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「大航海時代 Online」拡張パック「La Frontera」の見どころを紹介。テストサーバープレイレポート
2006/10/13 21:56
La Fronteraの登場によって,大きく進化した大航海時代 Online。これは,街中でも行える「陸上戦闘」の一コマだ
 コーエーが運営中のMMORPG「大航海時代 Online」で,8月30日に拡張パック「La Frontera」(以下,La Frontera)Chapter1のサービスが開始された。それによって,航海エリアがさらに広がり,新たな交易品,遺跡や新生物の発見を求めての冒険が可能となったわけだが,実はこの新エリア,La Fronteraのパッケージを購入したからといって,すぐに楽しめるわけではない。既存の全入港許可証を得ていることが前提条件で,さらに今回追加された高難度のクエスト「勅命」をこなさねばならないのだ。
 既存プレイヤーの中にすら,いまだに新エリアを目にしてない人もいるほど,この勅命クエストは手強いのである。ちなみに新エリア一番乗りは,「EUROS」サーバーのイスパニア所属プレイヤーで,La Fronteraの実装からわずか4日で到達したという。
 今回,航海士としては新米の筆者が,コーエー本社にお邪魔し,テストサーバー上でLa Fronteraの新要素をあますことなく体験してきた。4Gamer読者にも,ちょっとした観光気分で,新天地の風景やクエストの内容を楽しんでもらえれば幸いである。



■4Gamer観光所による,新エリア「海賊島」「開拓地」案内
勅命の到達度を上げるには,勅命クエストに繰り返し挑戦しなければならない。得意な分野のクエストを選ぶといいだろう
 既存サーバーでは先述の通り,新エリアへの入港許可証をわずか4日で手にしたプレイヤーがいたそうだが,新サーバーBoreasでは,まだそこまで進行していないプレイヤーが多いと思われる。入港許可証を手に入れるには,所属国家の大臣からもらえる「勅命」クエストを遂行する必要がある。だが,クエストを終了すれば許可証がもらえるわけではなく,国家ごとに勅命の“到達度”が設定されており,複数の勅命を遂行して目標値まで上げなければならない。この目標値は所属国家によって異なるので,自国の数値は必ず事前に確認しておきたい。
 クエストの種類は既存のものと変わらず,冒険者向けや軍人向けで内容が大きく異なる。今回は,実際に体験できたクエストを2種類紹介しよう。まだ一度も勅命クエストに挑戦していない人ならば,今後のヒントにしてほしい。

勅命:「新大陸制海確保」
 サントドミンゴの海を巡回する艦隊を排除し,イングランドの制海権を確保することが目的の勅命だ(筆者のキャラクターがイングランド所属のため)。1回目の挑戦では,筆者ともう1名で指定海域へ向かったところ,10隻の巡視艦隊に襲われ,複数の敵艦による一度の砲撃で撃沈。曳航してもらわねば港に戻れないほどのダメージを受けてしまった。
 仕方なくコーエーからGMチームを助っ人に呼んでいただき,海戦のプロ5名+素人1名(筆者)で再チャレンジ。勇猛果敢に戦うGMチームを尻目に,足手まといな筆者の船は遠くから高みの見物を……。勝利したとはいえGMチームの船も帆は裂け,中には半壊した船もあったほどなので,腕に覚えがあるプレイヤーでも,それなりの艦隊を編成して挑んだほうがよさそうである。



勅命:「未知なる危険」
 こちらは冒険者向けの上級クエスト。新大陸の状況を把握すべく,未開の地を調査し危険な生物を発見せよというお達しだ。現地では戦闘を避けられないこともあるので,準備万端整えて出かけることをお勧めする。なお,怪しげな岩をクリックすると,何かの生物による鋭い爪あとが残されていた。いくつかのヒントを組み合わせて推理すれば,自然と発見場所も特定できるはずだ。ちなみに発見できたのは「ピューマ」だった。



