HDD感覚で利用できるRAMディスク「i-RAM」初期サンプルのパフォーマンス速報
デバイスマネージャから確認してみた。HDDとして認識されるためドライバ不要だ
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「i-RAM」については,「こちら」と「こちら」ですでに2度紹介しているから,説明不要という人も多いだろう。DDR DIMMを最大4枚搭載可能で,最大8GBの「高速シリコンストレージ」として利用できるデバイスだ。今回はその初期サンプルを入手したので,とにもかくにもそのパフォーマンスをチェックしてみることにしよう。
左上:i-RAM本体
右上:実際にPC3200 DDR SDRAM 512MBを4枚差してみた。この状態では約2GBのストレージとして,PCからはHDDとして扱える。HDDなので,動作にドライバなどは不要だ
左下:付属のバッテリー。PCIスロットに取り付けると,PCの稼働状況にかかわらず給/充電が行われるため,基本的にメモリ内のデータは保持される。GIGABYTE TECHNOLOGYによれば,OSのインストールも可能とのことだ
左下:カードのリビジョンは1.0だった
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■ファイル転送では10倍以上のスコアを記録!
今回は,PC3200 DDR SDRAM 512MBモジュールを4枚用意し,2GBのストレージとして利用。CドライブとしてMaxtor製の250GB HDD「DiamondMax 10」(Serial ATA接続)を利用する,表のようなテスト環境にi-RAMをDドライブとして接続し,「PCMark05」「バトルフィールド2」「TrackMania Sunrise」「3DMark05 Build1.2.0」(以下3DMark05)を,それぞれCドライブのHDD,Dドライブのi-RAMから起動した場合で比較することにした。
総合ベンチマークテストであるPCMark05においては,基本的に初期設定のまま,HDDパフォーマンスをチェックする「HDD Test Suite」を実行。i-RAMからは,PCMark05をインストールしたDドライブ(i-RAM)をターゲットに指定してテストしている。 総合スコアはグラフ1,詳細はグラフ2にまとめた。PCMark05がもともとHDDのランダムアクセス性能を重視していることもあって,i-RAMは総合スコアで6倍以上という,驚異的なスコアを叩き出した点に注目したい。とくに,ランダムアクセスの多い「XP Startup」「Application Loading」「General Usage」ではHDDが10MB/s以下なのに対し,i-RAMでは最もスコアの低かったGeneral Usageですら98MB/sを超え,残る2項目は100MB/sの大台を突破している。まさに桁違いだ。
■ゲームタイトルでも起動時間の短縮を確認
バトルフィールド2とTrackMania Sunriseでは,それぞれ起動時間を比較する。バトルフィールド2では,デスクトップに置かれた起動用のショートカットをダブルクリックしてから,「EA GAMES」のロゴが現れるまでの時間。TrackMania Sunriseでは,「SOLO」モードの「Official Campaign」から選択できる「SkidOrDie」のコースを選択してから,データ読み込みが終了して,画面が切り替わるまでの時間を,いずれもストップウォッチで計測した。手作業ということもあり,1度テストするごとにOSを再起動しながら,3回計測してその平均値をスコアとした。結果はグラフ3,4のとおりだ。
まず,バトルフィールド2では17秒22から12秒59へと,約4.6秒,パーセンテージ換算で約27%もの起動時間短縮に成功した。わずか5秒弱と思うかもしれないが,十分体感できる時間差である。 TrackMania Sunriseでは12秒78が10秒35と,約2.4秒の差。パーセンテージでは約20%の短縮である。PCMark05ほどの劇的な違いはなかったものの,ゲームの起動時間短縮に効果があるのは間違いないといえるだろう。
最後に3DMark05では,純粋に総合スコアで比較してみた。結果はグラフ5のとおり。3DMark05で計測できるのは3Dグラフィックス処理能力で,データの読み出し速度は影響しないようになっているはずだが,約0.5%とはいえ,i-RAMから起動したときのほうがスコアは上だった点は興味深い。サンプルがこれしかないので断言はできないが,ひょっとすると実際のゲームタイトルにおいても,同様の傾向を示す可能性はある。
■課題はやはりディスク容量だが,活用法はいろいろ考えられる
PCMark05のスコアを見る限り,ストレージデバイスとしてのi-RAMのパフォーマンスは圧倒的だ。ゲームタイトルにおいてもその効果は確実にあり,ゲーマーにとって面白い製品なのは間違いないだろう。
もっとも,それなりのコストは覚悟する必要がありそうだ。今回用意した512MB×4というモジュール構成でも万単位の出費が必要で,しかも,これだけあっても「ハーフライフ2」や「Tom Clancy's Splinter Cell:Chaos Theory」といった最新の大型タイトルをインストールするには容量が不足する。今回は,可能な限り早く第一報をお伝えしたいと考えた結果,これらのタイトルを利用したテストを見送った次第だが,まさにこれも容量ゆえだ。読者の中でも,1GBモジュールが余っている,などという人はごく少数だろうから,容量とコストはやはりネックになりそうである。その意味では,予算面で"覚悟を決めた"コアゲーマー向けのアイテムといえるかもしれない。とにかくゲームのパフォーマンスを上げたいのであれば,i-RAMは"アリ"だ。
もちろんPCでの利用全般で見れば,例えば256MB×4枚の1GBであっても,使い道は十分ある。今回は時間の制約で検証できなかったが,スワップファイルの保存先や,静止画,動画編集ソフトでのテンポラリファイルの保存先としての利用は効果も大きそうだ。512MBや1GBのDDR DIMMを購入したことによって,256MBモジュールが余っている,といった場合に,i-RAMは魅力的な製品になるだろう。(坪山博貴)
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