Creative,“Fatal1ty印”のカード単体や初のLow Profileモデルなど,「Sound Blaster X-Fi」下位モデルを刷新
Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer Fatal1ty Professional Seriesの製品ボックス
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Creative Technology(以下Creative)の日本法人であるクリエイティブメディアは,これまで4モデルで展開したサウンドカード「Sound Blaster X-Fi」について,下位2モデルを置き換える新製品を発表した。2006年11月中旬の発売が予定されている3モデルは上位から順に,以下のとおりとなる。- Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer Fatal1ty Professional Series(直販価格:2万2800円)
- Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer(直販価格:1万2800円)
- Sound Blaster X-Fi Xtreme Audio(直販価格:7980円)
新製品が置き換える対象とするのは,5インチベイ内蔵タイプのI/Oボックスとリモコンが付属する「Sound Blaster X-Fi Platinum」,そしてデジタル入出力をサポートする「Sound Blaster X-Fi Digital Audio」の2モデル。これらはどちらかというと,下位モデルながら,Sound Blasterらしく「入力出力何でもできる」のがウリになっていたが,新製品は上位2モデルがゲーマー向け,最下位モデルが音楽鑑賞向けと,かなりはっきりしたカラーを持つのが特徴だ。
Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer Fatal1ty Professional Series
Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer Fatal1ty Professional Seriesの製品イメージ。今回は初期ロットからチップクーラーを搭載するようである。エンドユーザーの間からは,“Elite Pro”のカード単体を望む声が少なくなかったが,その登場は見送られている
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Creativeは,プロゲーマーであるJohnathan“Fatal1ty”Wendel(ジョナサン・ワンデル)氏の名をブランド化して,海外では積極的に製品展開している。「Sound Blaster X-Fi Fatal1ty」(旧称:Sound Blaster X-Fi Fatal1ty FPS)より後に登場したゲーマー向けマウスやヘッドセットでは「Fatal1ty Professional Series」の名を積極的に用いているので,この長い製品名はそういったCreativeの内部ルールに基づくものだろう。
製品のポイントを一言でまとめるなら「Sound Blaster X-Fi Fatal1tyのカード単体版」。Sound Blaster X-Fi Fatal1tyが登場してから1年以上経過しているので,搭載するD/Aコンバータなど,細部が異なる可能性はあるものの,写真を見る限り,カードデザインはSound Blaster X-Fi Fatal1tyとまったく同じである。 EAX ADVANCED HD 5.0のハードウェアサポートに加え,対応ゲームタイトルのパフォーマンス向上に寄与するという64MBのキャッシュメモリ「X-RAM」を搭載する点,カードレベルで109dBのS/N比を謳う点なども共通する。
Sound Blaster X-Fi Fatal1tyという製品から,少なくともゲームには大して必要でないI/Oボックスおよびリモコンを省いたモデルという理解で問題なさそうだ。
Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer
Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer。Low Profile対応のスリムなイメージだが,2MBのキャッシュメモリを搭載するなど,設計はSound Blaster X-Fiそのもの
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完全な新製品となる,ゲーマー向けモデルだ。イメージとしては,Sound Blaster X-Fi Digital Audioから同軸デジタル入出力とデジタル入力を省いて,Low Profile PCIに対応させた,と理解するのが正しそうだ。
従来の下位モデル――Sound Blaster X-Fi Digital Audio(や同Platinum)――を置き換える製品になるため,キャッシュメモリは64MBのX-RAMでなく2MBになるが,搭載するサウンドチップ(DSP)は上位モデルと同じ「X-Fi Xtreme Fidelity」。EAX ADVANCED HD 5.0のサポートや,ゲームにおけるパフォーマンスに関しては,Sound Blaster X-Fiのメリットをそのまま享受できるはずである。 ちなみにカードレベルのS/N比は109dBとされており,スペック上は前述の従来製品2モデルから変わっていない。
Sound Blaster X-Fi Xtreme Audio
X-Fi CMSS-3DとX-Fi CrystalizerをサポートするSound Blaster X-Fi Xtreme Audio。従来のCMSS-3Dと24-bit Crystalizerからは名称が変わっているが,これは“X-Fiの定義”が変わったことによる変化だろう
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こちらも完全なる新製品だが,結論からいうと,ほとんどのゲーマーには無関係だ。 なぜ同じ「X-Fi」のカードであるにもかかわらず,ゲーマーには無関係なのか? これを理解するには,最近になってCreativeがX-Fiブランドの定義を「X-Fi CMSS-3DとX-Fi Crystalizerをサポートすること」に拡張した事実を知る必要がある。要するに,2006年11月2日時点では,X-Fi Xtreme Fidelityチップを搭載していなくても,サウンドソースやスピーカーの本数,あるいはヘッドフォンの種類を問わずサラウンド再生が可能で,さらに圧縮音声ファイルの圧縮過程において失われた音を再生時に補完できれば,X-Fiを名乗れるようになっているのである。
そして,同製品はX-Fiを名乗りながらもEAX ADVANCED HDのサポートがバージョン4.0までになっており,さらにいえば,それが100%ハードウェアからサポートされるかどうかが明らかにされていない。あくまで「パソコンに元から内蔵されているサウンド機能を凌駕し,究極のオーディオを楽しむ」(原文ママ)ための製品であると謳われ,動作環境として上位モデルよりも高いスペックのCPUを要求するという“状況証拠”を踏まえるに,すべてがハードウェアで処理されている可能性はかなり低そうだ。 仮にハードウェア処理されていたとしても,EAX ADVANCED HD 5.0は非対応。その意味では「Sound Blaster Audigy 4 Pro」以前のカードと同じスペックなので,やはり,ゲーマーが積極的に選択すべき製品ではない。
Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer(左)とSound Blaster X-Fi Xtreme Audio(右)の製品ボックス
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■Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamerは ■ゲーマーの新たな定番になる可能性が
3モデルの主な違いは表にまとめたが,Sound Blaster X-Fiが,Xtreme Gamerによって,価格面で入手しやすくなった点は,素直に歓迎すべきと思われる。X-RAMへの対応が明らかになっているタイトルが,2006年11月を迎えてもなお,「Quake 4」や「Prey」,「Battlefield 2」「Battlefield 2: Special Forces」「Battlefield 2142」「Unreal Tournament」の6タイトルのみであることを考えると,3モデルの発売後は,メーカー直販価格1万2800円のSound Blaster Xtreme Gamerがゲーマーの新たな定番サウンドカードになる可能性を指摘できそうだ。
なお,細かい話だが,3モデルに共通して,DVDプレイヤーソフト「PowerDVD」のCreative向けOEM版を無償でダウンロード可能になるとのこと。 また,今回の発表に併せてクリエイティブメディアは,「カードのスペック的には7.1ch出力対応であるにもかかわらず,出力端子はミニピン×3しかない」という,Sound Blaster X-Fiシリーズが持つ仕様上の制限をクリアにし,7.1ch出力を可能にするケーブル「7.1chオーディオケーブル」を発表した。同社直販サイトで,カードとほぼ同じタイミングとなる11月中旬から,2980円で販売が始まる予定だ。また,対応サウンドカードのFlexiJack(もしくはFlexiJack相当のミニピン端子)と接続することでデジタルサウンド入出力機能を提供する「デジタルI/O」モジュールも,同じタイミング&価格で発売予定とされている。(佐々山薫郁)
7.1chオーディオケーブル(左)とデジタルI/O(右)
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