糸を出させたら業界一のGueedが,ビルの隙間をビュンビュン飛びながら今回持ってきたのが,すでに全世界で200万本の売り上げを記録している「Spider-Man
2」である。世にも美しいキルスティン・ダンストの頬骨が全米を震撼させた,劇場版スパイダーマン2が日本でも大ヒット公開中の今日。"Spidey's
GTA"の異名をとる本作は,単なる映画のグッズ的な意味合いを越えて,すでに1本のゲームとして世間に評価されようとしている。そんな野心作を,ゴブリン似のGueedは一体どのようにハンドリングしようというのか。
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おすぎもキルスティン・ダンスト以外は大絶賛の映画「SPIDER-MAN 2」,もうご覧になっただろうか。筆者が初めて"彼女"と出会ったのは,1994年に劇場公開された映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」だ。あの頃は,まだ幼い子供の役だった彼女。筆者は,あらゆる非難(主に容姿)をものともせず前作に引き続きヒロインの座を勝ち獲った,キルスティン目当てに劇場に足を運んだクチだ。そう,筆者は大のダンストファンなのである。
さて本来なら,前述のキルスティン,デイリービーグル新聞社の魅惑の会計係(黒髪ボブのナイスレディ),ならびにピーターにチョコレートケーキを振る舞うためだけに起用された美人モデルMageina
Tovah扮する"大家の娘"(筆者的にはヒロイン級)という,女性に関しては天才的なキャスティングを施したサム・"分かってる"・ライミの栄誉を数ページに渡って称えたいところだが,いかんせん当サイトはゲーム専門。ここは素直に,2004年6月28日に欧米で発売されたXbox用ソフト「Spider-Man
2」を紹介しよう。
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日本でも爆発的に知名度を高めたスパイダーマン。映画「2」でも,「偉大なる力には偉大なる責任が伴う」という故アンクル・ベンの名文句をテーマに,大学生になったピーターが奮闘する |
本作は,アメリカンコミックのスーパーヒーロー「スパイダーマン」の活躍を描いたアクションゲームだ。猛烈に冴えない高校生ピーター・パーカーが,遺伝子操作でスーパーに強まったクモに噛まれ,スーパーな身体能力を得ると共に体内からクモの糸まで分泌できるようになったので,スーパー悪いやつらをやっつけようとするストーリーだ。
この"ゲーム版"スパイダーマンは,基本的に劇場版をベースにしており,前作は「Spider-Man:The
Movie」という非常に分かりやすい名前で発売された。日本国内ではカプコンから日本語マニュアル付き英語版が発売中。なお2002年にサイバーフロントから発売された「スパイダーマン」は,コミックをベースとした別物だ。
今回の「2」も,現在劇場公開真っ最中の「Spider-Man 2」とほとんど同じストーリーで,スパイダーマンである自分と日常のダメな自分とのギャップに葛藤を覚えるピーターと,核融合実験に失敗してアシスタント装置の人工知能に意識を支配される,マッシュルーム・カットの科学者ドクター・オクトパスの戦いが描かれている。
ちなみに発売元Activisionの公式サイトによると,本作のPC版はPlayStation 2/Nintendo GameCube/Xboxという主要3プラットフォームと同一プロダクトながら,開発元(PC版はFizz
Factorらしい)から何からまったく異なるゲームとなっている。つまり本記事の内容は,必ずしもPC版に当てはまらない。ご注意。
ゲームプレイは,三人称視点でスパイダーマンを操作し,悪者を倒したり災害現場から一般市民を救出したりしてHERO POINTを稼ぎつつ,気が向いたらメインストーリーを進めていく。メインストーリーはChapterという単位でまとめられており,各Chapterの合間には映画とほぼ同様のプロットで綴られるムービーシーンが挿入される。
ちなみに本作に登場するキャラクターのアフレコは,部分的に映画と同様のキャストが担当。つまりトビー・マグワイアやキルスティン・ダンストの生声が入っているわけで,プリレンダムービーなどは映画のワンカットさながらの出来栄えとなっている。
さて,そういったゲーム自体の血統の良さもさることながら,本作の圧倒的に面白い要素は,なんといってもスパイダーウェブを使用した特殊アクションの数々だ。
まず映画のファンなら,マンハッタンの高層ビルの隙間をぴゅんぴゅんと飛び回るスパイダーマンの姿に,一度は憧れるはず。本作では,アナログスティックと"溜め"動作付きのジャンプボタンによって,振り子のように自らを加速させていくあの浮遊感,スピード感を味わうことができる。場合によってはビルをトトトッと蹴り昇ったり,壁を反射するようにジャンプしたりと,ビルの配置によって臨機応変にアクションをこなしていく面白さが魅力だ。
