5月18日から20日まで行われていた第10回Electronic Entertainment Expo(略称:E3)では,表舞台に立った1000種もの新作ソフトやハードウェアの陰で,存在がウワサされていながら,出展が見送られたPCゲームも多々ある。今回は,そんなゲーム7作を紹介してみよう。
E3での新作の出展方法はさまざまで,ブースでプレイアブルな状態で公開しているもの,クローズドブースで開発者がプレイする形で紹介されるもの,ムービーだけが延々と繰り返されるもの,そしてそれらの複合型などがある。最近では,場内に響く騒音と隔離する形で,それなりの防音効果のある専用シアターで公開する例も増えてきた。
それでも,毎年E3で,発表される新作と同じくらい気になるのが,"発表されなかった"ソフトである。ほとんどの場合が発表するには早すぎるという開発やマーケティング上の都合によるものだが,存在が確認されている以上は少しでも紹介してほしいと思うのがファンの心情だろう。同じ気持ちである筆者が,それらのソフトの動向を追ってみた。
発売元:未定
発売予定日:2006年末
すっかり次世代的なソフトに生まれ変わっている"創世記シリーズ"の最新作「Anno 1701」。トレードマークの建物や人々,動物までが3Dになって再現される |
今年のE3で,開発元のSunflowersは自前のブースを構えておらず,Deep Silverのブースで「Paraworld」を公開したのみ。5月9日に正式発表されたばかりのシリーズ第3弾「Anno 1701」が,姿を見せることはなかった。
プレスリリースによると,Anno 1701の開発費は800万ユーロ(約10.7億円)と,ヨーロッパの弱小メーカーにしては多大な費用を投下しており,現在進行形のソフト開発ではドイツ最大規模となるらしい。
その甲斐あってかAnno 1701は美しい完全3Dグラフィックスの作品へと変貌しており,これまでのような,タイルベースでブロッキーなルックスではなくなっている。定評のある緻密すぎるほどの描きこみは本作でも申し分なく,水面シェーダから野生動物の種類の豊富さまで,画面写真を見ているだけでも感心する。
Command & Conquer:Red Alert 3
発売元:Electronic Arts
発売予定日:未定
ちょうど10年前の1995年8月15日に第一作が登場して以来,RTSジャンルの道を開拓してきたご存じ「Command & Conquer」シリーズに,ようやく新作開発の動きがある。しかも,オリジナルシリーズ以上に人気の高い外伝「Red Alert」の第3作となるだけあって,C&Cファンの間ではすでにさまざまな話題で持ちきりだ。
Command & Conquer:Red Alert 3は,そもそもファンあてのニュースレターで存在が明らかにされたプロジェクトであり,まだ正式に発表されたタイトルではない。しかし,Electronic Artsは「Armored Tank」というタイトルの一部を登録要請しているとか,今回は近距離ワイヤレスを利用したニンテンドーDS用バージョンも開発されているといったウワサがあり,その方向性を知る手がかりにはなるだろう。
ただ,開発本部のあったElectronic Artsのロサンゼルス支部では,これまでシリーズを担ってきた元Westwood Studiosの開発者達が一斉に辞職しており,古巣のラスベガスに戻って新生のPetroglyphを設立。現在はLucasArts Entertainmentの「Star Wars:Empire at War」を制作している。そのあおりを食らってRed Alert 3の計画が頓挫したのか,E3では叩いてもほこりも出ない状態だった。
発売元:2K Games
発売予定日:未定
それによると,現在のバージョンではすでにアニメーションやサウンドが加えられた状態で,武器が使用できる段階になっている模様。開発はかなりの進展を見せているようだ。レベルによって区分けされたゲームにはボスキャラクターが複数用意され,「Duke Nukem 3D」からはバトルロードなどの敵モンスターも継承されているとのことだ。
最後の「DNFは,どれくらいインタラクティブになるのか例を挙げてくれませんか?」という質問には,「いっぱいあるよ。なんでも遊べるようになっている(You can play with everything)」と,Meqon Physicsエンジンを利用した物理効果には相当な自信をのぞかせている。
E3では,DNFの代わりにHuman Head Studiosに委託したDOOM IIIエンジン使用の「Prey」を公開しており,こちらは2006年度の前期には発売されるという話もある。その相乗効果として,2006年のE3でDNFの再発表が行われることもあり得るが,Broussard氏は以前フォーラムで「E3での発表には関心がない」とコメントしていたこともあり,このまま独自路線を貫いていくのかもしれない。
Divine Divinity 2(?)
