「プレイオンラインフェスタ2006」で「ファンタジーアース」次期アップデート内容が明らかに
2006年3月25日(土),スクウェア・エニックスはNecca秋葉原店において,同社のタイトルを扱ったゲームイベント「プレイオンラインフェスタ2006」(以下,POLF2006)を開催した。 同社の運営するオンラインゲームには「ファイナルファンタジーXI」をはじめ,数タイトルが存在するが,今回のイベントで試遊可能になっていたのは「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」(以下,FE)と「フロントミッションオンライン」,そしてプレイステーション2用の「ダージュ・オブ・ケルベロス-ファイナルファンタジーVII-」の3作品。中でも力が入っていたのはFEで,ほかの2作品が数台の試遊台設置だったのに対し,FEには対戦イベントに使用するものも含めて30台以上が用意されていた。また,FEに関しては,開発チームのトークセッションも行われた。
■特別ルールの「トルクマイヤ・デスマッチ」開催
FEは大人数同士の対人戦闘「戦争」が楽しめる“MMOアクションRPG×ストラテジー”。POLF2006では,15人対15人の戦争イベント「トルクマイヤ・デスマッチ」が行われた。参加者は,事前に行われた公式サイトでの募集に応じたプレイヤーが中心。サイトでの募集は盛況だったようで,180名の募集枠(1回のイベントに30人が参加,合計6回開催)を超える応募があり,当日は抽選の結果選ばれた人が中心となっていた。また,当日イベントに参加できなくなってしまう人がいることも見越し,飛び入り参加枠も設けられていたが,こちらの整理券は早々に配り終えてしまったという。 トルクマイヤ・デスマッチは,現在のところ今回のイベントのみで実施された,特別ルールの戦争。正式サービスの戦争は,キャラクター同士の戦闘のほか,召喚モンスターの使用,資源集め,建築なども戦術上の重要な要素となっているが,このルールではそれらをすべてカット。シンプルに,プレイヤーキャラクター同士が直接戦い合うだけのルールとなっていた。さらに,回復系を含め,アイテムの使用も許されないという,まさに“デスマッチ”の様相。 両陣営のプレイヤー,15人ずつの各座席には,レベル35のキャラクターが用意されており,「両手ウォリアー」「氷ソーサラー」といったようにスキルも割り振られ,装備もだいたい同じグレードのものに揃えられていた。 対戦時間は20分で,倒した敵の数(キル数)が多い陣営が勝ち。参加者にはもれなくゲーム内でおしゃれアイテムとして使える「メガネ」が,さらに勝利チームにはマウスパッド,最も与ダメージ数の多いプレイヤーには本作のプロデューサー,渡辺泰仁氏のサイン入り製品パッケージが贈られた。
参加者はやはり,現役のFEプレイヤーが多かったようで,戦闘は戦力が拮抗した,見応えのあるものとなった。運営側では当初,どの試合も30キル対30キル程度のスコアになると予想していたらしいが,実際には50キルや60キルを上げる陣営が続出。筆者が見た試合の中では,一人で15ものキル数を叩き出した弓スカウトの猛者がいた。聞けば,普段から弓スカウトを使っているとのこと。この対戦会では,自分の使うキャラクターのクラスやスキル構成は選べなかったが,もしそれができていれば,さらにハイレベルな戦いになったのかもしれない。
「メガネ」とマウスパッド
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■開発チームトークセッションでアップデート内容の一部発表
左から,渡辺氏,藤本氏,成田氏
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また当日は,FE開発チームによるトークセッションも催された。登壇した開発者は4Gamerのインタビューでもおなじみのプロデューサー 渡辺泰仁氏,そしてアシスタント・プロデューサーである藤本哲哉氏と成田正美氏である。このセッションでは,今後のバージョンアップの具体的なトピックなど,興味深い発表がいくつも行われた。その内容をまとめて紹介しよう。
正式サービス開始以降,FEでは高い頻度でサーバーダウンが起こっていたが,これは「もう大丈夫です」とのことだ。そのため今後は,ゲーム内容の充実に注力できそうだという。具体的な予定としては,最初の大きめのバージョンアップが4月の前半に行われ,その次は5月に行うとのこと。その内容は,以下のようなものになるそうだ。
●クリスタルとキャッスルの位置変更
FEの世界にはたくさんのフィールドが存在するが,そのすべてのフィールドがユニークなマップを持っているわけではない。エリアの場所と名前は違っても,ゾーンマップが同一なこともある。そのため,手慣れたプレイヤーはマップをすぐに覚えることが可能で,最近ではマップに応じて戦法が固まりつつあった。 また,攻撃側が自由な位置に拠点(キープ)を建築できるのに対し,防御側の拠点(キャッスル)の位置がマップパターンごとに固定されているため,防御陣営が不利になりやすいという問題もあった。これを是正する目的で,キャッスルおよびクリスタルの位置に変更が加えられる。これにより“地形はまったく同じだが,キャッスルとクリスタルの配置は違うマップ”がいくつか出来上がることになり,プレイヤー達にはマップに応じて戦い方を変化させる必要が生じる。そうなればいわゆる“定番の戦術”は使いづらくなり,より変化に富んだプレイが楽しめるようになる。
●国の目標&新装備
それぞれの国の王が,国民に対して目標を提示するようになる。具体的には“どこどこの土地を占領しろ”といったもの。目標を達成できた場合は褒賞を得られるという。 褒賞としては面白い見た目の装備品が検討されている様子。公開されたのは,男性スカウトの新装備イラストだが,今後もこうした装備品は順次追加していく予定とのこと。なお,最初の追加は4月のアップデート時になるようだ。
●召喚モンスター(レイス,キマイラ,ドラゴン)
存在自体は明らかにされているものの,未実装の召喚モンスターは,「レイス」「キマイラ」「ドラゴン」の三つ。 このうち,最初に追加されるのは,レイスに決定したそうだ。レイスは「ゲート・オブ・ハデス」という建築物を建てることで召喚可能になる。ナイトやジャイアントと違い,ハデスは各陣営で一度に1体しか召喚できない。しかしその分強力で,最大の武器は自身の周りにいるすべてのプレイヤーを「ヴォイドダークネス」状態(周囲が真っ暗になる状態)にする「ブラックアウト」という技。この技の発動中は,徐々にパワーが減っていくので,それを計算に入れつつ戦う必要がある。 キマイラとドラゴンは,その後の追加になる。詳しくは言えないとのことだが,キマイラは「敵の拠点にたどり着けば,拠点に対し大ダメージを与えられるが,たどり着くまでが苦労する」ような特性になる予定。キマイラとドラゴンは共に,一発逆転の要素を持つ召喚モンスターになるため,慎重なバランス調整をしたうえで,実装したいとのことだ。
