「EQ1」プレイヤーに贈る,「EQ2:Echoes of Faydwer」βレポート:500年の時を経て,Faydwerはどう変わったのか
「Echoes of Faydwer」は,Sony Online Entertainment(以下,SOE)が開発/運営するMMORPG「EverQuest II」(以下,EQ2)の,拡張パック第三弾である。今回SOEのはからいで,発売が目前に迫った本拡張パックのβテストが行われているサーバーにおいて,プレス関係者を対象としたβツアーが催された。
Echoes of Faydwerのメインフィーチャーは,「EverQuest」(以下,EQ1)に存在した土地“Faydwer”が,EQ2の世界に実装されることだ。 EQ2の舞台は,EQ1の500年後の世界である。500年の間に,同シリーズの共通世界であるノーラスの地は大変動に見舞われ,もとあった大陸や島はバラバラに引き裂かれてしまった。 このような設定があるため,EQ2では,500年の時を経て姿を変えた“EQ1に存在したゾーン”での冒険が可能だったわけだが,エルフやドワーフ,ノーム達のふるさとであるFaydwer島は未実装だった。一説には“先の大変動において失われてしまったのだ”とされていたが,どうやらそうではなかったようで,今回“再発見”されることになったわけである。
EQ1のFaydwerは,数々のフィールドやダンジョン,印象的な町などを含んだ,とても大きな島だった。EQ1プレイヤーにとっては非常に思い出深い場所である。もちろんSOEも,Faydwerがそういった場所であることは承知しており,EQ1に存在したFaydwerが500年経ったらどうなるか,ということを真剣に検討しつつ,開発を進めてきたようだ(それに関してはTGS 2006でのインタビューに明るい)。 SOEのEQ1プレイヤーに対する配慮は,新ゾーンの景観からも読み取れるし,βツアーが懐かしいゾーンの散策を軸に構成されていたことからも感じ取れる。やや乱暴な言い方かもしれないが,要するに,かつてEQ1を楽しんだEQ2プレイヤーに「懐かしい!」と思ってもらいたい,そしてEQ2を体験していないEQ1プレイヤーに,EQ2もプレイしてもらいたい,というのがこの拡張パックの大きな狙いの一つなのである。 この狙いは至極堅実なものだろう。筆者も含めて,MMORPGを語る際に,(未だに)なにかというとEQ1を引き合いに出してしまいたくなる人の,なんと多いことか! 今回はせっかくなので(立場や思惑を離れて,プレイヤーの一人として),EQ1経験者の視点から「Faydwerの500年後は,果たしてどうなっているのか?」という切り口で,Echoes of Faydwerの新ゾーンを紹介していきたい。
■500年後の「Greater Faydark」 ■樹上の町Kelethinを擁する大森林は今も健在
Greater Faydarkは,ほぼ全域に神秘的な森林が広がる広大なゾーン。EQ1と同様,樹上の町Kelethinは,このゾーンの一部として存在している。
今回の拡張パックでは,妖精のような新種族“フェイ”が追加されるが,このフェイを含めたいくつかの種族は,Kelethinをスターティングタウンとして選択できる。そんな事情もあってか,ざっと見回した感じでは,このあたりにはレベル1,2からレベル30程度まで,さまざまな強さのモンスターが存在しているようだった。
Kelethinは,ゾーンのど真ん中ではなく,西よりの場所に存在していた。リフト(屋根付き)を使って上がると,プラットフォームには相変わらず手すりがない。町の住人としてはウッドエルフのほか,フェイの姿もあった。この500年の間に,彼らの間には友好的な関係が形作られたようである。 町の構造は,500年前から大きく変わっておらず,各施設は比較的容易に見つけられそうだ(EQ1とは違い,EQ2ではゲーム内で地図を参照できるし)。ただし,手すりのない高所エリアが存在するので,地図を見ながらオートランで移動するのは,やや危険かもしれない。
■500年後の「Clan Crushbone」 ■オーク達の住む砦の現在の支配者は……?