■プレイヤーが街を作り上げる「開拓地」
初期状態の開拓地は,かなり素朴な雰囲気。これは育てがいがあるな……
 La Fronteraの大きな特徴として,新エリアに存在する特殊な港街「開拓地」の存在が挙げられる。開拓地は,従来のように単に港を発見するだけではなく,プレイヤーの貢献度とその内容によって,小さな漁村レベルの港が次第に街へと発展していくシステムだ。
 画像を見ての通り,初期段階の開拓地はひどく狭く,素朴というか簡素と言うべきか,非常にそっけない作り。しかし,プレイヤー達が発見物カードや武器,生産品などをNPCへ寄贈することで,「文化度」「商業度」「武装度」の数値が上がり,数段階を経て大都市へと発展していくのだ。
 もちろん寄贈する内容によって,上昇するカテゴリも異なり,さらには発展後の都市に存在するNPCの種類,販売されるアイテムも変化する。どのタイプの都市になるかを想像しながら,航海の途中で立ち寄る楽しみもあるわけだ。
 また,すべてのカテゴリの合計値が最も高い開拓地は,1週間限定で「中枢都市」と呼ばれる都市に変化。この中枢都市の期間だけしか入手できないアイテムなども登場するため,プレイヤー同士の情報交換や協力にも,熱が入るというもの。
 La Fronteraの実装から約1か月が経過したが,サーバーを問わず,開拓地の発展にはかなり手こずっているようだ。それゆえ残念ながら,発展後の様子をお見せすることはできないが,最初の様子からは想像もつかないほど,美しく賑やかな場所であった,とだけお伝えしておこう。

最初は無理のない範囲で寄贈していき,余裕が出てきたら,どのカテゴリを伸ばしたいかを意識しつつ,寄贈品を選ぶといいだろう


海賊島を見学するため,特別に「悪人」にしてもらった。あくまでテストサーバーでのキャラクターなので,その点,勘違いのないよう……
 このほか,悪名の高いキャラクターだけが無条件に上陸できる「海賊島」も実装された。つまりPK行為を楽しむ悪人(をロールプレイするプレイヤー)が,安心して寄港,買物できる港だ。実は,清く正しいプレイを心がけていても上陸は可能なのだが,100万Dというひどく高額な賄賂を要求されてしまう。NPCの名前が「闇商人」だの「裏工房」だのと,いかにも怪しげというだけで,販売されているアイテムなどは通常の港と変わらないので,お金が有り余っていてどうしても観光したいプレイヤー以外,とくに訪問する必要はないだろう。



■その他の拡張されたシステムとスキル
特殊造船も,La Fronteraで実装された新システムの一つ。船に特殊能力がつくこともあり,非常に奥が深い
 新エリアやクエスト以外の追加/変更要素についても,ここで紹介しておこう。まずはNPCによる生産システムについて。
 これまでは,プレイヤーキャラクターがレシピを習得していなければ,該当するアイテムの生産はできなかった。La Fronteraで実装された「NPCによる生産」は,材料となるアイテムさえ所持していれば,NPCを通じて生産できるというもの。ただし,NPCが所有するレシピには,先述のアイテム寄贈による発展度,投資額などの前提条件があり,それらを満たして初めて表示されるレシピもある。

 また,La Fronteraでは,「狙撃術」「兵器技術」「応用剣術」「錬金術」「管理技術」「航海技術」「投てき術」という7種類の新スキルが実装されている。後述の陸上戦闘に影響する内容もあるので,新スキルの習得は相変らずの悩みどころになるだろう。

 ユーザーからの要望も高かった「定期船」の実装で,都市間の移動はだいぶ楽になったはず。主要都市間は週に数本のスケジュールで結ばれ,乗船費用を払えば襲われる心配は皆無で,なおかつ短時間の移動が可能だ。これまでどこへ行くのも操舵が必要だったことを考えれば,これはかなりありがたいシステムと言える。目的地到着までは,船内で他プレイヤーとのチャットやミニゲームが楽しめるので,退屈することもないだろう。
 ただし,期限付きのクエストを請け負っている場合と,船に交易品を積んでいる場合には,定期船は利用できない。交易品は,食料のみにしてあとはすべて売り払うか,預けなければならないので,注意してほしい。ちなみに,乗船中にログアウトしてしまうと,再ログイン時も船の中でスタートとなる。そのままログインし忘れると,出航した元の港まで戻ってしまうのでご注意を。

