[CJ2007 #52]征途客服網站の新作「巨人」の不思議な世界感
2006年のChinaJoyで紹介した「征途」という作品は,見た目は地味なのだが中国ではなかなかの人気タイトルである。同時接続者数100万人を突破したタイトルは世界的に見ても,ほとんど例がない。征途が史上3番目だという。 「巨人」は,征途を生み出した征途客服網站が2作目として手がけたゲームだ。征途と大きく違う点は,ついに3Dクライアントが採用されたこと。そして,ゲームの背景世界が一新されたことであろう。 3Dクライアントについては,キャラクターなどの表示が3Dになったものの,クォータービューの固定画角が採用されている。マウスホイールで画面の拡大縮小はできても,いかにも3Dといった挙動はしない。視点を自由に動かすことはできないのだ。 画面の北の方向は常に同じで,マウスクリックないし,WSADの各キーかカーソルキーで移動する。
もう一つの特徴点であるゲーム世界は,かなり変わったものとなっている。ミリタリー系を意識していることは明らかで,画面内には軍用車輌などが多く登場する。しかし,現代戦のMMORPGかというとそうでもない。キャラクターのクラスは,以下のとおり。
突撃兵,爆破兵,狙撃兵,医師,特殊部隊,工兵,騎兵,指揮官,武術家,踊り子,魔術師
だいたいミリタリー系なのだが,微妙に外れるものもある。 また,キャラクターは馬に乗ることができるのだが,騎乗している姿などは,どこか騎兵隊風で,どうも現代戦としっくりこない感じがする。
ゲームの舞台について聞いてみると,未来の中国とのことだった。アッパーコンパチというか,未来に古いものが出てくるのは問題ないという考え方らしい。時系列的には一理ある考え方だ。しかし,原野を走っている分には,ほとんどの人はファンタジー系のMMORPGだと思って納得すると思うのだが,中世風の服装で馬に乗り,馬が駆けていく道にセンターラインが入っているとなにか違和感は拭えない。 現代兵器,車輌,オートバイなどがゲーム内に出てくるのに,なぜ馬なのか? クエストによっては,一時的に車両に乗れることもあるようだが,それ以外では,基本的に移動手段は徒歩か馬である。この混沌具合が,このゲームの本質であろう。
ゲームシステムの特徴を挙げてみよう。 まず,Ctrl+Zキーを押すと,手近な敵をめがけて自動戦闘が行われる。これは,よくあるAuto Attackというレベルではなく,モンスターを1匹倒すと,次のモンスターに向かって自動的に戦闘を続けるというものとなっている。これにより戦闘は大幅に省力化されるのだが,ゲーム性を考えるとどうなのかと疑問も感じざるをえない。
次に,ゲーム中にシステムからクイズが送信されてくる。クイズチャレンジを受けるも蹴るもプレイヤー次第だが,このクイズに正解すると経験値やアイテムをもらえるのだとという。クイズは,ゲームの範囲とは関わりなく出題され,かなり難しめの内容になっているという。 ゲームを長時間やっていないで,ちゃんと学校に行ったほうがゲーム内で有利になるようにするということだろうか? ゲームを進めるうえで,広範な知識を持つ人を有利にしようというのは(そういう意図なのかどうかは知らないが),オンラインゲームでは新しい発想といえるだろう。
なお,征途にあった,ゲームを続けると給料がもらえる制度などは,まだクローズドベータを始めたばかりの段階では導入のしようがないとのことだった。また,これも征途にあった,数万人規模の対人戦なども,テスターが少なすぎて現状では不可能。だが,今後条件が揃っていれば,同様な方策を取ることはありうるという。色々な意味で,なかなか興味深い作品となりそうだ。(aueki)
|
|
|