Clan Crushboneは,Greater Faydarkの北側ではなく(EQ1の頃とは違い)北東にあった。エンペラー達の住む砦まで続いていたフィールドは,Greater Faydarkの一部となっており,砦の内部は別ゾーンのダンジョンになっている。
Clan Clashboneへ向かうと,まず曲がりくねった(EQ1プレイヤーにはお馴染みと思われる)トンネルがあった。そこを抜けると姿を見せる砦の周りには堀が巡らされており,ちゃんと橋が架かっている。 あたりを見渡せば,ドワーフやエルフの奴隷が掘削作業をしている。古くからのプレイヤーには懐かしい光景だ。そこかしこにいるMobはもちろんオーク達で,その名前もcenturionやlegionnaireなど,見覚えがあるものだった。 ところで,実はサービス開始のタイミングで,オークの3Dモデルがリファインされることになっている。以前「スプリットポゥサーガ」の導入時に,ノールのモーションがよりけれんみのあるものにさし変わったことがあったが,今度はオークというわけだ(モーションではなく,モデルの変更だが)。コモンランドやゼックなど,旧来のゾーンにいるオーク達も,新モデルに変更されるという話である。
ところで,Clan Crushboneに来たからには,EQ1プレイヤーとしてはどうしても,あのにっくき“Ambassador D'Vinn”の消息が気にかかるところ。砦の奥にどんどん進んでいくとD'Vinnian dragoon,D'Vinnian sorcererなど,どうやら“D'Vinn一派”とでも呼べそうな連中がたむろしている。それらしい部屋に入ってもオークのエンペラーがいないので,「あれ?」と思っていたら,砦の深部に“The D'Vinnian Throne”というゾーンへの入り口を発見した。王座……一派のダークエルフが妙に多かったということは,ひょっとして……?
■500年後の「Felwithe」 ■Felwitheは新たな都New Tunariaに変更
ハイエルフの都であるFelwitheは,500年の間に大改修が行われたようで,今ではかつての面影はなく,その名前もNew Tunariaへと変わっている。EQ1のFelwitheは,ミステリアスなエルフの町という割には手狭な印象だったが,New Tunariaは広い敷地をゆったりと使った造りになっている。しかし,最も重要な変化は,プレイヤーにとってここは「町」ではなく「ダンジョン」であるということだろう。この地に住むプライドの高いハイエルフ達は,この500年の間に排他的な考えに染まっていってしまったということなのだろうか。
■500年後の「Steamfont Mountains」 ■変わった景観と,変わらないクリーチャー達
Steamfont Mountainsのゾーンで最も印象的なものといえば,昔ノーム達が作った鉄製の風車や,巨大な歯車だろう。しかし500年後のこの土地には,それらと並んで訪れる者の心に印象を残すものがある。それは巨大なクレーターだ。ノーラスが大変動に見舞われたとき,ラクリンと呼ばれる月も粉々に砕け散り,その破片はノーラスの表面に降り注いだ。Steamfontのクレーターは,そのときに穿たれたものだという。 巨大なクレーターにより,景観は大きく変化したが,変わらないものもある。クレーター周囲のキャンプに暮らしているのは,EQ1にも登場したコボルド達だ。さらに進んだところにはミノタウロス達がたむろしていた。クモと豹とオオカミとノームロボがなぜか並んで歩いているところも昔のままである。 ゾーンの南側には温泉がわきだし,大きな池を作っていた。もともと火山活動の活発そうな土地だったし,隕石落下のショックで吹き出したものなのかもしれない。 そこからアッカノンへ向かう道すがら,道案内の標識に目を向けると,「注意!:アッカノンは現在,ノームの制御下にありません!」などと書かれていた。いぶかしがりながらも,とにかくクロックワーク達の群がる街道を抜けていくと……!
写真上段:New Tunaria 写真下段:Steamfont Mountains
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■500年後の「Ak'Anon」 ■クロックワーク達の統べるダンジョン「Klak'Anon」
ラクリンの破片がSteamfontに降り注いだとき,Ak'Anonの町も深刻なダメージを受けたらしい。その際,そこに住んでいたノーム達は,Ak'Anonから引き上げてほかの場所に避難した。しかしAk'Anonのメンテナンスを担っていたクロックワーク達はそのまま残り,この町を維持し続けた。そしてノームの制御から離れたクロックワーク達は,町の名をKlak'Anonと改め,自分達の社会を作り上げたのだ。 Faydwer再発見の際,ノーム達はAk'Anonに戻りたがったが,クロックワーク達はそれに抵抗した。そんなわけでFelwitheに続いてこの町も,プレイヤーにとってはダンジョンなのである。 Klak'Anon内部にはクロックワーク達がひしめいているが,町の姿は昔の面影を強く残している。思い出深い大きなゲートをくぐって真っ直ぐ進むと,タウンセンターの建物が見えてくる。さらにあの動物園もまだ残っていた。しかし町の深部はかなり改造されているようで,クロックワーク達の喧噪で満たされた別ゾーンのダンジョンも用意されていた。 ところで,Klak'Anonで門前払いを食らったノーム達だが,現在はSteamfontの一部に小さな拠点を築いて,そこで次の一手を講じている最中のようだ。
