」,中国語で「前伝」なのは,そういったわけだ。 軍事バランスが崩壊した世界での,絶え間ない戦争を描いており,兵科としては突撃手,狙撃手,医療兵,機関銃兵の四つが設定されている。これらの連携が勝負の一つのポイントとなることは,説明するまでもあるまい。ライフルやショットガン,手榴弾などゲーム内で使用される兵器や乗り物は,現行のものがモデルだ。そうした意味ではいかにもFPSらしいFPSだが,大型ロボットがようやく登場したところという時期設定は重要だ。局面が限られるとはいえ,ゲームには実際に大型ロボットが登場するという。 本作に,都市を制圧/占領する「争奪戦」ルールがあることは,FPSプレイヤーからすれば,それほど意外なことでもないだろう。そこからさらに一歩突っ込んだ要素として,世界各地の実在都市をマップ化することなども構想されている。ごく近い未来の地球が舞台であるから,プレイへの興味を掻き立てる意味でも,これはアリだろう。
さて,本作は「OverMax SDK」と呼ばれる環境で開発されているのだが,その環境にAGEIAのPhysXテクノロジーを組み込み,対応させたという。また,PhysXテクノロジーの活躍如何とは別に,本作では物理エンジンを積極的にプレイ要素として使うことが考えられており,例えば上階からものを落とすといったアクションが,プレイテクニックとして使えるのだという。 実際に展示機で試したところ,弾が当たることでガラスは割れるし,建物の一部は崩れ,ドラム缶は炎上する。被弾しても壊れないような物体でも,被弾のエネルギーで後ろに倒れたり,はねとばされたりといった挙動が確認できた。 現段階では,必ずしも被弾したオブジェクトの物性にぴったりな処理が行われるとは限らない。しかしながら,被弾そのものを物理現象として再現し,ゆくゆくはプレイ要素として利用できるようにしたいという彼らの考え方は,先が楽しみである。
現段階での完成度は50%前後で,今年末にはオープンβテストに漕ぎ着けるのが目下の課題のようだ。日本を含めた海外でのサービスについては,現在交渉中とのこと。なお,この作品も基本プレイ無料となる予定で,収益は有料アバターアイテムに依存する次第となるようだ。 韓国からオンラインFPSが山と輸入されている日本だが,中国産のFPSも,着々と腕を上げていることは容易に見てとれる。決して派手ではない会社だが,今後が楽しみだ。(Guevarista)
中央の画面と右の画面が,ビルの構造物を銃弾で壊す前と後。現時点では,壊れ方にやや不自然さが残る場合も
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