さらに,事前に公式サイトに寄せられた質問に対する回答も行われた。
Q. ギルドなどコミュニケーションを目的としたシステムを導入する予定はあるか?
A. MMORPGのギルドに似た“部隊”というシステムを導入する予定。部隊に所属するキャラクターの名前には,それを示すタグがつくことになる。コミュニケーションということでいえば,各国の首都に“ブリーフィングルーム”という部屋を設置する予定がある。これはチャットをするためのもので,仲間同士での歓談や,戦略会議などに利用してもらいたい。
Q. 戦争に新たな要素やルールなどを導入する予定はあるか?
A. このイベントで行っているトルクマイヤ・デスマッチのような新ルールは考えている。さらなる要素としては,戦場で兵士達が国ごとの個性を出せるように,国別の軍服(装備品)を用意する予定がある。
Q. 戦争に参加していれば何もしなくても報酬がもらえるため,キャラクターを放置して戦わない人がいる。これへの対策は考えているか?
A. この問題には開発サイドも気づいている。そう遠くない未来に対策を施すつもりだ。
加えて,来場者との質疑応答も行われた。その中からとくに興味深かったものをピックアップしよう。
Q. βテスト時に存在したアイテムエンチャントの仕組みがなくなってしまったが,今後復活させる予定はあるか?
A. エンチャントシステムはいったん不可視にしただけなので,今後復活する可能性は大きい。
Q. 現状では攻撃ではなくサポート役を受け持つプレイヤーの行動が,戦闘結果のスコアに反映されていないように見える。これについて改良の予定はあるか?
A. とくにプレイヤー間で“クリスタル銀行”と呼ばれている資源の仲介役などは,もっと評価されるようにしていきたい。
■渡辺プロデューサー「プレイヤー達の愛情を感じた」
トークセッションから控え室に戻る渡辺氏をつかまえて,少し話を聞くことができた。レポートの最後にその内容をお伝えする。
4Gamer: お疲れ様でした。今回のイベントは盛況ですね。
渡辺氏: いやー,さっきのデスマッチで,超ウマイ人がいましたね(笑)。
4Gamer: いましたねー(笑)。あのクラスであんな活躍ができるのか!? というプレイをする人がいますね。
渡辺氏: このイベントでプレイヤーのみなさんと直接言葉を交わしてみて思ったのですが,FEには,いままでのMMORPGのプレイヤーとはちょっと違ったタイプのゲーマーが興味を持ってくれているようですね。それはゲーム性と関係があるのかもしれません。 ゲームの改良や開発に対してアクティブに働きかけてくれて,さらに愛情を持って接してもらえているということを感じました。
4Gamer: 正式サービスが始まってからしばらく経ちましたが,開発陣営の様子はいかがですか?
渡辺氏: よく「オンラインゲームは運営が始まってからが大変」という話を聞きますが,幸い(その大変さに士気をくじかれることなく)楽しく開発に取り組めています。サーバーもようやく安定してきましたので,これからはバージョンアップに力を注いでいきます。一方,Web上にあるFE関連のコミュニティやサイトに対して,オフィシャルとして何か協力できないかとも考えています。 例えば,Blogを書いている人もいるでしょうから,公式ページにトラックバックを送れるような……。具体的な案はまだですが,なにかできたらいいですね。
4Gamer: 登録制のリンクよりも気軽に利用できれば,興味を持つ人も増えそうですね。お忙しいところありがとうございました。
今回のPOLF2006は,決して誇張ではなく熱気に溢れていた。土曜日に秋葉原に足を運ぶ時点で,アクティブな人達であることは確かだが,それ以上にFEに対する愛情と期待を持っている人が多いという印象だ。 FEは正式サービス開始直後から,たびたびサーバートラブルなどに見舞われ,それを批判する声も少なくない。だがそれも,期待への裏返しなのだろう。もちろん開発陣営は,批判の声を真摯に受け止め,より良いゲーム,サービスに育てていこうという姿勢を維持している。 今後のアップデート情報も公開され,期待度はさらに増したはず。その期待を上回る作品にすることが,開発陣営に課せられた使命だろう。(ライター:星原昭典 / Photo by kiki)
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ファンタジーアース ゼロ |
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