[GC 2007#091]ヒトラーと西部劇と殺人事件。Akellaのアドベンチャーゲーム3本を紹介
毎年E3やGCの記事で書いている気もするが,ロシア勢の隆盛は近年めざましく,数年後にはアメリカや日本に次ぐゲーム大国になっていても不思議ではないだろう。そのロシアのPCゲーム業界で最大のパブリッシャなのが,Akellaだ。同社とその注目タイトルについては,7月に行われたE3 Summit 2007での取材で記事にしているので,今回は最近人気を回復しつつあるアドベンチャーゲームに絞って,3タイトルを紹介しよう。(Iwahama)
■A Stroke of Fate 発売時期:2007年第4四半期
1940年代のドイツを舞台に,ソ連のスパイとなってヒトラーの暗殺を目指すという,仮想歴史を描くアドベンチャーゲーム。プレイヤーはゲーム中で,ナチの愛国者のふりをして巧みにナチスドイツの中枢部へと潜入していく。100のロケーション,50のキャラクターが登場する。仮想歴史とはいえ,実在した場所や,ヒトラー,ミュラー,ゲッベルスといった実在の人物達の性格は,当時の資料に基づいて,極力忠実に再現しているという。
Akellaブースでは,主人公がドイツの軍服に着替えて,鍵を入手,その鍵を使って机の引き出しから重要な書類を盗み出すというシーンを見せてもらった。システム的にはオーソドックスなポイント&クリックタイプで,ゲームの進行もごくごく普通のアドベンチャーゲームという印象だった。
ヒトラー暗殺計画といえば,「7月20日事件」に関連したドイツの将校団によるものが広く知られており,映画やボードゲームの題材にもなっているわけだが,ソ連のスパイという設定は目新しい。当時の歴史に興味のある人にとって,なかなか魅力的な作品ではないだろうか。
■Dead Mountaineer's Hotel 発売時期:2007年12月
ロシアでは知らない人がいないという,人気のStrugatsky兄弟による小説をベースにしたミステリアドベンチャー。 初めてゲームを開始すると,猛吹雪の中,一台の車が,大きな建物の前に停まるというシーンが流れる。この車を運転しているのは,主人公(プレイヤーキャラクター)となる旅行中の警官で,大きな建物は,本作の舞台となるホテル。雪でホテルに閉じこめられてしまったこの警官が,死体を発見することから物語が展開していくのだ。
本作の特徴はといえば,とにかくStrugatsky兄弟の小説が原作ということに尽きる。奇妙かつ魅力的なストーリーが,プレイヤーをゲーム世界に引き込んでいくという。
ちなみに本作には,Akellaがアドベンチャーゲーム専用に開発したエンジンが採用されている。基本的には,こちらもオーソドックスなポイント&クリックシステムのゲームだが,いくつかのミニゲームが用意されているとのことだった。
■The Bad, the Ugly, and the Sober 発売時期:2007年第4四半期
タイトルを見て,どんなゲームだかピンと来た人もいるだろう。クリント・イーストウッド主演の映画「The Good, the Bad and the Ugly」(邦題 続・夕日のガンマン)にそっくりな名前の本作は,つまるところ,ウェスタン映画のパロディ的な内容で,子供から大人まで楽しめるコメディタッチのストーリーが展開するという。
主人公は,ジャックという農家の青年。ジャックはある日,盗賊に追われてケガをしたネイティブアメリカンを助けた。するとその腹いせに,盗賊達によって,ジャックの農場が焼き尽くされてしまったのだ。農場を再建するお金のない彼は,Westtownで開かれる,盗賊トーナメントに参加することに……。
設定だけを聞くとなんとも悲惨な状況だが,画面写真を見ても分かるように,全体的に非常に明るいゲーム内容となっている。例えば,屈強な男性が邪魔で奥に進めない,という場合は,その男の足下にコインを投げて,男がそれを拾おうとしたときに襲いかかるといった具合だ。コメディ作品は,合う/合わないが大きく分かれるので,万人にはお勧めしにくいが,マカロニウェスタンが大好物という人なら,チェックしておくべきタイトルかも。
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