[E3 2007#26]Blizzardが「StarCraft II」の「Protoss」の新ユニットを全部紹介する大盤振る舞い
古参のPCゲーマーにはいまさら説明するまでもだろうが,「StarCraft」は1998年にリリースされるやいなや,北米だけでなく世界中で大ヒットとなったSF系のリアルタイムストラテジー(RTS)である。 攻撃&防御のバランスが取れた地球人的な文明の「Terran」,神秘的な宇宙人でユニット一つ一つの性能が高い「Protoss」,そしてクリーチャー型で物量で敵に攻撃を仕掛ける「Zerg」。3勢力による三つ巴の戦いを描くことで,RTSジャンルに“ジャンケンの要領”を持ち込み,簡素ながらも分かりやすいゲームシステムへと仕立て上げた,その意義は大きい。
2D画面の古臭さはメディアに酷評されたものの,そのスポーツ感覚のあるゲームプレイと巧みなバランスがゲーマーから大きな支持を得た。とくに韓国では,年収1億円を超えるプロゲーマーが登場するほどに盛り上がったのは語りぐさ。今でも多くのプレイヤー人口を抱える長寿タイトルである。
■Protossの新ユニット全公開! ■ムービーを見る限り,雰囲気はBrood Warに近い?
さて今回,Vivendi Games/Sierra Entertainmentのプレスミーティングでは,開発途上版の「StarCraft II」で,実際のゲームプレイをムービー化したものを使ってゲームの解説が行われた(残念ながら撮影は禁止)のだが,なんとProtossの全ユニット紹介という大盤振る舞いが行われた。
デモでは,「Protossのユニットが登場しては,与しやすいTerranもしくはZergのユニットと戦い,その後に苦手な敵ユニットに駆逐される。そこで,より適したユニットを投入する」という流れで次々とユニットが登場していった。
Protoss勢力として紹介された新ユニットは「Soul Hunter」「Immortal」「Tempest」「Phase Prism」「Twilight Archon」「Colossus」「Stalker」「Star Relic」「Phoenix」「Warp Ray」,そして「Protoss Mothership」の11種。「これがProtoss軍の新ユニットすべて」とはデモ担当者の弁だ。ちなみに,「Zealot」や「Reaver」,「High Templer」「Dark Templer」は前作から引き続いての登場となる。 各ユニットの特徴について,デモ担当者が語った内容と,ムービーから読み取れた内容を合わせて以下のとおりまとめてみたので,参考にしてほしい。
●Soul Hunter Protossの兵士ユニットで,中長距離系の電子ビームを放出する。TerranやZargsの歩兵に対して有効で,生物型のユニットを仕留めるとレベルアップしてビームの本数が増える。Tier 2ユニットとされ,生産にはTwilight Councilが必要だ
●Immortal 前シリーズの「Dragoon」から進化したというエクソスケルトン系のロボットユニット。強力な砲撃能力を持つが,逆に小銃などで攻撃してくる小さな敵に対して弱い
●Tempest 前シリーズの「Carrier」に相当する大型のエアーユニット。「Shuriken」という飛行ロボットで攻撃を仕掛ける。シールド能力を持つものの,それは地上からの攻撃専用で,対空攻撃にはめっぽう弱い
●Phase Prism 半透明の羽根を持つハチのような飛行ロボットで,歩兵ユニットの移動に利用する。周囲の施設を強化する特性がある
●Twilight Archon High TemplerとDark Templerの2体が合体することで生産される。どのような特性があるのかよく分からなかったものの,大きな半球状のシールドでかなりの防御力があるようだ
●Colossus 4本足を持つ大型の“タコ型”ロボットで,その足を利用して,多少の障害物や壁なら乗り越えてしまう。オレンジの熱線を発し,「Zargling」のような雑魚ユニットを焼き尽くすのに適している
●Stalker Dragoon Walkerに似た,Dark Templerの歩行マシン。移動が速く,敵の背後へと迂回したり,逃走する敵の残兵を一掃したりするのに役立つだろう
●Star Relic 周囲のユニットをすべてクロークさせる(≒姿を隠せる),前シリーズにおける「Arbitor」のようなユニットだ。施設さえもクローク可能。ターゲットのヒットポイントを吸い取る「Fusion Beam」という攻撃ができる
●Phoenix 二つの「Ion Blaster」を持つProtossの戦闘機。周囲の敵ユニットを一度に攻撃できるオーバーロード能力があり,小型戦闘機や小型の地上ユニットに対してカウンターアタックを仕掛けられる
●Warp Ray 中央からプラズマ砲を発するProtossのフラッグシップ。施設やバトルクルーザーなど,大型エアーユニットに対して有効な攻撃力を持つが,「Marines」程度の大きさの地上ユニットからの応戦には弱い
●Protoss Mothership 開発するのに相当なリソースを消費するProtoss最大最強のユニット。八つのミサイルを発射して,範囲内の敵を攻撃する能力を持つ。ブラックホールを作り出すという凄いパワーもある
今回のデモを見る限り,戦闘シーンは「StarCraft: Brood War」を想像させる。ちなみに,デモではかなり激しい戦闘シーンも見られたが,今回のデモを通じて,カメラは(この手のRTSの中では)最も至近距離に据えたものになっていた。
現在のところ,発売日は「When It's Done」(開発が完了したとき)という抽象的なものに過ぎないが, 3勢力のうちの一つの新ユニットをすべて紹介してしまったことは,非常に興味深い。2007年5月に韓国で行われた制作発表以来,このE3 Summit 2007が北米での初公開となったのだが,すでに開発はかなり進んでいるのかもしれない。(ライター:奥谷海人)
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