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とにかく爽快感抜群のスパイダーウェブ。強化アイテムを購入することでスピードアップも図れる |
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挿入デモは映画の内容とほぼ同じ。ピーターは先生にいびられ,少し役所広司に似てしまったオクタビウス博士とロージーとの熟年夫婦は仲がいい |
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ミッションにはこのようにケガ人を担いで病院まで届ける類のものが多い。時間制限付きなので緊張感がある |
また,こういった三人称視点アクションだと大味になりがちな,戦闘シーンも悪くない。基本的な攻撃は,Xボタンによるパンチやキックなどのコンボと,Yボタンによるウェブアクションのみ。ただしキックパンチは,Lトリガーと組み合わせることでアッパーカットからの空中コンボ(カプコンの「マーヴル〜」などに見られるエアリアルコンボを想像すると分かりやすい),またスパイダーウェブは,アナログスティックの動きに合わせて複数の敵を縛り付けてブン回したり,敵を街灯に吊るしたりもできてしまう。シンプルな操作系で,実に多彩にアクションを実現しているのだ。
このようにミッションの道中や戦闘もスピード感溢れるアクションが楽しめる本作だが,少し気になる点もある。
冒頭にもある通り,本作はミッション道中の自由度の高さから,しばしば"Spidey's GTA"と表現されることがある(GTAとは,ご存知クライムアクション「Grand
Theft Auto」シリーズの意)。しかし実際にプレイしてみると,メインミッション以外ではプレイヤーにできる行動は意外と少なく,事故現場での負傷者救出やスリやギャングと戦いなどに終始してしまう感が否めない。まぁヒーローだから仕方ないんだが,一般市民や一般車両に手は出せないし,ミッション以外にも暴れる場所が欲しいなぁというインモラルな衝動は遊べば遊ぶほど膨らむ。そのあたりは,ハナから世間の批判上等なGTAやDRIV3Rには遠く及ばない。
とはいえ,本作のキモであるウェブアクションについては,もう手放しで褒められる。このスパイダーウェブエンジン,うまく使えば格闘でもMMORPGでも,あらゆるジャンルのスパイダーマンゲームに流用できそうだ。というか,もしやるならお願いだから流用して。
「1」と「2」で通算4人の男を渡り歩いた尻軽女(キルスティン・ダンスト)や,カメラアングルでガラリと顔の構造が変化する女優(キルスティン・ダンスト)を見るだけでも損はしないと思うので,ぜひ映画館に足を運んでほしい。そして面白いと感じたなら,ゲームのほうもぜひ試してみよう。
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コンボにウェブにバレットタイムにと,なかなか多彩な本作の戦闘。戦いが終わると必ず体力満タンアイテムが入手できるあたりがコンシューマライクといえるか |
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画面左は映画のオープニングにも使われた看板。ちなみにMJの頬骨のモデリングには専用のデザイナーがいて,なんと5億ものポリゴンが費やされているというのはウソなので注意してほしい |
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昼間→夕方→夜と表情を変えるニューヨーク。現場の地理に詳しい人なら感動もひとしおなはずだ。もちろん筆者は行ったことすらないので,ぜんぜんひとしおではない |
Spider-Man and all related Marvel characters, TM & (c) 2004 Marvel Characters, Inc. Spider-Man 2, the movie, (c) 2004 Columbia Pictures, Inc. All rights reserved. Game code (c) 2004 Activision, Inc. and its affiliates. Published and distributed by Activision Publishing, Inc. Activision is a registered trademark of Activision, Inc. and its affiliates.
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