[GWWC 2006]突撃インタビュー:Guild Wars世界大会の優勝者「The Last Pride」
The Last Prideが勝利を決めた瞬間。わずか8名のギルドは,この瞬間に世界一の座についた
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先頃「こちら」の記事でお伝えしたように,Taipei Game Showと並行して,「Guild Wars:2006 World Championship」が行われている。世界から集まった猛者8ギルドが熾烈な戦いを繰り広げていた大会だが,2月19日の午前11時(日本時間12時)に始まった決勝戦において「The Last Pride」は,優勝候補筆頭として知られていた韓国の「War Machine」をストレートでくだし,圧倒的な力の差を見せつけた。優勝賞金5万ドルは彼らの手にわたったのだ。
さて表彰式後,会場近くのGrand Hyattホテルで「The Last Pride」の優勝記念合同インタビューが行われるという情報をキャッチして早速移動。いま一つ日本では有名ではない(Guild Wars内ではラダー1位のギルドとしてかなり有名だと思うが,日本の読者にとってはWar Machineほど認知度は高くないのではないだろうか)The Last Prideというギルドは一体どんなチームで,どんな人がプレイしていて,どんな練習を積んできたのか。“最強”の名を欲しいままにするWar Machineにどうやって勝つことができたのか。彼らの今後の計画も含め,日本でGuild Warsをプレイしている読者なら関心を持ちそうな話題を選んで,色々と話を聞いてみた。(Kim Dong Wook)
■実は「War Machine」からスピンアウトしたギルド
Soul Wedding / Star / Devl / Danjang
Bloodlight / Woonori / Eun Jong(ギルマス) / Master
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4Gamer編集部(以下,4G): まずは優勝おめでとうございます。今のお気持ちは?
The Last Pride: ありがとうございます。われわれのギルドは大部分高校生と大学生で構成されているので,週末は食事以外はずっと練習してましたが,平日には夜以外には一緒に練習することさえできないのです。そんな条件の中でもみんなで熱心に努力して,優勝までできるなんて,とても嬉しいです。昨夜は,あまりに緊張してしまって寝られませんでした(笑)。
4G: なるほど。もう優勝したから,ゆっくり寝られますね(笑)。The Last Prideの,ギルド人数と年齢層について教えてください。
The Last Pride: 実は,我々のギルドは8人しかいないんです。そんな小さいギルドで,結局全員が集まらないとギルド戦に参加することさえできない状況です。でもこんな状況は,我々の欠点ではあるのですが,むしろ長所なのです。
4G: というと?
The Last Pride: 一人でも欠けると仲間に迷惑をかけることになりますから。世界のどのギルドよりも,強い連帯感と結束力を持っていると思います。8名中大半は22〜23歳の大学生で,一番若いメンバーは現在高校生で18歳です。
4G: まさか8人だけのギルドとは思いませんでした……。賞金としてもらった5万ドルは何に使う予定ですか?
The Last Pride: 今までは大会準備のためにプライベートをすべて捨ててきました(笑)。家族との食事,友達との約束……全部を捨ててここまでやってきました。なので,自分の身の回りの人達にお礼を兼ねて食事とかしたいと思っています。ちなみに賞金は,8人が平等に分配します。
4G: 今回の大会では世界の強いギルドを破って決勝戦まで進出しましたが,対戦の相手の中で最もやりづらかったのはどのギルドでしたか?
The Last Pride: 北米代表だったIdioit Savantsです。対戦の序盤に30分間以上ずっと守勢に回ることになって,最後にやっと勝てました。
4G: そういえばそうでしたね。ところで,ギルド内で大会中リーダー的な役目を一番果たしていたメンバーは誰ですか?
The Last Pride: とくにそういう人はいません。全員が上手に望む動きをしてくれました。敢えて言うならば,とくにモンク達が最高でした。ほかのギルドからも,「君達のモンクは絶対に倒せなかった」と言われたほどです。
4G: 風の噂で聞いたのですが,The Last Prideは元々War Machineから独立したメンバーなんですよね? 決勝戦でWMとあたってどうでしたか?
The Last Pride: おっしゃるように,私たちの8名の中で7人がWar Machine出身です。残り一人は,ほかのギルドから迎え入れたメンバーです。War Machineが使うビルドは誰よりも詳しく分かっていますが,それが必ずしも勝てた理由ではないと思います。
4G: 元々が同じメンバーですし,War Machineギルドの戦略を予測するという点においてはどうですか?
