[韓国ゲーム事情#439]暮らしを楽しむMMORPG「風流工作所」
Kimの韓国最新ゲーム事情#439
新ジャンル(?)Culture MMORPG「風流工作所」登場(2005/11/22)
Text by Kim Dong Wook特派員
ざっと見回してみると,現在韓国でサービスされているMMORPGは実に150タイトル以上。さすがに飽和状態になっているとの見方もあるが,それでも新作MMORPGは次々と登場している。 その中でもとくに目立っているのが,成人層をターゲットにしたCulture MMORPG「風流工作所」だ。韓国ゲーム産業開発院が毎年2回開催しているゲーム制作支援イベントで,大賞を受賞したタイトルである。
CYNIKSOFTが開発している本作は,多くのMMORPGが強調している「競争」よりも,「さまざまな価値観が共存し,現実では経験しにくい豊かな消費生活と趣味生活」を体験させることに重きを置いているという。 企画のスタートは2004年9月で,同年12月から同社の全職員47人中,37人が総力を挙げて開発している。ちなみに開発スタッフの多くは,ゲーム業界歴が10〜14年のベテラン揃い。とくに総括開発プロデューサーのJeong Jae Young氏は,「Yogurting」(邦題 ヨーグルティング)の開発元であるNtix Softの母体であった,Taff Systemの社長だった人物で,韓国ゲーム業界では非常に有名なクリエイターだ。 そんな彼らが現在情熱を燃やしているのが,本作ということらしい。
中世ファンタジーをモチーフとしたMMORPGが多くを占める中,本作の世界観は,21世紀の近未来を採用している。この頃人類は資源不足と環境汚染によって滅亡寸前となっており,一部の人々が自然主義に基づいた文明を掲げて復活を期し,科学主義の文明と対立するという設定だ。
「レベルアップ」や「アイテム獲得」だけでは,これ以上ゲーマー達を魅了できないとの判断から,本作ではさまざまな点で「新しさ」を追求しているという。 まずクラスを見てみても,モンスターハンター,考古学者,地図製作者といった冒険に適したものから,きこり,鍛冶師,裁縫師といった生産系のもの,さらにはサービス系のものまで,バリエーション豊かに用意されている。 ただこれだけでは,確かに従来の戦闘をメインとした韓国産MMORPGからは脱却しているかもしれないが,新しいとまではいえない。本作で面白いのはここからで,キャラクターがどのクラスに就くかは,なんと「道具」によって決まるのである。簡単に説明すると,キャラクターが使った道具に応じて,対応するクラスの経験値と,スキルが上昇していく。つまり,使う道具を替えるだけで転職が可能だ。 そのため,やっかいな転職の手続きを踏むことなく,自分の思いどおりにキャラクターを育成できるという成長システムになっている。ただし,職業レベルポイントには制限があるため,多くの職業をまんべんなくマスターすることはできない。
また,本作に登場する全アイテム(戦闘に必要な武器や防具,生活に必要な農機具,生活を楽しむための服,家具,自動車など)は,プレイヤー達が直接生産することになっている。 この生産過程は,カジュアルゲームのように簡単なものになっているので,プレイヤーによっては戦闘よりもこちらに楽しさを見いだすこともありそうだ。
「Animation Toon 3D」という,アニメーションのようなグラフィックスで描かれているのも,本作の特徴といえる。このほかの,現在までに公開されている本作の特徴的な要素を,以下に列挙しよう。
■パートナーシステム 「パートナー」とは,人間の姿ではあるが人間ではない。いわゆるヒト型ヒューマノイド。イベントやクエスト,あるいはトレードによって得られる。2段階で進化し,進化によって外見とクラスが変化するという。 パートナーは,プレイヤーの職務(生産作業など?)や戦闘などを補助するだけでなく,コミュニケーションのサポートもするとのこと。どうやら,パートナーを収集する楽しみもあるようだ。 また将来的には,モバイルと連動して,ログアウト中のプレイヤーにゲーム内の状況を知らせるといった機能も企画されている。
■ハウジングシステム 本作でプレイヤーは,最初にログインした時点から,「ハウス」(家)を利用できる。自然主義文明である「サラン」のハウスは,熱帯地方の家屋がモチーフとなっており,一方科学主義文明である「ブレヘン」のハウスは,映画「ウォーターワールド」や「スチームボーイ」に出てくるような,鉄鋼がむき出しの外観をしているようだ。 なお,プレイヤーに対して最初に与えられるハウスは,ほかのプレイヤー達も使用する,“共同住宅”のような場所になっている。つまり,プレイヤー同士のコミュニケーション空間としても機能するわけだ。もちろん将来的には,独立した自分だけのハウスを持つこともできる。
■ブランドシステム 前述のとおり,本作に登場する全アイテムは,プレイヤー達が生産することになる。これを互いに提供し合うのが,本作における経済の基本だ。 プレイヤーは,生産したアイテムに,自分だけの「ブランド」をつけて販売できる。
■環境システム プレイヤーキャラクターは,ゲーム内の気候や風土といった環境から影響を受ける。 例えば,寒い地域で厚着をしていないと寒さによって体力が減少し,逆に暑い地域で暖かい格好をしていると,暑さによって体力が減少してしまうといった具合だ。
CYNIKSOFTの企画室長 Lee Seok Hyun氏は,「本作では,プレイヤー自身による自由な選択で,“真の楽しさ”を感じてもらおうと思っています。自由なクラス選択,自分だけのアイテム製作や,パートナー,ハウスでの生活といった要素は,ゲームへの没入度を高めてくれるでしょう。また今後,ゲームマネーを使うことで,武器やアイテムを購入できるだけでなく,現実同様の多彩な遊び,生活を楽しめるようにしていきたいと思っています」とコメントしている。
本作のサービススケジュールは,2006年2月にクローズドβテスト,夏頃にオープンβテスト,そして2006年中の正式サービス開始となっている。 ところで,世界観やグラフィックスから感じ取れるかもしれないが,本作は日本市場への展開を念頭に置いて作られている。そのために,ゲーム設計の初期段階から,今後のローカライズ作業をスムースに進められるよう,さまざまなツールを準備しているそうだ。
|
|
風流工作所 |
|
|
|
|
|
|
COPYRIGHT 2006 KTH & CYNICSOFT CORP. ALL RIGHTSRESERVED. |
|
|