発売元:未定
発売予定日:未定
「次世代RPGのグラフィックス」としてLarian Studiosが公開したものが,「Divinity Universe」の最新作であるのは間違いない |
画面写真を見る限り,「Divine Divinity」とは異なる全体的に淡い色調で,コンシューマゲーム風のルックスに変貌している。Larian Studiosはクロスプラットフォーム対応で定評のあるNDL社のGamebryoエンジンのライセンスを受けているとのことで,スペキュラー・ハイライティングを使った光沢あるテクスチャ効果をはじめとするグラフィックスの向上は,十分に納得のいく話だ。
なお公開された画像のゲームがDivine Divinityの続編かどうかは明言されていないが,以前から同社は「Divine Divinityは,今後も拡大させていく予定」と発言しているし,公開されている画面写真に見える"Verdistis"などの表示から,同じ世界観を扱った次回作であるのは間違いないだろう。
またLarian Studiosは,Duke Nukem Foreverと同じくスウェーデンのMeqon Physicsエンジンのライセンスを受けているほか,樹木生成ツールのSpeedTreeも採用しており,一本一本が描かれた草花やわらぶき屋根の様子が見て取れる。これらエンジンやツールのタッグにより,案外早いうちにリリースまでこぎ着けられそうにも思える。
発売元:未定
発売予定日:未定
広報担当者も失笑しながら「Dragon Ageは昨年あまりにも話題になりすぎて,ちょっと面食らっちゃった」と話していたくらいで,まだまだ先のリリースである本作をこの段階で見せるのは,マーケティング戦略上良くないとの判断を下したようだ。
しかし一方で,BioWareがMicrosoftとの綿密な協力体制にあるのは事実で,Dragon AgeもXbox 360用として開発が進行しているとのウワサも出てきた。
すでにアジア風RPG「Jade Empire」でXboxではプレゼンスも高く,Xbox 360のローンチタイトルには間に合わないとはいえ,BioWareの能力とDragon Ageという素材なら,プラットフォーム内での看板ソフトに大化けしてもおかしくない。
もちろん,BioWare自身はPCゲームメーカーとしてのスタンスを変える気は毛頭ないようで,来年のE3では,Dragon Ageの詳細も明らかになるだろう。
Fallout 3
発売元:Bethesda Softworks
発売予定日:未定
この画像は,「Fallout 3」として2003年に公開されたものであり,Bethesdaに版権が譲渡されたことで大きく変更されている可能性が高い。当時の発表ではオンラインモードも追加されているはずなのだが…… |
核戦争後の荒廃した世界観というのも珍しいが,ハック&スラッシュが神髄のDiabloとは異なり,メインストーリーを気にせず"なんでもできる"という,当時としては自由度の高いゲーム性が受けたようだ。なんたって,パーティメンバーの女性キャラクターを娼婦にし,自分はその上前をはねるなんてこともできたのである。
さて,販売元のInterplayと開発元のTroika Entertainmentが同じ頃に倒産してしまい,伝えられていた新作「Fallout 3」の開発も頓挫したように見られていた。
そしてこの作品獲得に名乗りを上げたのが,Bethesda Softworks社である。しかし,E3では「The Elder Scrolls IV:Oblivion」と共にFallout 3のポスターもブース内に掲げられていたものの,作品の紹介は見送られていた(クローズドの商談ブースは存在していた)。
オーソドックスなゲームプレイと奇抜な内容が調和したFalloutシリーズ最新作の詳しい内容は,そんな経緯から不明のまま。今後の情報に期待したい。
S.T.A.L.K.E.R. - Shadow of Chernobyl
発売元:THQ
発売予定日:未定
E3直前の5月15日には,DirectX 9に完全対応した新しいバージョンのデモムービーが公開されており,それなりの進展は見せている。最近はウクライナ本国のゲームショウでもプレイアブルな状態で展示されていたものの,欧米での販売権を取得しているTHQブースには,影も形もなかった。
FPSなのに,すべての生物が独自の思考ルーチンによって日夜を過ごしているというS.T.A.L.K.E.R.において,やはり肝となるのはAI部分。しかし,公式サイトでは開発者の手記として「AIの新しいソリューションを考案中」などという文章も載せられており,どう考えても2005年中のリリースは難しそうだ。
あまりにも志が高すぎて,どこでコア部分のテクノロジをロックすべきかの見切りを誤るという,経験不足の開発者に多い罠に陥っている感は否めないだろう。