The Last Pride: 我々も予測可能だと思っていたんですが,ここ数週間,WMの戦略が以前とは違うWarriorとRangerのタッグがメインになっていたのです。それなので,決選トーナメントでは一体どんな戦略が出てくるのか想像がつかず,少し緊張していました。
■決勝トーナメント前日夜に計画した新しいビルドが功を奏した
23分経過時点で本陣に攻め込むThe Last Pride。すでにWMの戦闘力は相当厳しい
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4G: ということは,決勝戦で使うビルド/戦略を作るのはとても難しかったと思うのですが,どんな戦略で準備したんですか?
The Last Pride: まずは,4人のウォーリアで相手の戦略に対応するための演習をしてきたんですが,昨夜偶然にTreacherous Empire(編注:以下,Te。今回の大会に参加したアメリカのギルド)と共に会食をしたときに,さまざまな戦略が話題になりました。その中の一つに「アルカナ シーヴェリー」(*)を利用した戦略があって,それに非常に興味を感じたんです。そして急遽それを採用し,今日の対戦ではその戦略が功を奏しました。我々はいつも試合の前にマップを直接描いてシミュレーションを行って意見交換をしますが,そのときにギルドメンバー全員が新しい戦略に同意を示してくれたので,採用したのです。
(*)アルカナ シーヴェリー(Arcane Thievery): ターゲットした敵のスペルを一つ封じて,数秒間そのスペルを覚えて使えるようになるというもの。トリッキーであまりこういう場では使われない。WMのビルドは「ソロで死なない」というのがコンセプトになっているように思われるので,一つでも欠けると,場合によっては致命傷となる可能性もある。 ちなみに,The Last Prideのメスマーが決勝で用いたビルドは,おそらくは以下のとおり。 エネルギー サージ(Energy Surge),アルカナ シーヴェリー(Arcane Thievery),ドロー コンディション(Draw Conditions),エネルギー バーン(Energy Burn),エネルギー タップ(Energy Tap),シャッター エンチャント(Shatter Enchantment),ウィアリネス シグネット(Signet of Weariness),リザレクション シグネット(Resurrection Signet)
4G: しかし決勝戦の第2試合では,序盤に押されてなんだか心配でしたが,結局は勝てましたね。
The Last Pride: 守備組の位置があまり良くなかったんだと思います。彼らがあまりにも攻撃ラインまで進んでしまってかなり良くない状況になったのですが,すぐボイスチャットで位置を再調整し,守備組と攻撃組がそれぞれ本来の任務であるべき場所に落ち着きました。我々は4 vs. 4の対戦プレイにおいてはかなり自信がありますし,それ以後の展開は上手に行えたと思います。
4G: なるほど。ところで今日,決勝戦の現場でTreacherous EmpireがThe Last Prideギルドを熱烈に応援するのを見て,両ギルドが非常に親しいと思いました。
The Last Pride: ええ。大会の前からインターナショナルサーバーでよく対戦しましたし,チャットを通じて彼らが韓国のお酒に関心があることが分かって,直接韓国からお酒を持って来て飲みながら親しくなりました(笑)。こちらへ来て初めて会ったんですが,ゲーム内でお互いのニックネームは分かっていましたし,すぐに親しくなれました。
4G: 先ほどヨーロッパやアメリカサーバーの主要メンバーと話したとき,彼らは一様に「The Last Prideはここ2,3か月で急激に強くなった」と語ってくれました。この期間中に,何か特別な練習などを行ったりしましたか?
The Last Pride: 我々がWMから脱退した理由は,彼らがいつも同じチームビルドばかりを使い続けているからなのです。確かにあのビルドは強いです。しかしGuild Warsというゲームは常に変化し続けているわけで,それに対応しなければいつかはトップの座から落ちてしまいます。
4G: といいますと?
The Last Pride: 具体的には,対戦相手の情報……例えばチームビルドや戦術などを,事細かくメンバー用Webサイトにまとめるようにしました。これらをデータベース化し,ありとあらゆる状況に対応できるチームビルドを作り上げることを目標としました。一番気をつけたのは,新鮮な情報を常に取り入れること,でしょうか。そんなわけで我々の強みは,相手の戦術に応じて常になんらかの対応策を繰り出せるところにあると思っています。
4G: なるほど。確かにアメリカやヨーロッパの人達も,WMの戦術が長い間変わっていないことを指摘していました。
The Last Pride: 同感です。確かに,チームビルドを固定してしまうほどに彼らの今の戦術は強いのですが,それが逆に決勝戦での敗因の一つになってしまったのではないでしょうか。
4G: もう一つ気になったことがあります。ギルドメンバー達が対戦のときに「Windowsキー」を抜いてプレイするのを見たんですが,何か理由があるんですか?
