ASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)は,Automobili Lamborghini S.p.A(以下ランボルギーニ)の正規販売店である「ランボルギーニ麻布」に報道関係者を集め,国内ノートPC市場参入を正式に発表した。参入第1弾となるのはランボルギーニとの共同開発モデルとなるハイエンドノートPC,「VX1 Golden Edition」と,天板やパームレストが革張り加工されたモバイルノートPC「S6F」。S6Fには上位モデルと下位モデルがあることなど,製品の概要については同社の国内市場参入を明らかにした2006年10月25日の記事でお伝えしているとおりなので,本稿では発表会の模様を中心にお知らせしたい。
ランボルギーニ販売店なので,会場にはどーんと実車が置かれていた。また,モデルの女性が新製品を持ってのフォトセッションも開催
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■製品コンセプトは「ファッション性やデザイン重視」 ■ゲーマーからやや遠い存在になる気配
Benson Lin氏(APAC General Manager, ASUSTeK Computer)
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さて発表会では,ASUSTeK本社のアジア太平洋地区ゼネラルマネージャーのBenson Lin(ベンソン・リン)氏が,「ノートPCで最先端を行く日本市場に向けて,ASUSTeKはどんな製品を投入するべきなのか?」と自問調で切り出し,一般的なノートPCを投入していたのでは,日本国内メーカーとは勝負できないと説明。十分な研究開発を経て満足のいく製品ができたこのタイミングで,ファッション性やデザインを重視するコンシューマユーザーをターゲットに製品展開を図っていくとした。
明らかになった予想実売価格は,VX1 Golden Editionが40万円前後,S6Fの上位モデル「S6Fブラウン」が28万円前後,下位モデル「S6Fキャメル」が23万円前後。量販店を中心とした製品展開になるため,ポイントバックがあるとのことだが,それを考慮しても,はっきり言って高価である。 この点についてリン氏は「パフォーマンスと品質に,デザインをプラスしている。例えば,スターバックスでVX1 Golden Editionを使うことに,ステータスを感じるような人達が対象の製品だ」と述べ,既存のマザーボードやグラフィックスカードのビジネスとは異なり,スペックや機能だけでなく,高級感を最大のアピールポイントに据えるとした。具体的なポイントは,以下にまとめたとおりだ。
VX1 Golden Edition
Core 2 Duo T7400/2.16GHzにメインメモリ2GB,HDD容量160GBという構成で,ハイエンド向けが謳われる。搭載GPU(グラフィックスチップ)はGeForce Go 7400 VX。パームレスト部はタッチパッドも含めてヘアライン加工済みアルミで高級感と冷却能力を提供する。48時間をかけて4層コーティングするという天板は,ランボルギーニの実車に近い軽さと強度を持っており,少々ひっかいた程度では傷もつかないとか。
なお,カラーはブラックとイエローの2種で,国内限定200台の出荷となる。「日本などと違って先進国でない国においても,VX1 Golden Editionはあっという間に完売となった。価値の分かる人達が殺到して,すぐ売り切れてしまうのではないか」とはリン氏の弁である。
S6F
「PCとしてではなく,“持ち歩くもの”としてデザインした」(リン氏)というS6F。天板とパームレスト部に本牛革を用いており,使えば使うほど味が出て,手にもなじむという。統一したコンセプトでデザインされたS6F用のバッグやマウス,そして替えのバッテリパックが標準で用意され「ほかには何もいらない」とか。革張り部分はもちろん,どこか(というか,ASUSTeKのOEM先)のノートPCで見たような,丸いヒンジ部にある刻印なども,職人が一つ一つ手作りで製造しているとのことだ。
グラフィックス機能をチップセット内蔵でまかなうモバイルノートだが,そのほかのスペックはCore Duo L2400/1.66GHzにメインメモリ1GB,HDD容量容量100GBで,モバイルノートとしては高い。キーボードの中央部を押してもたわまない強度など,細部の品質にもこだわりが謳われている。
両製品とも,国内未発売のASUSTeK製液晶ディスプレイが搭載するものとベースは同じ映像エンジン「Splendid」を搭載。より鮮やかに,かつ黒をより黒く見せるというグレアタイプの液晶パネル「Color Shine」や,ディスプレイの輝度を高めると謳う「Crystal Shine」技術なども採用する。全体として,動画周りに力が入れられている印象だ。
正直なところ,グラフィックス周りのスペックや価格,そして何よりターゲットを勘案するに,4Gamer読者にはあまり関係のなさそうな製品ではある。 そこで,ASUSTeKの世界市場向けモデルにはゲーマー向けの製品があることを指摘し,高級路線でゲーマー向けモデルが登場するかどうかを聞いてみたところ,リン氏いわく「ゲーム用モデルも含めて,次の一手については検討中」。搭載する映像エンジン「Splendid」を生かした,それこそ“地デジモデル”のような存在に関しても「日本のデジタル放送事情は特殊」ゆえに,やはり検討中という。
ただし,「いわゆる一般的なノートPCを投入する予定は,少なくとも今のところはない」(リン氏)そうなので,軌道に乗りさえすれば,同じハイエンドのカテゴリから,ゲーマー向けモデルが登場してくる可能性はある。期待しつつ,見守るというのが正しい選択かもしれない。 なお,2006年11月3日には,ビックカメラやヨドバシカメラなど,主要な家電量販店の店頭に並ぶとのこと。国内PCメーカーのノートPC製造請負(OEM)で実績豊富なASUSTeKが自ら手がけるハイエンドモデルが気になる人は,在庫状況を確認しつつ,一度見に行ってみてはどうだろうか。(佐々山薫郁)
報道関係者のうち,ほぼ半数がクルマやデジタルガジェットといった“非PC系”だったためなのかどうか,ASUSTeKは,発表会のほとんどを,ノートPCの紹介ではなく,業界内におけるシェアの高さや,ブランドが持つ信頼性の高さなどのアピールに費やしていた。OEMを含めた出荷量ではノートPC市場世界第4位で,ブランド別シェアでは,現時点で世界第9位。この2年ほどは,前年同期比100%近い出荷量の伸びがあり,近々ソニーやNECを抜いて7位に浮上するとか
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