左列:NPCを通じての生産が可能になったことで,使用頻度の低いレシピを持ち歩く手間が省ける 中央列:7種の新スキルが実装されたことで,キャラクター育成の楽しみも大きく増した 右列:ゲームの性質上,同一エリアに多くのプレイヤーが集まりにくい本作だが,定期船をうまく活用すれば,待ち合わせもしやすくなる


■火事と喧嘩はロンドンの華……? 船乗りは血の気が多くて困ります
 航海を終えてホームとする港に戻ってきたからといって,お楽しみがないわけではない。血の気が多い海の男達が港町でも退屈しないように実装された……,かどうかは分からないが,La Fronteraでは「論戦」と「陸上戦闘」の,二つの対戦システムが実装されている。
 まずは,1対1で行う「論戦」だが,これは簡単にいってしまえば「発見物カード」を使って楽しむカードゲームである。所持する発見物カードから30枚を選んでデッキを組み,対戦したいプレイヤーが「論戦申込」を受けてくれれば,その場ですぐに対戦が始まる。
 ルールはかなり分かりやすく,30枚のデッキから,ランダムで5枚の手札が配られる。「場」には,1セットごとに1枚が自動的に出され,プレイヤーは残りの2枚を手札から選び出す。お互いが3枚ずつ出し合ったところで,カードが持つポイントの合計が高いほうが勝ちとなるのだ。
 3枚のカードの組み合わせによっては「コンボ」が発生したり,セットごとに「ボーナス属性」が指定されたりもする。発見物の内容によりカードには「遺物」「地理」「生物」といった属性があるため,このボーナス属性に該当するカードが1枚でも場に出ていれば,さらに高いポイントが得られるようになっている。
 洋上戦闘と異なり,プレイヤー同士のレベルに関係なく,あくまでコンボが出やすいデッキ作りや,その場の駆け引きで勝敗が決まるため,誰でも気軽に楽しめるのが魅力といえるだろう。

発見物カードを用いるカードゲームなので,いいデッキを組むには,それなりに冒険者としての成果が要求される。コンボ探しがかなり楽しいので,ぜひチャレンジしてみてほしい


PvPといっても,敗北時のペナルティはとくに設定されていないので,気軽に楽しめる
 もう一方の陸上戦闘だが,こちらは論戦に比べると華やかというか激しいというか,PvPが街中で楽しめてしまうシステムだ。論戦とは違い,こちらは職業ごとに得手不得手な武器が決まっており,また武器によって攻撃可能なレンジが異なる。冒険者/商人/軍人の3職業をバランスよく配置しなければ,勝利することは難しいだろう。
 戦闘が始まると,所有する武器によってレンジ(フォーメーション)が自動配置されるが,前衛が倒されると中衛/後衛は前に引きずり出され,レンジが崩れてしまう。レンジ間には三すくみにも似た関係が存在しているので,レンジ崩壊は圧倒的に不利な状況を招くというわけだ。
 これだけではただ,斬り合い撃ち合うだけの地味な戦いになりそうだが,戦闘中には「ボルジアの秘毒」「たいまつ」といったアイテムを使うことで,相手の攻撃タイミングを妨害したり,特定の条件下で発生する必殺技「フィニッシュアーツ」で大ダメージを与えたりと,頭脳プレイも要求される。海戦とは違い,アクション性や,1回の指令ミスが即死を招くといったシビアさはなく,チャットしながらワイワイと,まさに遊び感覚で楽しめるのが陸上戦闘の魅力と言えるので,まだ試していない人は,ぜひとも仲間を誘ってチャレンジしてみてほしい。