The Last Pride: あ(笑)。Guild Warsはプレイのときに,AltキーとCtrlキーをよく使うので,そこで間違えてWindowsキーを押すと大変なことになります。いつもWindowsキーを抜いてプレイするのが全員の癖なんです(笑)。
■Chapter2でも最強ギルドになるため, RPGモードなども熱心に練習していく
先ほどの突撃直後の士気のチャート画面。これを見ても,すでにこのときに圧倒的な差があったのが分かる
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4G: Guild Warsの楽しさは何だと思いますか?
The Last Pride: やっぱりボイスチャットによるプレイじゃないでしょうか。ゲームプレイ中に,リアルタイムでギルド員同士がコミュニケーションを行って,状況から判断する戦略と戦術を突き詰めていく点が非常に魅力的だと思います。そういった基礎がある上で,一人でプレイするゲームでは体験できない協調の心と,友情さえ感じることができる,非常に素晴らしいゲームだと思います。 また韓国では,どんなゲームでも滅多に海外ゲーマー達と交流することができないのですが,Guild Warsではボイスチャットでコミュニケーションができるから外国人の友達が自然にできてくるのも嬉しいです。
4G: なるほど。The Last PrideはGuild Wars以外には何もプレイしないんですか?
The Last Pride: いえ,そんなことはありません。ギルドメンバーの中には,NCsoftの「Exteel」のG-Star大会に出場した経験がある人もいますし,Granado Espadaのすべてのβテストに参加した人もいます。そうやってほかのゲームもかなりプレイしてみるんですが,Guild Warsが一番面白いから,結局最後はいつの間にか戻ってくるんです(笑)。
4G: だとしたら,誰よりもGuild Warsに詳しいThe Last Prideとしては,同ゲームはどんな面が改善したら良いと思いますか?
The Last Pride: やっぱり,8人に限定されたギルド戦の構造が早く改善したらいいなと思います。より多い人々が楽しめるゲームになるために,より多様なビルド戦略ができるようになるために,1チームが16人〜20人程度でプレイできたらもっと面白いんじゃないでしょうか(編注:奇しくもArena.Netが当サイトとのインタビューでその方向性であることを示唆している)。あと戦況をより容易に把握するために,画面上のレーダーがもうちょっと見やすいといいですね。
4G: 現状でGuild Wars最強のギルドであることを証明したわけですが,もしこのゲームが全世界共通のe-Sports種目になったら,プロゲーマーとして活動する意向はありますか?
The Last Pride: 去年のE3でのイベントに参加したときはあまりそんな気はなかったんですけど,このTaipei Game Showでのみなさんの反応を感じながら,一度挑戦してみるか,という気もしました。しかしまだよく分からないです(笑)。
事実上一人で本陣前の橋を防御。さすがに押し返せないと分かっていても諦めないWM。しかし事実上二人でこの橋は守り切れなかった
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4G: The Last Prideとしての今後の計画を聞かせてください。
The Last Pride: 今度アップデートされるChapter 2では,PvP中心のプレイはもちろん,RPGモードや新たなGvGなども追加されるので,単純にPvPのみを行っていては最強のギルド,という名声を維持できないと思います。Chapter2が発売される前にチーム員も追加で募集を行って,新しいビルドに関する研究も絶えず行って,Guild Wars最強ギルドとして長い間認められたいと素直に思っています。
4G: 最後になりますが,日本のGuild Warsのプレイヤー達にひと言お願いします。
The Last Pride: 日本のギルドでは,「Scarlet Colored Vampires」や「mangudai」とよく対戦してます。今回の大会では会えなくて非常に残念です。日本語版も発売されたとのことですし,次回の大会では必ず日本のプレイヤー達とも対戦して,実力を競ってみたいです。
4G: 本日はありがとうございました。これからもがんばってください。
Guild Wars:2006 World Championshipは,北米とヨーロッパ,韓国を代表する最強の ギルド達が集まり,毎試合,激しく熱い勝負が展開された。しかし勝負の結果よりもっと気になったのは,ゲームという媒介を通じて全世界のプレイヤー達がお互いに交流して,共感し,仲良くなれるということをリアルの世界で証明したことだ。日本でもオンラインゲームの負の側面ばかりが取りざたされる昨今,そこにこそ大きな意味を見い出したい。 オンラインゲームのコミュニティという小さな単位は,ギルドになり,そこからさらに大きな活動の場を与えられ,世界中に友達を作れるような,そんな場になったのだ。 最初は単純に「優勝者インタビューをしよう」と思ったのだが,その中から,オンラインゲームの世界が持つ広い“可能性”を感じることができたインタビューだった。 今後の彼らの活躍に,大いに期待したい。
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ギルド ウォーズ |
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■価格:オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円 |
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