■500年後の「Lesser Faydark」 ■恐ろしくも美しい光景が広がるエリア
Lesser Faydarkといえば,EQ1の頃から不思議かつ恐ろしい印象のゾーンだったが,その特徴はEQ2でも変わらないようだ。チョウのような羽を持つドレイクや,樹木の怪物,巨大なトンボ,ユニコーンなどなど,神秘的な生き物が多数棲息しており,そのレベルも多くが50を超えている。さらに周囲に生えている植物は,何かの魔法の影響で不自然なまでに巨大化しており,なんとも摩訶不思議な景観を作り出している。レベル60を超えたプレイヤー達が冒険を楽しむゾーンといえるだろう。
■500年後の「Castle Mistmoore」 ■忌まわしき古城でバンパイアの宴は続いている
EQ1では“トレインの名所”として知られていたCastle Mistmoore。EQ2ではトレインこそ起こらないものの,それでもやはり数々の悪夢を生み出すダンジョンとして人々に知られることになりそうだ。 ガーゴイルの見下ろす巨大な石段を登っていくと,バンパイア達の壮麗な居城が見えてくる。出現モンスターのレベルは軒並み高く,たとえレベル70の冒険者でもここまで無傷で辿り着くことは難しいだろう。内部はさらに凶悪で,この城すべてを攻略したいと思うのであれば,大勢の冒険者達との協力,つまりはレイドグループが必要になるはずだ。
写真上段:Lesser Faydark 写真下段:Castle Mistmoore
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■500年後の「Butcherblock Mountains」 ■大変動によって破壊されてしまった山々と大地
Steamfontと同様,Butcherblock Mountainsも大変動の爪痕が深く残る土地だ。このあたりの山々は,かつて一面が緑で覆われていたが,今では緑が残っている場所は往時の半分にも満たない。ほかは岩がごろごろ転がる荒れ地に変わってしまっている。 さらにゾーンの東側は,大変動の際に陸地をゴッソリと削られてしまったらしい。あとに残ったのは巨大な断崖で,そのような環境に適しているからか,いまでは鳥型のヒューマノイドが暮らしている。そこから見下ろせる小さな島々には,EQ1で有名だったアクアゴブリン達が今もコロニーを形成している。かつてのものとは違うのだろうが,その先にはプレイヤーキャラクター達の船着き場も用意されていた。 何か当時から残っているものはないかと歩き回ると,例のチェスボードを発見した。なぜか大きなスケルトン達がそれを守っているのも,当時のままである。アンレスト方面に続く道は,巨大な壁によって閉ざされていた。さらに気になるのはKaladimの町だが……。
■500年後の「Kaladim」 ■壊れてしまった巨大ドワーフ像
町の象徴である巨大なドワーフ像は,隕石の衝突によって壊れてしまっている。町の前にはコボルドが陣取っており,このゾーンもまたプレイヤーにとってはダンジョンになっているようだ。 中に入って歩き回ってみると,今この町で暮らしているのはコボルド,ゴブリンといった邪悪なデミヒューマン系種族らしい。町の構造は500年前からあまり変わっていないようで,神殿やアリーナはほぼ記憶通りの場所にあった。 さらに奥まで足を踏み入れ,最も重要そうな場所までいくと,そこに陣取っていたのはラトンガ達だった。そういえば彼らも,ドワーフと同じくBrell Serilisによって作られた種族だ。何か因縁があってこの町にいるのかもしれない。
本稿では,EQ1経験者の視点から新ゾーンを眺めてきたが,EoFで追加されるゾーンは,かつてあったエリアをリファインしたものだけではない。まったく新しいダンジョンやゾーンがいくつも追加される。さらには,誰もが利用できる補助的な生産スキル「修繕(Transmuting)」と「変形(Tinkering)」の追加,プレイヤーがまとえる「マント」とそのための装備スロットの追加,信念/信仰のシステムと神のために働くことで手にできるパワー「神の賜物(Blessing)」と「奇跡(Miracle)」の追加,そしてアチーブメントシステムの拡張と,システム面で拡充される要素も多い。
日本語版のEoFは,英語版発売のおよそ一か月後となる2006年12月15日にリリースされる。一か月程度の遅れであれば許容できる範囲内だと言えるのではないだろうか。日本語版にはパッケージ販売の予定はなく,ダウンロード販売のみが行われる。
なお,今回4Gamerでは,SOEから特別に,読者プレゼント用として,EQ2の体験プレイができるレジストレーションキーを提供してもらえることになった。詳細については後日改めて,4Gamer誌上でお伝えする予定となっているので,興味のある人は楽しみにしていてほしい。(ライター:星原昭典)
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