 論戦はミニゲーム的な気楽さで楽しめるし,陸上戦闘はギルド同士でアイテムを賭けてみたり,あるいは爵位を持つキャラクター同士なら,(手袋を投げつけるポーズは決められないが)男のプライドを懸けた決闘を演じてみてもよいだろう。負けたところで,装備の耐久度が減るくらいのペナルティしかない点も,嬉しいところだ。

一度体験してみれば分かるだろうが,陸上戦闘は意外と忙しい。しかしアクション性が高いわけではないので,ゲームに不慣れな人でも十分楽しめるはずだ


■やっとたどり着いた,スイート・ホーム・スイート
とんでもない価格に見えるかもしれないが,レベル30以上になっていれば,比較的「何とかなる」価格設定といえるだろう
 La Fronteraの新システムについて長々と紹介してきたが,最後は憩いの我が家「アパルタメント」へ読者の皆様を招待するとしよう。
 アパルタメントは,購入条件(レベル30以上,500万D)さえ満たしてしまえば,誰でも銀行からの購入が可能だ。NPC「守衛」に話しかければ,暖炉の炎が温かく迎えてくれる我が家へ入れる。室内には艦隊,商会メンバーおよびフレンド登録したプレイヤーであれば招待できるので,あんな話やこんな内緒話も,気兼ねなくできてしまうわけだ。
 室内には家具類を自由に配置したいところだが,これは,次期アップデートのチャプター2にて導入予定。しばしの我慢が必要だ。
 なお,部屋の片隅には「マネキン」が,入り口そばには「執事」が控えているが,もし3人目の副官を雇用しているなら,その副官は「お留守番」として,アパルタメント内に配置されることになる。
 「ちゃんと留守番していたよー!」「おかえりなさいませ。調子はいかがですか?」などと言って,副官が主人を迎えてくれるわけだ。これで,招待する友人がいないプレイヤーでも,アパルタメントが寂しいことはない。独り身の筆者など,この言葉が聞きたくて,3人目の副官を雇用してしまったほどだ。
 また個人的な意見ではあるが,大変残念なのが執事である。執事といえば銀髪の豊かなスラリとした長身男性というイメージが一般的(?)だが,大航海時代 Onlineの執事は,みすぼらしいおじさんである。とはいえ,彼はアイテムや積荷を五つの分類ごとに2種類まで無料で預かってくれる,大切な倉庫番の役割を担っている。また,開発スタッフに尋ねたところ,執事の外見はいつまでもこのままではないようだ。何らかのアイテムで堂々たる執事に変身させることも,いずれ可能になるかもしれない。

 というわけで,La Fronteraの新要素を一通り紹介したわけだが,いかがだっただろうか。新サーバーBoreasでゲームを始めたばかりの人でも,すぐに楽しめる新要素も用意されているので,それを目標に,お金稼ぎやキャラクター育成に精を出してほしい。
 また,そろそろ「チャプター2」に関する新情報も,発表されるとかされないとか……。すでにチャプター1の新要素を満喫している既存プレイヤーは,早くもそちらのほうに意識が向いているかもしれない。チャプター2の新情報をキャッチし次第,直ちに紹介するつもりなので,ぜひ楽しみにしていてほしい。(ライター:麻生ちはや)

十分な広さと,豊富な機能を備えるアパルタメント。大航海時代を生きるなら,ぜひ手に入れたいところだ。今後の機能拡張にも注目したい

大航海時代 Online
■開発元:コーエー
■発売元:コーエー
■発売日:2005/03/16
■価格:1575円/30日間(税込),別途アップグレードチケット(税込2940円)が必要
→公式サイトは「こちら」
大航海時代 Online 〜La Frontera〜
■開発元:コーエー
■発売元:コーエー
■発売日:2006/08/30
■価格:パッケージ版:6090円(税込)
→公式サイトは「こちら」

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